ジャガイモ天国のオランダの家庭料理、冬の定番ーマッシュポテト”スタンポット(Stamppot)”

ジャガイモは、オランダでよく食べられる野菜の一つで、オランダ出身の画家ゴッホの傑作「ジャガイモを食べる人々」にも描かれています。今ぐらいの時期から冬にかけて、オランダにおけるジャガイモの消費量は多くなる気がします(笑)。実際、夏場に近所のスーパーであまり売れていなかったジャガイモがいまでは品薄です。その理由の一つが、恐らくオランダの家庭+冬の定番料理、スタンポット。
スタンポットはオランダ語でStamppotと表記されます。stampはMash(つぶす)を意味し、potは料理用の深鍋です。文字通り、ゆでたジャガイモをつぶした料理です。冬場は、茹ででつぶしたばかりで温かいジャガイモが体を温めます。オランダの代表的家庭料理であり、この時期の我が家の夕食のメニューの一つともなるスタンポットをご紹介します。
オランダの定番料理、スタンポット(Stamppot)
オランダの定番料理、スタンポット(Stamppot)


スタンポットのバリエーション

上記の通り、スタンポットは、一種類以上の野菜をジャガイモと一緒にゆでる、あるいはある程度ゆであがったジャガイモに野菜を混ぜ合わされて作られます。スタンポットのバリエーションとは、単に添えるあるいは混ぜる野菜などの組合わせの違いに過ぎないのですが、ジャガイモという味が淡白な食材なゆえに、添える野菜や加える調味料、付け合わせの肉や魚、ソースなどでも味がかなり変わります。そして、それ故に定番のスタンポットもありますが、各家庭の味があります。

スーパーで販売されているスタンポットの材料
スーパーで販売されているスタンポットの材料


スタンポットの王道ーBoerenkoolstamppot(ボーレンコールスタンポット):
ケールのスタンポット

ケールは、青汁の原料!として知られているのではないかと思います。食物繊維、カルシウム、ビタミンが豊富で、サラダとして生で食されることもありますが、青汁のCMで「まずい、もう一杯」と言いたくなる理由がわかるほど、口あたりは良いとは言えず、味は苦め。ケールをサラダでいただくのはしんどいなぁと個人的に思いますが、スタンポットとして食べる分には、味は幾分か和らぎます。ケールは、ゆでてある程度柔らかくなったジャガイモと一緒に加熱調理されます。
Boerenkoolstamppot(ボーレンコールスタンポット)
Boerenkoolstamppot(ボーレンコールスタンポット)


色鮮やか、ほんのり甘いーHutspot(ヒュッツポット):人参のスタンポット

ジャガイモとニンジン、タマネギを茹でてから鍋の中でつぶしたマッシュポテトです。色は人参の色で鮮やか。ミートボールやソーセージを添えた場合、ヒュッツポットといわれますが、クローブを効かせた牛肉の煮込みが添えられることもあります。

酸味が病みつき?ーZuurkoolstamppot (ザワークラウトスタンポット):キャベツの漬物のスタンポット

ザワークラウトは、キャベツの漬物です。乳酸菌で発酵した、酸味のきいた漬物です。このキャベツの漬物の他、バターで炒めたリンゴを加えることで、酸味と甘みが増します。

優しい味わいーPreistamppot(プレイスタンポット):リーキのスタンポット

リーキあるいはリークともいわれるプレイは、ネギの一種で、太目の長ネギという見た目です。味は、長ネギよりは甘めで、刺激は少ないため、ネギが苦手という人も食べられるのではないかと思います。我が家では、スープ等に入れて食しています。

ケールのスタンポットと味は違うの?ーRauwe Andijviestamppot(ロー・エンダイブスタンポット):エンダイブのスタンポット

エンダイブは、東地中海原産の緑の野菜で、見た目はサラダ用の野菜のようですが、味に苦みがあるのが特徴で、カリウムやカルシウムが多く含まれています。味は、少々ケールのスタンポットに似ていると言えますが、個人的にはケールのスタンポットの方が食しやすい気がします。

付け合わせ

ジャガイモに混ぜる野菜に色々なバリエーションがありますが、つけあわせも同様、肉、魚等家庭によってそれぞれと聞きます。しかし、これぞザ・スタンポットという食材はもちろんあります。

大迫力の極太ソーセージ、ロークウォルスト(Rookworst)

ロークウォルスト(Rookworst)とは、スパイスがきいた極太のソーセージです。大きさは、恐らく40㎝、直径は5㎝ほど。ロークウォルストは、一口サイズにスライスされることもありますが、切らずにそのまま、マッシュポテトの上に盛られます。すごい迫力です。

ロークウォルスト(Rookworst)
ロークウォルスト(Rookworst)は一年を通じて、スーパーに並んでいます。

ハシェ(Hachee)

ハシェは、オランダの伝統的なシチューで、クローブを効かせた牛肉の煮込みが添えられます。濃厚な味は、オランダ料理に批判的な外国人を唸らせるほど(ちょっと、大げさかもしれませんが・・・)、スタンポットとの相性は抜群です。

味に深みを与えるひと手間、茹でジャガイモに加える味付け

スタンポット・・あぁ、マッシュポテトね・・・と侮っていましたが、ひと手間かけたり、野菜との組み合わせを工夫することで、単なるプレーンな味のマッシュポテトの味わいとレパートリーが広がることに驚きます。
炒めて甘くした玉ねぎ、カリッとソテーしたベーコンを加えたり、マッシュポテトに入れるバターの代わりに、生クリームや、削ったチーズを加えたりします。バターは風味を与え、生クリームは茹でジャガイモの水分を増やし、滑らかにし、チーズは風味と味の深みを与えます。
こう考えると、日本人がご飯にふりかけをかけたり、納豆と食べたり、生卵を乗せたりする感覚、工夫と似ているようにも思えてきて、少々親近感がわきます。

どこで食べることができるか?

失敗する可能性が少ない簡単な料理だと思いますので、オランダで食べずとも、日本の自宅で、作ることは可能です。
しかし、オランダに旅行する機会があり、どうしても本場のスタンポットが食べたい!という場合は、オランダの町にあるフードスタンドなどでも販売されているので、購入可能です。
オランダの家庭用品を販売するチェーン店「HEMA(ヘマ)」のスタンポットは有名です。スタンポットの材料も同店で購入することができますが、カフェを併設している場合は、そこで注文し、食することも可能です。そこまでして・・・という場合は、オランダの至る所で見かける、青い看板が目印のアルバート・ハイン(Albert Heijin)をはじめとする、スーパーマーケットなどでも販売しています。ぜひお試しください。

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