フィリピンでは女性の浮気は「罪」なのです

ドラマ「昼顔」、2014年に日本で話題になったと聞きました。放映時間帯がまだ深夜枠でもお昼のドラマの時間でもないのに、このテーマ、「不倫」が日常的なテーマになってきているのでしょうか。

こちらフィリピンでも2014年度始めに「Legal wife」なる不倫ものドラマが放映され、話題を呼びました。その後も不倫ものを作り続けるフィリピンドラマ界。

フィリピンドラマLegal wife
THE LEGAL WIFE Episode: The Rage
https://www.youtube.com/watch?v=8xrd0_41IEI

 フィリピンドラマLegal wife
THE LEGAL WIFE Episode: The Rage(c)ABS-CBN
https://www.youtube.com/watch?v=8xrd0_41IEI


離婚ができないフィリピン

フィリピンでは離婚が法律上出来ません。法律で離婚が禁止されているからです。だからと言って、全てのカップルが円満に行っているわけでもなく、勿論浮気がないということはありません。出席したとあるフォーラムでの発表によると既婚男性が36パーセント、女性が2パーセント浮気の経験があるようです。

そのパーセンテージはどこからのデータなのか分かりませんが、周りでもよく男性がよく浮気するという話を聞くのであながち嘘ではないように思います。

人が浮気しようと何しようと本人たちの問題なので、著者には関係ない!のですが、ここフィリピンでは浮気に対しての刑罰があり、そしてそれが女性に対しては重く課せられるというのですから、捨て置けません。

浮気に関するフィリピンの法律

フィリピンでは既婚者の浮気に対する法律は男女の別があります。女性の場合はadultery「不貞・貫通・不倫」(Revised penal code 333)、男性の場合はconcubinage「内縁関係」(Revised Penal Code Article 334)となります。
不貞とは、配偶者以外の異性と自由意志で肉体関係を持つ「貞操義務違反」であり、内縁関係とは、いわゆる事実婚関係で夫婦としての実質がありながら、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をさします。


男女とも道徳的に浮気は罪ですが、それは罪の意識という主観で、刑法の対象となる意味での罪です。そして、女性の方がはるかに刑法の対象になりやすいというフィリピンの法律の特徴があります。

女性の不倫は罪なのです!

女性の不倫は、夫以外の男性と「不適切」な関係あるという、物的証拠はないものの、かなりの高い確率でその関係性が認められる場合、つまり浮気相手とホテルに行ったであろう「疑い」があるということで、男性が起訴することが可能となります!。

一方男性は、愛人との関係があるということを妻が知っても夫を起訴することができません。決定的瞬間をとらえて、それが公の場でスキャンダルとならないといけません。例えば、情事のその直後、妻が旦那とその愛人をホテルの個室でつかまえても、妻と旦那と愛人以外いないため、公のスキャンダルとはならないため、訴えることは難しいそうです。

じゃあ、どうすればいいのか?女性は旦那と愛人の情事中の写真をとってFacebookなどの媒体に張り付けたり、今ではネットを使ったライブをしたり等するということで、多くの人の目に触れさせ、スキャンダル化します。つまり、客観的な「証拠」を突きつけないといけません。

男女差がある法律

ちなみに男性の方は、愛人ですので1夜限りの過ち!は裁きの対象になりません。女性の場合は一夜限りでも浮気は浮気、罪に問われます。

フィリピンの男女格差の無さは世界でも5位(The Global Gender Gap Report 2013より)という高さ、女性の社会進出も進んでいるというのにこの先史的法律は何なんだ!と驚きです。

この背後には結婚を神聖なものとして捉えるというカトリック的考えが影響しています。結婚が神聖であるというのは男性にとっても同じもののはず・・・しかし、結婚の神聖性は女性に多くの責任を与えるという、「ゆがんだ」形で成り立っています。なぜ、そうした「ゆがみ」が生じるのかというと、肉体的な関係により子どもを宿す可能性がある女性の身体的理由のためです。

そんなに簡単に子どもができるものかと思われるかもしれませんが、フィリピンでは熱心なカトリックほど避妊具の使用を嫌がります。また、費用的な面も考慮して使用をためらいます(汗)。なので、婚外での関係で子どもができる可能性はかなり大きいのが事実。

いずれにしても女性に不利に働くこの法律、結婚の神聖性は分かりますが、それを「男女平等」に分かち合う法制度の制定が必要でしょう。

ちなみに、男女のどちらかが浮気相手に危害を加えるようなことがあった場合、浮気によって受けた「精神的ダメージ」を考慮して罪に問われないとのこと。以前、夫の浮気に怒って男性の大事な場所を切ってしまったというケースがあったようですが(!)、その女性罪にはとわれなかったとのことです。

女性だってやられっぱなしじゃないんだ!とは思うのの、これはやはり刑法の対象として考慮されてもいいのではと思ってしまいます。というのは「家」の問題として内部にしまっておくべき問題の範疇を超えているからです。

更に言うと、これは正式に結婚している人たちの問題。つまり田舎の方では、事実婚と言うもの結構ありますので、これら法律の適用外となる場合もただあります。そういう意味では結婚の手続きを必ず行う家庭の問題と言えるでしょう。

田舎の事実婚の場合はどうなるのか?

Aさん(男性)は一度結婚しましたが、うまくいかず最終的にはわかれました。しかし、法的な措置(結婚を無効にするという手続き)は行っていません。しかし、実際の別居は10年ほど続きました。最終的にそのAさん、彼女ができ、最終的にその彼女との間に子どもができました。この場合、正式に分かれていないAさんの妻はAさんを訴えることができます。

しかし、ここは田舎、そして10年もの別居生活が続いた後のこと。妻は訴えることもできますが、そうはしません。しかし、当事者である妻と子どもたちはじわじわと「精神的なダメージ」を受けることになります。

また、バスの中で出会った船乗りは故郷であるレイテとマニラにそれぞれ家族がおり、両方共届け出をしていないそうです。事実婚かつ一夫多妻制!ですが、もちろんレイテとマニラの女性とその家族はその男性がそれぞれに家族を持っているということは知らないそうです。男性の大胆さに開いた口がふさがりませんでしたが、このようなケースでは、法的な婚姻関係に根ざしていないため、法的な義務が生じず、それらの女性はその男性を訴えることはできないそうです。

結婚届けを出さない理由は、届けが煩雑で月日を要するからということと、また費用的な問題が多いようです。また、婚姻関係により夫婦間の義務と権利が生じますが、それらについての知識の不足などもあげられます。しかし、家庭の経済事情により、それらの義務と権利はあってないような状況になるため、婚姻手続きをするインセンティブは自ずと下がります。

不倫、しないに越したとはありませんが、フィリピンでは特に女性の場合、ちょっとの遊びも刑法罰の対象となり得るためご注意を。

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