トビリシにはスターリンが共産主義の思想を広げるために利用したとされる秘密の印刷所、スターリン地下印刷所 (Joseph Stalin Underground Printing House)があり、一般に公開されています。
以前からこの博物館の存在を聞いていましたが、訪問の機会がなかなかありませんでした。しかし、つい先日にゴリにあるスターリン博物館を訪れたあと、改めて訪れたいと思い、来館することになりました。
博物館の噂は色々聞いてきました。名物「館長」のソソさん(ヨシフという名前の愛称)が熱く共産主義とはなんぞや、またこの印刷所の意義を語ってくれるという話でしたが訪問時に残念ながらソソさんは不在。
しかしその代わりにとてもテンションの高いおばちゃんがロシア語とジョージア語で館内を案内してくれました。案内前にはチャチャというジョージアのウォッカといわれるアルコール度数の高い飲み物やナッツを勧めてくれてとてもフレンドリー。おばちゃんのあの奇妙な高揚感はお酒のせいだったのかはわかりませんが、おかげで約20分弱の館内ツアーは楽しいものでした。
ただ、ジョージアの共産主義活動について系統的な展示はされていないので、それらは期待しないように。館内の独特の雰囲気を楽しむのがよいでしょう。
博物館の敷地内、本館の隣の小さな家とその隣に納屋があり、そこがかつて印刷所として使用された場所であり、博物館のメインの展示といえるでしょう。
建物の構造は以下の図の通りで、一軒家とその地下に更に地下を設けました。その深さは約10メートル。その地下室にドイツ製の機材の部品を持ち込み、その場所で組み立てて使用されていました。
地下室の更に下の地下室には1メートル四方の出入口ありましたがそれらは通常は塞がれおり、地下室の下の地下室を知られないようにしていました。博物館の訪問者のためにその出入口は今は常に開放され、また訪問者が落ちないように柵が設けられています。出入口を覗くと、印刷機械が見えます。
博物館の訪問者用に設けられた階段を降りて印刷所として使われた地下室の下にある地下室を見学。そこでは朽ちるがままになっている実際の印刷機や、井戸と繋がっている通路への入り口もみることができました。室内照明の明暗のためか、通路の入り口はより暗く感じられました。
この地下室で印刷作業に従事していた人たちは、警察の見回りがある時などには作業を中止しなければなりませんでした。印刷機の音で気が付かれる可能性があったためです。
もちろん、地下階で作業している人たちは警察の見回り等に気づくことはできないため、地上階と地下階をつなぐベルの鳴らす回数で、作業の中止、続行、退避の指示を送っていました。
この博物館の良さは、実際に使用されていた印刷所や納屋の様子を観ることができることかと思います。所要時間は30分程でしたが、レプリカなどではない実物をみることで、歴史をよりリアルに感じられました。また、こうした博物館があることで、共産主義が強い影響を及ぼしていたこと、未だに影響を及ぼしていることを実感できる場所だと思います。
この博物館では物足りないという場合はぜひゴリの「スターリン博物館(Stalin Mseum)」に訪問してみてください。
入館料:寄付
開館時間:11:00から18:00(要確認)
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以前からこの博物館の存在を聞いていましたが、訪問の機会がなかなかありませんでした。しかし、つい先日にゴリにあるスターリン博物館を訪れたあと、改めて訪れたいと思い、来館することになりました。
博物館の正面には、ソビエト社会主義共和国連邦のシンボルであった鎌と槌の標章があしらわれています。 |
レーニンとスターリンのレリーフが来館者を迎えます |
いろんな意味で噂通り?
情熱的なガイド博物館の噂は色々聞いてきました。名物「館長」のソソさん(ヨシフという名前の愛称)が熱く共産主義とはなんぞや、またこの印刷所の意義を語ってくれるという話でしたが訪問時に残念ながらソソさんは不在。
しかしその代わりにとてもテンションの高いおばちゃんがロシア語とジョージア語で館内を案内してくれました。案内前にはチャチャというジョージアのウォッカといわれるアルコール度数の高い飲み物やナッツを勧めてくれてとてもフレンドリー。おばちゃんのあの奇妙な高揚感はお酒のせいだったのかはわかりませんが、おかげで約20分弱の館内ツアーは楽しいものでした。
ちなみに著者はロシア語もジョージア語もさっぱりわからないので、その案内してくれたおばちゃんが何を言っているのかは、ジェスチャーをみながら理解する他、ゴリのスターリン博物館で得た知識を総動員しました。
博物館で何が観れる?
本館の展示物
博物館の入り口に続くレンガ作りの建物内にある展示物は、20世紀初頭のコーカサスの活動家たちの写真、当時の発行された新聞、また秘密の印刷所の模型等をみられる他、とても古めかしい電灯が灯るヨーロッパのマップがあり、どのようなネットワークで共産主義思想がヨーロッパに広がったのかを俯瞰できるようになっております。スイッチを入れると光るマップ スイッチを入れるとなんとも言えぬ音を発します。雰囲気は、ウルトラマンの科学特捜隊が使っていそうな様子。別に電気を使わずとも良かったのではないかと思ってしまいました。 |
活動家の面々 |
秘密の印刷所
いろんな興味深い展示物がありますが当博物館のメインの展示は、本館にはありません。博物館の敷地内、本館の隣の小さな家とその隣に納屋があり、そこがかつて印刷所として使用された場所であり、博物館のメインの展示といえるでしょう。
スターリン地下印刷所 (Joseph Stalin Underground Printing House) |
印刷機材は、一般的な一軒家の地下に設置されました。ロシア帝政期では共産主義活動は禁じられていたため、これら言論活動は秘密裏に行われていました。
建物の構造は以下の図の通りで、一軒家とその地下に更に地下を設けました。その深さは約10メートル。その地下室にドイツ製の機材の部品を持ち込み、その場所で組み立てて使用されていました。
スターリン地下印刷所 (Joseph Stalin Underground Printing House)の構造図 |
地下とその下層階をつなぐ穴 |
実際に使用されたドイツ製の印刷機 100年以上も前に使用されていた印刷機の保存状態は悪く、朽ちるがままになっています。 |
もちろん、地下階で作業している人たちは警察の見回り等に気づくことはできないため、地上階と地下階をつなぐベルの鳴らす回数で、作業の中止、続行、退避の指示を送っていました。
納屋にある井戸につながる通路 |
家屋の外にある納屋には井戸を模した、地下約15メートルに掘られた穴があります。ここから、食料品等必要なものを地下におろしていたほか、緊急の際の出口となっていたようです。
深さ15メートルの井戸 水はなく、地下の印刷所に繋がっているが、この井戸からの出入りはできない様子 |
約3年間印刷機を使用した活動を行うことができましたが、地下室があることが知られてしまい、関係者は拘束されてしまいました。一説には地下室から漏れる僅かな光が井戸に見えたため、あるいは警察が葉を落とした時に葉が横穴に吸い込まれたため、横穴があることがバレたと聞きます。
印刷所が警察により発見されてしまったときの様子 |
この博物館では物足りないという場合はぜひゴリの「スターリン博物館(Stalin Mseum)」に訪問してみてください。
行き方
バスQueen Ketevani Avenue #57あるいはDoesi Streeの停留所で下車。トビリシの中心からはバス37か137を利用。Queen Ketevani Avenue #57で下車する場合はイギリスの国旗であるユニオンジャックが目印のホテルを背にして、道路を渡ってそのまま直進し続けた場所にあります。スターリン地下印刷所 (Joseph Stalin Underground Printing House)案内
所在地:Kaspi St, 7, Tbilisi Georgia入館料:寄付
開館時間:11:00から18:00(要確認)
関連ブログ(ジョージア国内の博物館・美術館)
[ジョージア]スターリン博物館(Stalin Mseum)in ゴリ[ジョージア] ジョージアとロシア(旧ソ連)の関係を学ベる展示(The exhibition of Soviet Occupation)
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