オランダ秋・冬の風物詩―カロリー爆弾!ドーナッツの元祖!オリボーレン(Oliebollen)”油でできたボール”

オランダはすっかり秋の気候となり、朝晩は連日15度を下回り、上着なしでは寒いくらいです。もちろん、こんな中でもTシャツをきている強者もいるわけですが・・・この肌寒くなる時期から年始にかけて、オランダの各所で出現するのが、オリボーレンを販売する大きくて派手な屋台です。

Oliebollen オリ―ボレン オランダ
Oliebollen オリ―ボレンの屋台をみると、もうクリスマスが近いなぁと思うようになりました。


Oliebollen(オリボーレン)”油でできたボール”とは?

小麦粉、卵、酵母、塩少々、牛乳、ベーキングパウダーで作られた生地に、レーズン、柑橘類の皮、果物の砂糖漬け、ナッツ等が入り、粉砂糖がふりかけられたボール状の手のひらサイズの揚げドーナッツです。
味は・・・ドーナッツですが、具材もいろいろ、中に入っているもので、食感が変わるので面白いです。個人的には、レーズン入りのオリボーレンが好きです。ドーナッツ生地の甘さとレーズンの甘酸っぱさのバランスがいいと思います。
ただ、オリボーレン自体かなりオイリーで、一ついただいただけで結構お腹にたまるほか、人々はそのカロリーの高さから「カロリー爆弾」と認識しているようです。

オリ―ボレン(Oliebollen)の屋台
秋・冬に街中に現れるオリボーレン(Oliebollen)の屋台

これが、ドーナッツのプロトタイプ(笑)オリボーレンの起源は結構古い

17世紀の絵画に描かれ、レシピもある
結局のところ、ボール状のドーナッツなのね・・・と思いますが、その起源は古く、17世紀の絵画にも描かれ、また、17世紀に発行された本にそのレシピも掲載されています!当時の名前は、Oliebollenではなく、当時は油でできたクッキーを意味する(oliekoecken/オリクーケン)と呼ばれていました。

我々がなじみがある、穴あきのドーナッツは、アメリカに起源があるようですが、もともとはこのオリ―ボレンが起源と考えられています。ドーナツは、「Dough:ドウ/生地」と「Nut:ナッツ」が組み合わさった造語です。なので、オリボーレンは、ドーナッツの元祖ともいえるのではないかと思います。

ゲルマン神話に起源がある?
クリスマスごろから年始にかけて、ゲルマン人はユールの祭り(キリスト教以前の冬至祭)を行い、その時にこのオリ―ボレンが食されたといわれています。
ゲルマン神話の女神ペルヒタは、悪霊と一緒に真冬に彷徨い、悪い子には悪夢を見せ、内臓を切り開き石を詰め込み井戸に沈め(!)、よいこには、褒美を与えるという伝承があります。脂っぽい食べ物、特にオリボーレンを食べた場合は彼女の剣は滑ってしまう、と言われていたため、油の多い食べ物が食されたといわれます。

ユダヤ系移民が持ち込んだ?
また、15世紀にポルトガルのユダヤ人移民セファルディムがオランダに持ち込んだとも言われており、ハヌカ※で伝統的に食べられていたユダヤ教のスフガニヤ(Sufganiya)という、中にジャムが入り、粉砂糖が振りかけられた揚げパンに関連があるのではと言われています。実際、かなり似ていると思いますが、こちらはどちらかというと、ミスドのエンゼルクリームに似ているきがします。オリボーレンが、ジャガイモみたいな見てくれなのに対して、見た目は美しい気がします(笑)
※ハヌカ:ユダヤ教のお祭りで、光の祭りとも言われており、ハヌキヤという8枝の燭台を飾り、ひとつずつ、毎晩灯をともしていきます。ハヌカの起源は古く、紀元前にさかのぼるといわれています。当時、イスラエルは、ギリシャにより占領され、その支配は厳しいものでした。支配に抗するべく、民が団結し、数々の奇跡をおこしながら勝利しました。その勝利と奇跡を祝うのが、ハヌカです。クリスマスの時期とも重なるため、イスラエルをクリスマス時期に訪れた際、8枝の燭台に光が灯っている様子を目にしました。

いつ、食べるのか?

秋・冬に屋台で販売されるようになりますが、オランダ人の家では年末に沢山揚げ、大晦日、あるいは年始に食べたり、年末の職場で配られたりもします。オランダ人、これを食べると、冬、クリスマス、年始の雰囲気を感じられるようです。また、子ども時代、年末にオリ―ボレンを揚げる甘い匂いが家の中に立ち込めたときのことを思い出すのだとか。

どこで購入できるか?

秋・冬に町に現れる屋台で購入できるほか、オランダのパン屋さんでも度々見かけます。一つ、1ユーロほどです。また、スーパーマーケットで、オリボーレン用の粉が販売されており、自宅でも作ることが可能です。

オリ―ボレンのパウダー
オリ―ボレンのパウダー
(C)KOOPMANS



ドーナッツ系は家で作ると、至る所が油だらけになってしまうので、流石に作りたい・・・とは思いませんが、オランダのこの時期の雰囲気を楽しむため、という理由だけで、屋台で購入したりします。しかし、これを食べると、日本のミスドの、不変不動でおいしいと思われるオールドファッション(これもカロリーが高いw)が無性に懐かしく、食べたくなります。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿

Subscribe