フィリピンでの学校の怪談ー実際に聞いた話

時に無性に観たくなる怪奇特集。夏真っ盛りの日本、今頃は怪奇特集などが組まれているだろうなぁと思いながら、海外では視聴できないテレビ欄をチェックしています。

日本テレビ、夏の怪奇特集「あなたの知らない○○」を見て育った私は、怪奇現象なるものに興味惹かれます。それは今も変わりありません。怖い怖いと思いながら、どこかぞっとするような経験を求めてしまいます。

フィリピン人もかなり怖い話好きだということはブログ「フィリピン人の怪談好き」に書いた通り。怖い話の一つや二つ知っているだけで、パーティーなどでの人気者です。そして、フィリピンにも学校特有の怪談話があります。

怖い話のイメージ写真
怖い話のイメージ写真

生徒・友人が教えてくれた学校の怪談

トイレからの歌声
アテネオ大学ナガ校の●●校舎(イエズス会宣教師の名前が校舎の名前になっています)の2階のトイレに夜中に入ると、トイレからスペイン語の歌声が聞こえてくるとのこと、なんだか楽しそうじゃないかと思ってしまうのでは著者だけでしょうか。やはり、トイレの怪談はフィリピンにもあるようです。

シャワールームの怪
同校のかつてあった木造の校舎には、職員が宿泊できるスペースがあり、シャワーも浴びられるようになっていたようですが、だれもいないはずのシャワールームで”誰かが”シャワーを浴びているという話があります。シャワーを浴びている最中にその”誰か”が「石鹸かしてくれ」「シャンプーを貸してくれ」などとお願いするとのこと。特に人に危害を加えるわけではないものの、人々は怖がったようです。しかし、石鹸もシャンプーもなしにシャワーを浴びようとするなんて!と突っ込みを入れてしまいそうです。

ラジオ
マニラのタフト通りにあるエミリオ・アギナルド大学での話。エミリオ・アギナルド大学は病院と隣接した、看護師と医師を輩出する学校です。その大学のNSTP*オフィスでの話。

職員が残業をしていたら大音響でラジオが鳴り響きました。驚いた職員は、その音の発生源であるラジオのコンセント切り、仕事を再開。それからしばらくしてすぐにラジオが鳴り響くので、ラジオの内臓の電池が問題なのだと思い、ラジオを手に取り、本体を調べたものの電池内蔵式のものではなかったそうです。再び、ラジオは大音響で鳴り響くので、その職員はあわてて帰宅したそうです。

NSTPのオフィスはその後奇妙な現象が続き、違う場所に移動されましたが、元々は病院の霊安室として使われていたとのこと。

*NSTPとはNational Service Training Programの略称。高等教育機関の学生を対象とした国家ボランティア訓練プログラム。コミュニティでのボランティア活動を行います。



エレベーターの怪奇現象
同じく、エミリオ・アギナルド大学でのはなし。同大学は、都市部にありなおかつ、大きなビルを有しているためエレベーターが設置されています。(リッチな学校ですなぁ。)

看護学生が実習期間中にエレベーターを夜中に一人で利用したときのこと。ある階で止まったそうです。しかし、誰も乗ってくる気配はありません。

おかしいと思って扉を閉じようとしても扉はすぐ閉じません。そして、すぐに人数オーバーのアラームが鳴りました。その看護学生は、恐ろしくなってエレベーターを飛び降りたとのこと。

一体何が入ってきたのか?それは分かりませんが、エレベーターが止まった階はちょうど学生が自殺した階だったのだとか。この話は、多くの生徒によって共有されています。

トイレの話は、なんだか愉快ですが、オフィスの怪奇現象とエレベーターの話は笑えませんでした。実際、上記の大学に行ったことがありますが、昼間でも校舎の中が薄暗く、それらの話が事実では無く「学校の怪談」として語り継がれることに妙に納得してしまいました。

フィリピンの怪談話、特に学校の怪談は、旧日本軍の幽霊と関連付けられることが多いようです。戦中に存在していた学校は、軍によって窃取され、軍の施設として使われていました。上記のアテネオ大学も然り。そのため、夜中に日本の兵隊の恰好をした幽霊を見るなど噂になりました。
しかし、実は、教員で一人、歴史学を教えている先生が授業の度にテーマにあったコスプレをしていたことで知られていましたが、その一つが旧帝国陸軍の制服でした。もしかしたら、その教員が夜中校舎を歩いていた姿だったりするのではと思ったのは、私だけではないはずです。

学校の怪談×社会学

大学講師時代、教えていた社会学の課題の一つとして「リサーチペーパー」の提出を課していました。リサーチの手法と社会学的考え方を訓練するためのものでしたが、お題が決まらず私の元に相談にくる学生もおりました。

その相談の中に、「学校の怪談」の調査がしたいというグループがありました。上記の通り、怖い話が大好きな私は、どうしたらそれが社会学的な調査になり得るのか、生徒と話し合いました。なぜ学校の怪談が語られるのか?そして話が継承されるのか?

学校の怪談はサブカルチャーの一つとして考えられています。妖怪物語は、親から子に語られ、そしてそれは教育やしつけ的な意味合いを持ちます。例えば、少々古いですが、妖怪草履に手足の生えた「化け草履」。妖怪というよりは付喪神として描かれることがありますが、この妖怪は主に捨てられた履き物に宿った霊が妖怪となり、履き物を粗末にする人間の家に懲らしめにくるという話。こうした話を通じて、物を大切にすることを子どもたちは学びます。

学校の怪談は、親から子どもではなく、子ども同士の伝承です。それゆえに「教訓」じみた教えはそこにはなく、子どもたちが社会の規範を理解するその助けになっています。学校の怪談話の起こる時間帯は、放課後です。ここから「早く帰宅する」する、「寄り道をしない」という規範と結びついています。また、話す側もコワイ話をすることで「勇気」を示せるなど、学校の怪談に対するそれぞれの態度があるようです。

上記の生徒の提案、あまりに私が面白がって議論に参加してくるので、学生は恐れをなしたのか最終的にはテーマを変えてしまいました。フィリピンでは、学校の怪談についてどんな態度を示すのか見たかったので、残念。

ちなみに現在のところ、日本のように「トイレの花子さん」「テケテケ」のような全国区の学校の怪談は聞いたことがないので、引き続き調査します。

何がコワイか

大学教員生活中、朝市の授業で7時の出勤、そして嫌がらせのように割り振られた夜の授業(笑)のため、職員室の扉を開き、閉じるのは私でした。ビビりなため、懐中電灯を持って見回りする警備員にビビったりしていましたが、実際一番恐ろしかったのは・・・

帰宅時、夜道で自転車をこいでいる最中に野良犬3,4匹に全力で追いかけられたこと(笑)フィリピンの田舎道では、飼い主とその一家の安全のため(強盗などの防止のため)、飼い犬を道に放ちます。禁止されている行為のため、行政に訴えると、その放し飼いの家族に警告が行きますが、そんな野暮なことは近隣の住人はしません!(しかし、私はは真剣に行政に報告しようと考えました。)

とにかく噛まれたら絶対病院に行き、狂犬病予防のための注射を打たないといけません。というわけで、幽霊よりも野放しにされた犬が恐ろしいと思ったのでした。

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