実在のフィリピンのエクソシスト(悪魔祓い)

カトリック教徒の人口が約8割を占めるフィリピンで、宗教、またそれによらない神秘的・神聖であると思われることはとても重要であり、また毎日の生活の中に息づています。そんなフィリピンでは、悪霊に憑りつかれ苦しむ市民の声にこたえるべく、カトリック教会内にエクソシストがいます。彼らはどのような活動をしているのでしょうか。

【マニラ大司教区エクソシズムオフィス】の公式ウェブサイト

フィリピンのエクソシスト

現在、フィリピンには150人以上のエクソシストがいるそうです。彼らは、フィリピン・カトリック司教会議の下にあるフィリピン・カトリック・エクソシスト協会(PACE)に属しています。同団体はイタリアのローマにある国際エクソシスト協会とつながっており、2014年にバチカンから正式に認められた、カトリック教会公認のエクソシズムを専門とする団体です。やはりブログ「「悪魔祓い」は実在するー映画「エクソシスト(exorcist)」から」でも書いた通り、医師、心理学者、精神科医などと一緒に仕事を行うことで、そのほかの可能性を排除しているようです。

悪魔による仕業か、精神的なケースか白黒が常につくわけではない

オフィスには毎日3〜5件の電話がかかってくるので、他の教区にのエクソシストを紹介している。しかし、エクソシストたちはすぐに悪魔祓いを行うのではなく、まずインタビューを行い、その人が本当に「悪魔の攻撃」からの解放を必要としているのか、精神的に病んでいるのかを判断しないといけません。
フィリピンの全国紙Inquireのインタビューに対して、
ケースの約80%には何らかの霊的な側面があり、残りの20%は霊的なものよりも心理的なものが多いと推測されます。しかし、中には霊的なものと心理的なものが同時に存在するケースもあり、必ずしも白黒がはっきりしているわけではない(シキヤ神父)
とエクソシストは答えています。つまり、悪魔のせいで精神に異常をきたすケースもあるという意味であると理解しました。
ある種の隙がない限り、人に憑依したり、人を攻撃したりすることはできません。"ですから、たいていの場合、その人が心理的な脆弱性、精神的な脆弱性、感情的な脆弱性、人間関係の脆弱性、そして最も重要なのは霊的な脆弱性を持っている場合です。(シキヤ神父)

確かに、本当にあった怖い話系の本を読んだり、再現ドラマを観ると、家庭環境が難しくて、寂しい思いをしている子ども、離婚問題でもめて心身疲弊した母親等、人間関係が薄弱であったり、難しい状況を抱えている人たちに多いなぁという印象を受けます。 

悪魔払いの現場

悪魔払いとは、どのようなものか?映画「エクソシスト」では、最後は神父が自らの体に憑依させましたが、祈りをささげることで祓うことができるようですが、それらの現場は想像を絶するもののようです。

祈りを捧げて霊を祓うと、その人の口から釘、針、ピンなどの物体が出てきて、これらが例が去ったことを意味します。祈っていると、アリのように体から虫が出てきたり、砂が出てきたりすることがありますが、これはその人が呪われていることを意味します。(シキヤ神父)
また、状況から、悪魔に憑りつかれた人がどのような状況下で生活していたのかも、推測できるようです。特に霊的・精神的原因が白黒つけづらいケースでは、家の様子がどこかおかしいようです。家の中の人間関係が悪かったり、キリスト教で罪とされる行為が行われていたり、虐待がおこっていたり等です。いわゆる「悪魔が憑りついた家」に生活することで、自分自身予期せぬことを行ってしまいます(ホラー映画とか、Netflixの「Hauted」で聞いたようなことが起こるようです)。



憑依されている人とそうではない人の区別

憑依されている人と精神的な病気の人をどうやって区別するのでしょうか?いろいろな方法があるようですが、
①聖水を飲ませる。
憑依がある場合は、突然嘔吐したり、水が飲めなくなったり、飲めたとしても焼けるような感覚に襲われるそうです。
②聖遺物(聖人にまつわる神聖なもの)を近くに置く。その反応を観察します。
③ラテン語で書かれた「ローマの悪魔祓いの儀式」を唱える。

この3つのうちで最も効果的であるとされるのは、③だそうです。
霊に命令するときにラテン語を使い始めると、たいていそこで反応が見られます。霊にラテン語で姿を現せと命令して、その人が反応し始めたら、その人の中に私の言うことを理解する何かがあるということです。(シキヤ神父)
一般人はラテン語はわかりませんから、それに反応できるというのは、何かあるのでしょう。エクソシストがラテン語で話しているとき、自分の名前を言うように命令すると、その人が答えた場合もその兆候の一つである考えるそうです。

フィリピンのエクソシストからの注意喚起

フィリピンの神父が悪魔祓いをした時、何体もの悪魔が体から出てきたそうです!(何体も憑依されることがあるのは少々驚きです)。悪魔たちの名前は、フィリピンで有名なホラー映画の名前だったそうです。

これだけを聞くと、ホラー映画を見すぎた人が、現実とのくべつをなくして、憑依されたと思い込んで、それらのホラー映画で出てきた人物たちの名前を言っているとしか考えられませんが、話はもう少し複雑なようです。
悪魔に憑依されたとされる女性の家族は、「黒魔術」を行っていたそうです。憑依は通常、オカルトや "大罪の習慣的な生活 "などの "悪魔的な行為 "にさらされた結果であるとのこと。つまり、一晩で何かにとりつかれたりすることはないようです。
「黒魔術」とは、特定の人を呪ったりする、日本でいうところの藁人形の儀式を行うようなものでしょう。そんなことされているの?と驚くかもしれませんが、地方に行くと、本人も「黒魔術」とは知らずに宗教的・あるいは悪魔的な儀式を行っていることがあるようです。

悪魔からの解放の時はあるのか?

壊れた家庭がたくさんあり、許せない気持ちやネガティブな気持ちが溢れています"壊れた人間関係、機能しない家族がたくさんあります。憎しみや暴力が蔓延していて、精神的にも感情的にも傷ついている人がたくさんいます。(シキヤ神父)

エクソシズムを行って、悪魔から解放された後も、また憑依されてしまう人がいるそうです。そのため、祓われた後は、カウンセリングが行われますが、アフターケアがどのくらい続くかは、ケースによって異なるそうです。
事務所に寄せられるケースの多くは性的虐待の被害者であり、憎しみや許せない気持ちが強いと、再び悪魔が戻ってくる可能性があるため、この場合は、月に1〜2回のカウンセリングを1年近く続けることになります。また、それほど重くないケースでは、1~2回のカウンセリングで終了することが多いようです。

これらの話を読みながら、思う以上に人間の見えるものと見えないものを隔てる壁はうすいのかなぁと思ってしまいます。

関連ブログ

参考リンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿

Subscribe