映画「エクソシスト(exorcist)」とは、1973年アメリカのホラー映画。少女に憑依した悪魔と神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作と呼べる作品で、その後様々な派生作品が登場するほか、1973年の興行収入1位、第46回のアカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞した有名な作品です。映画のタイトルであるexorcistとは、カトリック教会の祈祷師という意味です。
映画=フィクションというわけではなく、エクソシストは実在し、今この時も悪魔祓いは行われています。彼らはどういう人たちで、実際どういう活動を行っているのか、どのような批判があるのか等まとめました。
(c) HBO Max
実在するエクソシスト
エクソシストは映画の話ではなく、実在します。しかし、だれでもなりたい人がなれるわけではなく教会(大司教)が神父の中から適任と思われる人物を任命します。おおよその人が、自分が任命されるとは思っていないようで、非常に驚くようです。現在アメリカには50名ほど、大司教から任命されたエクソシストがいます。2014年、ローマ教皇庁の聖職者省が教会法上の公的認可を与えられ国際エクソシスト協会が、組織され、2年に一度の集まりも開催されているようです。
悪魔祓い(エクソシズム)の歴史は古く、イエス・キリストの時代よりも前からあり、エクソシズムの儀式については、1614年にかかれた文章が存在し、1999年に改訂されています。この改訂によって、医師、心理学者、精神科医など、すべてカトリック信者で構成されるチームと協力して、「悪魔憑き」と診断する前に、他の原因を排除するようにしています。
悪魔って?
悪魔とは、人間を誘惑し、悪い方向に導く、悪の象徴です。一神教にとって、悪魔の存在、それを認識することは重要であり「No demon, no devil, so no God?!(悪魔がいなければ、その悪魔を統率する悪魔(サタン)はおらず、したがって神もいない。)」と考えるからであるといわれています。サタンとは、堕落した大天使を指しており、悪魔を統率しており、一人しかいないといわれています。悪魔は、憑りついた本人をはじめ、周りを苦しめます。キリスト教の文化圏にいないと、一つの神、対峙する悪魔、その存在を理解しづらいのですが、心身を乱し、悩ませる「煩悩」のようなものと、なんとなく落ち着くのではないかと思います。
悪魔に憑依されたかどうか
映画「エクソシスト」、あるいはその他のホラー映画でよくみるのが、憑依された人の体が勝手に跳ね上がったり、浮いたり、憑依された人がいる部屋の温度が低下したり、人の声らしからぬ唸り声などを上げたり、顔などに引っかき傷などがあったりしますが、それらは、実際にあるようです。ただ、これらは、悪魔がエクソシストの気を逸らそうとして行うと考えられているため、神父たちは、それら顕在化された悪魔の力を信じるのではなく、神への信仰、神へよりたのむことを意識してエクソシズムを行います。
悪魔に憑依されているかどうか、見極めるための指針はあるようです。超怪力、ポルターガイスト等人智を超えた力を発揮する。依頼者自身の本来の声とは違う声で話したり、憑依された人が使ったことがない言語で話す。憑依された人が知り得ないあらゆる事実を知っている。神聖なものに対して冒涜的な怒りを感じる等です。映画で、祈りによって聖別された水「聖水」を憑依した少女にかけたときの嫌悪と苦しみの具合は、映画ならではの演出かもしれませんが、こうした症状があるそうです。
これらの特徴を考えると、日本の夏の怪奇特集などで、霊媒師が憑りつかれた人のお祓いをした時の様子と類似している気がします。
精神疾患なのでは?
教会が、正式に任命した神父がおり、そうした聖職者がエクソシズム(悪魔祓い)を行っているのはわかったが、本当は、悪魔が憑依しているのではなくて、精神的疾患や、寂しくて、誰かに話を聞いてほしいから、教会にそうした相談をしにくるのではないかと勘繰ってしまいます。
実際エクソシストとして活躍されている神父さんのインタビュー(A Day in the Life of a Modern American Exorcist)を観ると、エクソシズムが必要なケーズは、5,000件の問い合わせのうち、1件ほどだそうです。
教会側も精神疾患の可能性については否定しておらず、見極めが必要としており、本格的なエクソシスムの儀式を行うにあたり、対象者は儀式精神的な疾患との区別をするため儀式の前に医学的な検査を受けなければならない、医師は儀式に立ち会わなければならないこと等が定めています。
憑りつかれた人の努力も必要
悪魔に憑依された人が、悪魔祓いをしたいという強い気持ちを持たせなければならないようです。いずれにしても人任せではだめで、教会の教えに従って、告解、聖体拝領等を行うのがよいとされていますが、信徒に限ってのことのようです。
つまり、憑依された人にも悪魔を引き寄せる何か(よく言われるのが、悪霊を呼び寄せるような黒魔術を行った等)があったため、その本人が悪魔を体から追い出す、決意がないといけないようです。
エクソシズムへの批判
カトリック教会内で、かなり組織化され、医療関係者も交えた取り組みが行われるため、悪魔祓いもかなり透明化した印象を受けますが、様々な宗教が子どもやその他の弱者への虐待を行うためにエクソシズムを利用しているという懸念があるほか、実際被害者の中には、エクソシズムに関連した儀式で死亡した人もいます。てんかんや統合失調症などの病気の人が、その症状を超自然現象のせいにされてしまうと、誤診されたり、治療を受けられなくなったりする危険性もあります。注意深く判断しながら行われているエクソシズムでも、完璧ということはないので、常にこうした懸念があることは納得です。
映画エクソシストを鑑賞
Netflixで1973年「exorcist」が公開されています。古典だと思い、怖がりなくせにおもわず、視聴して、見た後に後悔しました。日本のホラー映画のように、ぞくっとして、あとを引くようなコワさではないものの、エクソシストが実在するのを知っていると、フィクションとノン・フィクションの境目のあいまいさを感じ、嫌な寒気を感じました。劇中何人か亡くなりますが、突然感が否めなかったり、衝撃的な映像(首が回ったり・・・)が先行しており、作品としては突っ込みを入れたい箇所がありましたが、各々の役が持つ、矛盾と葛藤でした。母親は、神・教会への不信し、科学に救いを求め、神父は、信仰により少女の救いを求めたが叶わず、最後は・・・
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