ワクチン接種:オランダにおける乳児~20歳以下のワクチン接種、日本との違い

先日、オランダ北部のフローニンゲンの12歳の少年が、新型コロナウイルスのワクチン接種を求める訴訟を起こし、勝訴しました。少年は末期がんの祖母への感染を最小限にとどめるため、自らワクチン接種し、祖母と過ごす時間を多く過ごしたいとのことで、今回の裁判に至りました。父親は反対、母親は賛成ということで、両親の意見が一致しない場合、子どもの最善の利益を裁判官が決めることになっており、今回の裁判結果に至りました。(ちなみに、オランダでは、12歳~17歳の新型コロナのワクチン接種は可能ですが、両親の許可が必要です。)

BCG予防接種をした子ども
BCG予防接種をした子ども
(c)ぱくたそ

新型コロナの影響で何かと、ワクチン接種が話題となりますが、先日、妊婦対象の三種混合(DPT)ワクチンージフテリア、百日咳、そして破傷風の発症を予防するため―を受けてきました。今年は、新型コロナワクチンの接種が優先とのことで、ばたばたとファイザー製ワクチンの接種2回を完了させて後の”通常”の妊婦対象のワクチン接種でした。

これを機に、改めて、オランダで「定期接種」とされているワクチンを調べましたが、オランダでは接種できない、しかし日本では接種されているワクチン、また逆もあることがわかりました。

オランダにおける乳幼児のワクチン接種について

妊娠中に接種するワクチン

上記の三種混合(DPT)ワクチンは、ジフテリア、百日咳、そして破傷風の発症を予防するためのワクチンで、オランダでは、妊娠22週目~32週目の間に受けることができます。行政の窓口に連絡し(予約窓口)予約を取ります。
現在は、新型コロナ感染症のためのワクチン接種が優先されていますが、コロナワクチンの接種から2週間経過していることを条件に百日咳のワクチンを受けることができます。妊娠中にワクチンを受けた場合は、乳児に移行抗体が出来百日咳予防につながります。

乳児が11カ月までに接種するワクチン

乳児が生まれて一才になるまでに、種々のワクチン接種を受けます。
1)1回目のDPT-IPV(4種混合ワクチン)、Hib ワクチン、B型肝炎ワクチン
オランダでは、予防する傷病のオランダ語表記の頭文字をとって、通称DKTP-Hib-HepB ワクチンと呼ばれる混合ワクチンは、ジフテリア(Difterie)、百日咳(Kinkhoest)、破傷風(Tetanus)、ポリオ(Polio)、ヒブ感染症/ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型感染症(Haemophilus influenzae type b)、B型肝炎(Hepatitis B)の6つの重篤な感染症から子どもを守る予防接種です。
1歳になる前の3ヶ月、5ヶ月、11ヶ月の3回受けます。赤ちゃんが生後4週間くらいになると、親には各種予防接種の案内状と案内カードが届き、近隣の保健所で予防接種を受けることができます。

ちなみに、この4種混合ワクチンは、1962年からオランダの予防接種プログラムに組み込まれています。2003年には、この混合ワクチンにヒブワクチンが加わりました。また、2011年からはB型肝炎の予防接種も含まれています(日本では2016年から)。

2) 小児用肺炎球菌ワクチン

通称Pneuは、10種類の肺炎球菌(Pneumokokken)を予防します。肺炎球菌の予防接種は3回行われます。生後3ヶ月で最初の肺炎球菌の予防接種を受けます。生後5ヶ月で2回目の予防接種を受けます。生後11ヶ月で3回目の予防接種を受けます。これらの予防接種は保健所で、DKTP-Hib-HepBの予防接種と同時に行われます。その後、子供は両足または両腕にワクチンを接種します。

14カ月以降に受けるワクチン

1) 1回目のMMRワクチン/新三種混合ワクチン
日本のMMRあるいは、新三種混合ワクチンは、オランダでは、予防する傷病のオランダ語表記の頭文字をとってBMRワクチンと呼ばれています。おたふくかぜ(Bof)・はしか(Mazelen)・風疹(Rodehond)を予防するワクチンです。1回目のワクチン接種で95%の子供に効果があるといわれます。ワクチンは、生後14ヶ月と9歳の時の2回接種します。2回の接種で99%以上の子どもが予防されます。
ワクチンは生後12ヶ月から接種可能です。それ以前の子供は母親からの抗体を持っています。この抗体は徐々に消えていき、12ヶ月になると完全になくなってしまうため、ワクチンを受けていない子どもは、ワクチンを受ける前に麻疹に感染する可能性があるといわれます。

2)1回目MenACWY(髄膜炎菌結合型ワクチン)
髄膜炎菌にはいくつかの種類があります。髄膜炎菌にはいくつかの型がありますが、全国予防接種プログラムのワクチンは、A型、C型、W型、Y型を予防するもので、子どもたちは生後14ヶ月から14歳の間にこのワクチン接種を受けます。髄膜炎や血液中毒により、子どもたちは数日のうちに重症化する可能性があります。

4歳で受けるワクチン

2回目のDPT-IPV(4種混合ワクチン)(混合ワクチン)
子どもたちは1歳の誕生日を迎える前に、ジフテリア(Difterie)、百日咳(Kinkhoest)、破傷風(Tetanus)、ポリオ(Polio)の4種混合ワクチンを受けていますが、4歳に受けるDKTPワクチンは追加免疫機能を獲得するためのワクチンです。子どもが4歳になる頃には、これらの病気に対する防御力が低下しているので、必要と言われます。

9歳で受けるワクチン

1) 2回目のMMRワクチン/新三種混合ワクチン
おたふくかぜ・はしか・風疹予防ワクチンは、おたふくかぜ・はしか・風疹を予防するワクチンです。1回目のワクチン接種で95%の子供に効果があります。MMRワクチンは、生後14ヶ月と9歳の時の2回接種します。2回の接種で99%以上の子供が予防されるといわれています。

DKTP(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、HB-hepB)、DKTP、DTPの接種スケジュールを完了すると、子どもたちは長期間にわたって保護されます。B型肝炎については、さらに生涯にわたり保護されます。DTPの追加接種は、傷口に泥が入った場合や、欧米以外の国に旅行した場合などに必要になることがあります。その場合、医師は破傷風の予防接種を行うことを決定します。一連のD(K)TPワクチンの接種を受けた子供は、19歳まで完全に保護されます。

13歳で受けるワクチン

HPVワクチン
HPVはhuman papillomavirusの略語です。HPVウイルスには様々な種類がありますが、16型と18型が最も一般的な危険なウイルスです。これらのウイルスは、最終的に女性に子宮頸がんを発症させる可能性があります。HPVワクチンは、これら2種類の危険なウイルスから女の子を守ります。ワクチンを接種したからといって、絶対に子宮頸がんにならないという保証はありませんが、予防効果は格段に高くなります。HPV16型と18型は、子宮頸がんの70%を引き起こすと言われています。

ワクチンの効果を最大限に発揮させるためには、まだセックスをしたことがない人がワクチンを接種することが重要です。そのため、女の子は13歳になる年にワクチンを接種します。12歳と13歳の女の子は、2回の予防接種を受けます。2回の予防接種の間には6ヶ月の期間があります。15歳以上で接種を希望する少女は、3回接種します。予防接種は上腕部で受けます。

14歳で受けるワクチン

2回目MenACWY(髄膜炎菌結合型ワクチン)
生後14カ月以降に一度受けているワクチンですが、その2回目。

日本にあって、オランダではワクチンプログラムに含まれない予防接種

日本脳炎ワクチン
そもそも、蚊を媒介して伝染する病気については、オランダでは想定外であることからか、オランダのワクチンプログラムには含まれていないため、受けたい場合は、自費で受けねばなりません。そのお値段136ユーロ(2021年現在)。

水疱瘡ワクチン
大人になってかかると重症化するのが、水疱瘡・・・これもワクチンプログラムには含まれておらず、受けたい場合は自費です。おたふくかぜのワクチンが含まれているに、水疱瘡のワクチンが国のプログラムに含まれていないとは・・・75ユーロなり。

オランダにあって、日本のワクチンプログラムに含まれていない予防接種

髄膜炎菌感染症(MenACWY)
個人的には、昔に髄膜炎が疑われたことがあったり、家族がかかり、危篤状態となったこともあって、本当に怖い病気なので、これが含まれているというのは、安心。

MMRワクチン/新三種混合ワクチン
おたふくかぜなどは、大人になってからかかると、重症になることが知られているため、予防接種を受けたことがなく、またかかったこともないのであれば、予防接種を受けておかれると良いとされているので、これでかなり安心。

さぁ、どうしよう

国が推奨する接種は受けるつもりです。しかし、夫の実家がフィリピンであることを考えると、

関連ブログ

参照ウェブサイト

Prijslijst vaccinaties、 Tarievenlijst afdeling Reizigers & Vaccinaties 2020 (PDFファイル)

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