フィリピン、ミンダナオ島の料理は、フィリピン料理か?

外国人が知る、フィリピン料理というのは、ブログ「外国人、フィリピン人ともに人気!!のフィリピン料理ー10選」で紹介したような、アドボ、カルデレータ、レチョン等ではないかと思います。しかし、7107の島を有する島国のフィリピン、島ごとに異なる料理があり、それらの多くは、外国人の我々にはあまり知られていません。特に、フィリピン南部ミンダナオ島西部、イスラム教徒が多く生活する地域は、その食文化は、他のキリスト教徒が多く生活する地域と大きく異なります。
ミンダナオ島ももちろんフィリピンの一部、ならば、これらもフィリピン料理として紹介されてもよいところ、その実際はあまり知られることはありません。
ミンダナオ島で食べた料理
ミンダナオ島で食べたイカをココナッツで煮た料理、ビコール地方でも見かける料理ですが、ビコール地方のイカのサイズはかなり小ぶりです。

そもそもミンダナオ島ってどこ?

ミンダナオ島は、フィリピン南部のルソン島に次いで2番目に大きな島です。主要な都市は、ダバオ(ドゥテルテ大統領が20年間市長を務めた都市で島南東部)、カガヤン・デ・オロ(島の北部)、ザンボワンガ(島の西部)、コトバト(島の西部)です。これらの都市には、フィリピン航空やセブ・パシフィックの便が一日1便ほどあります。

フィリピンの一部なのに遠い島

フィリピン人で、ミンダナオ島の近隣島であるセブ島やボホール島に出かけたことがある人はいても、ミンダナオ島に行ったことがある人は圧倒的に少ないといえます。もちろん、同島の北東部、レイテ島下のシアルガオという場所は、国内外のサーファーに有名な場所があり、他にも見どころがある島ですが、観光だけでミンダナオ島を訪れるという人はごくわずかです。
理由は、長年続く「紛争」そして、情勢の不安定さです。イスラム系の勢力、共産主義系勢力、テロ指定されている武装勢力も活動している地域で、イスラム系の勢力とフィリピン政府との和平交渉は進みつつあるものの、治安が比較的悪いことから、都市によっては夜間の外出が禁止されています。そのような理由もあり、ミンダナオ島はいつも問題がある、フィリピンの劣等生のように見なす人もいます。イスラム教徒が比較的多く生活する地域や先住民族が多く生活する地域も含み、異なる文化と歴史があることも相まって、国内でありながらも遠く感じられます。しかし、食を通じて、ミンダナオ島を近く感じられるといいなぁと思っています。以下数点が、私が知る、ミンダナオの料理です。

Sultan Haji Hassanal Bolkiah Mosque
ミンダナオ島コトバトにある「Sultan Haji Hassanal Bolkiah Mosque」
約半分をブルネイのスルタン・ハサナル・ボルキアが出資し、残りをニノイ・アキノ大統領の政権が出資して建設された2011年にほぼ完成したモスク。

Tiyula itum(ティユラ・イトム)

ミンダナオ島のイスラム教徒は14部族。そのうちの一つ、タウスグ族の料理。フィリピンの牛(あるいは山羊)の煮込みスープまたはシチュー料理。焦がしたココナッツの実を使っているため、スープの色は黒。味は、スパイシーです。色合いに驚くものの、スパイシーなスープは、肉との相性が抜群です。


TIYULA ITUM (BLACK SOUP, TAUSUG FILIPINO FOOD)
(c) Jang & Geer Home Cooking


Piaparan A Manok(ピアパラン・マノック)

マラナオ族の作る、チキンのココナツミルクのシチュー。
本格的なピアパラン・マノックは、パラパを作るところから。パラパとは、マラナオ族の料理の基礎となる調味料で、チリ(わずか1.5㎝ほどのサイズだが、とても辛い)、長ネギを刻んだものをすり鉢でつぶします。調理の際に使われるほか、マリネ、あるいはアパタイザーとしてそのまま食べられることもあるようです。鍋に基礎の調味料を加え、鶏肉を軽く炒めてから、そこにココナッツミルクにターメリック、レモングラス等をを加えます。鶏肉が調理されたら、その鶏肉は取り出し、調味料とココナッツの実を炒めたフライパンにいれ、鶏肉も炒ます。スープと鶏肉は分けてサーブされますが、両方ともターメリックの香りと色合い鮮やかで、ココナッツの甘味が濃厚です。
(c)The Not So Creative Cook - Jhuls

Sinina(シニナ)

こちらもマギンダナオ族の作る料理で、通常、牛肉やヤギをニンジン、ジャガイモ、パラパ、トマト、スパイスなどと一緒にココナッツミルクで煮込みます。Kalilang やKanduliと呼ばれる感謝祭に作られる料理です。

Beef Sinina / Sininang Baka [Maguindanaon Dish] EASY cooking tutorial / Simple Recipe / HALAL Foods
(c)ALUGAN Paganadan

Tininda(ティニンダ)

ビサヤ地域(フィリピン中部)からの料理で、一般的にはティノーラと呼ばれている料理。しかし、ミンダナオ島に行ってティニンダをオーダーするなら、ツナのティニンダがベスト。澄んだツナのスープは、コクがあり、魚肉のボリュームは満点で、大満足。
焼いたツナはマニラ等の首都圏では、限られたレストランでしかサーブされていないので、ミンダナオに行ったら、ツナを食すのがよいと思います。ちなみにジェネラル・サントスの空港では冷凍のツナも購入できます。

Pinaypay(ピナイパイ)

ピナイパイは料理というよりはスナックです。ミンダナオ島で、よく食されるおやつで、ゆわゆるバナナフリッターです。ただ、バナナをまるまる一本揚げるのではなく、切り身を入れて広げて、衣に着けてあげるので、写真のような、扇を広げたような恰好となります。そこに砂糖をまぶして完成。熱々がおいしいです。ミンダナオ島では、バナナを串刺しにして、砂糖を絡めて揚げたおやつ、バナナキュー(Banana cue)のような、ポジションです。




Ngin i seda nu.(what's your fish?)

「Ngin i seda nu(何の魚?)」と現地語で聞くほどに魚がよく食されるミンダナオ島。フィリピンの本島では、肉料理、特に豚肉を使った料理が多いのとは対照的です。仕事、調査、研修のセッションの講師、学会などを理由として、ミンダナオ島の特にイスラム教徒が多く生活する地域に足を運んでおりますが、魚料理が多かったことが印象に残っています。

ミンダナオ島のレストランでいただいた魚料理
ミンダナオ島のレストランでいただいた魚料理、キニラウ(左)、魚のスープ(右)
魚はレストランの冷凍庫に行って、選ばせていただきました(笑)


また、ターメリック、レモングラス、チリなどを使って、作られる色鮮やかで味わい深い料理が多いのがミンダナオ料理ではないかと思います。なんにでも合うターメリックとレモングラス、ココナッツミルクで炊いたご飯「kiyuning」(バナナの皮に包んで売られている)は、高カロリー!ですが、ココナッツミルクの甘さと、レモングラスとターメリックの香り、程よい塩加減がよくて滞在中、よく購入しました。

マニラでもミンダナオ島の料理が味わえる

「危険」な思いをしてミンダナオ島に行って、料理を食べようとは思わない!と言われてしまいそうですが、ミンダナオ島がすべて危険ではありません。しかし、飛行機で一時間半の距離を考えると、手近でミンダナオ料理が味わえないものか?と思ってしまうのが人情です。マニラには、ミンダナオ島から移住してきた人たちが集住する地域もあり、それらの地域では、ミンダナオ島の食文化が生きています。また、マニラには数件、ミンダナオ島の味を楽しめるレストランがあります。

Palm Grill: Authentic Southern Mindanao Cuisineレストランウェブサイト(外部リンク)
お値段は、300ペソから。本格的なミンダナオ料理が楽しめます。
場所:179 Tomas Morato Avenue Corner Scout Castor Quezon City, Philippines

Satti Grill House
サテを出しているお店。サテとは、ミンダナオ島だけではなく、インドネシア、マレーシア島の他の東南アジアでも食される、串焼き料理。 香辛料が効いたタレで味付けし、ピーナッツソースを付けていただく料理。
場所:ケソン市、SM Fairview フードコート

新型コロナ感染症でお店が続けられないというレストランが多いので、これらのレストランの営業が続くことを祈っています。

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参考ウェブサイト



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