助け合うフィリピンコミュニティーバヤ二ハン精神

 昨晩、自宅から数キロの近隣で大規模な火災がありました。今振り返ると、朝方3時ごろに聞こえたサイレンが、応援で駆け付けた他地域の消防車両の音だったようです。火災は全国放送のニュースでも報じられました。火災の原因は現時点ではわかっていませんが、3階建てのアパート数棟が炎に包まれました。幸いなことに、死者はありませんでしたが、多くの家族が家財の一切を失いました。


Bizarre beelden: woningblok Haagse Schilderswijk in brand
(c) Omroep West

このニュースを聞いたのは、ニュースではなく、フィリピン人コミュニティ内にある自助グループからでした。このアパートに生活する人たちの中にはフィリピン人も含まれており、彼らをどう助けるかということが、グループ内での朝からの議題になり、フィリピン人の文化の根底にあるバヤニハン(bayanihan:同じ村に住む人同士が助け合う、無償の奉仕)精神が発揮されました。

当面のニーズへの対応

当面の住居、衣服、食料、生活用品をどうするかということでした。まず、現地のNGOとのつてがある団体が、現地の住居問題を扱うNGOに連絡し、早々に住居の問題は解決し、火災の被害者は、当面の住居を得ることができました。衣服に関しては、コミュニティ内で寄付を募り、衣類を渡すことになっており、食料に関しては、現在赤十字を通じてコロナで職を失った外国人移民(特に、インドネシア、フィリピン、ラテン系の国の人)に配給しているスーパーの商品を配ることなどが、決定されました。

火災ですべてを失ったら?

火災ですべてを失ったらどうなるのでしょうか。もちろん、それが、借家であるか否か等で、かわりますが、日本では、火災で家財を一切失った場合、火災保険、市町村の役場からの補助、貯金、仕事からの定期的な稼ぎから、当面をしのぎ、生活を立て直すということや、友人や知人から助けを得るのではないかと思います。しかし、外国人である彼らは単身で同地に滞在していることや、中には滞在期間を過ぎて滞在している人もおり、公的な支援にアクセスすることができないこともただあります。

自己責任?

違法滞在を推奨するわけでは決してなく、本人のためにも!(実際、それらの人たちの話を聞いて、その大変さは想像以上であることから)、一旦帰国して再度入国する道を探すべきだと思っています。しかし現実には、何らかの事情で、許された期間を過ぎても滞在し続けるという人はおり、特にコロナ禍においては、自国に待つ家族への仕送りのために、就労を続ける外国人移民は一定数存在します。

いざというときの備えがないこと、また特に不法滞在などは自己責任だといわれても仕方がないようにも思えますが、特にコロナにおいて、就労の機会と賃金が安定しない移民たちはすでにリスクをめいいっぱい背負っているため、それを追求することは酷であることや、実際に、先進的であるといわれるオランダにおいてもそれを声高にいう人はそれほど多くはありません。

誰がサポートするのか?

こうした外国人移民たちは、公的な支援を受けることは当然できないことから、NGOや自助グループが介入することとなります。特に、コロナによるロックダウンで職を失った人たちをサポートする団体同士のつながりが強くなることで、今回の火災被害者への対応も早くなったのではないかと思います。
移民が多く生活する地域での火災であることから、実際各国の自助グループやNGOなども現在被災者のサポートのために尽力しているのではないかと思います。私の所属するグループでは、さっそく日常品の購入、衣類の寄付、彼らがNGOが用意した居住スペースに移るまでの期間の滞在先が話し合われました。

お互い様

私は、さっそく、寄付が可能な衣類の準備を行い、夫はさっそく我が家を一時の滞在先として、使ってほしいと申し出ました。正直なところ私は、現在妊娠中であることから、コロナ感染のリスクを減らすため全くの見ず知らずの人の滞在についてはためらいがありました。しかし、公園に滞在してNGOの用意した施設への入居時間を待っている被災者の話を聞いて、お互い様ということで了承しました。実際は、NGOの施設に近いフィリピン人の家に滞在することとなりましたが、これら一連のやり取りから、見ず知らずであってもフィリピン人同士の連帯が強いことを再確認しました。
寄付、被災者の滞在を申し出た世帯が決して裕福であるというわけではなく、比較的一般的な世帯です。しかし、彼らが一様に思っているのは、コロナにあって、居住地があること、食べ物があり、職があることは、どれだけ恵まれていることなのか、特に彼らの母国のフィリピンでは、コロナで貧富の差が広がるのを目の当たりにして、お金持ちではないけど、自分の今の生活がどれだけ恵まれているのかを感じているように思います。


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