超危険?ジョージア国、陸の孤島トゥシェティ(Tusheti)までの道のり

トゥシェティ(Tusheti)は、ジョージアの角、トビリシの北部にあり、ロシアのダゲスタン共和国、チェチェンと国境を接する山岳地域。この地区に通じる道は唯一つ、かつ短い夏の間のみ開放されており、一年の多くは閉ざされているまさに陸の孤島、また人々はジョージア最後の秘境とも呼んでいます。

観光シーズン真っ盛りの7月、8月は多くの観光客が同地を訪れています。著者がトゥシェティを訪問した時は、イスラエル、ポーランド、ロシアからの旅行者に出会いました。友人の話によるとチェコからの旅行者も多いとのこと。
Bochorna村、ヨーロッパで一番高い場所にある村
ボチョルマ(Bochorna)村、ヨーロッパで一番高い場所にある村
以前は、世界遺産のウシュグリ村でしたが、2014年の人口調査で、この村に通年生活する男性がいることがわかり、この村がヨーロッパで一番標高の高い場所にある村となりました。



近いようで遠い80キロ

それら全ての旅行者は、トゥシェティまでのアフメタ地区のアルヴァニ(Alvani)から出発するバン、あるいは自ら車両を運転して、中心村オマロ村に続く一本道を通っていきます。その道の長さは、約80キロメートル、距離にして東京駅から神奈川県の三浦海岸ほどの距離。東京駅から三浦海岸までは、Google mapで確認すると、1時間15分ほどの道のり。しかし、アルヴァニからオマロ村までは3時間半から4時間かかります。

道が舗装されておらず、狭く、切り立った断崖に沿うようにしてあるため、時速20キロときに15キロという自転車なみの速度で進むため、この遅さ。さらに、2000メートルを越す道は霧で覆われ、視界ゼロということもあり、霧が晴れるまで待機するという旅行者も見られ、この3時間半の道のりは、4時間にも5時間にもなり得ます。

トゥシェティの地図
(c) OpenStreetMap

最も危険な道の一つ?

このトゥシェティの道は、BBCのWorld's Most Dangerous Roads(2012年12月の放送)でも取り上げられました。同プログラムは、英国国営放送のシリーズで、最も危険と言われる道を四輪駆動の車を運転する旅番組です。

この回のホストはジョージア東部カヘティ地方のラゴデヒからジョージアに入国し、トゥシェティからウダブノ、ルスタヴィ、トビリシ、ゴリ(スターリン博物館に立ち寄り)、アンブロラウリの方面からウシュグリ、メスティア、黒海に面する港町ポティに抜けるという路程を行きました。

番組の構成で多くの時間を費やしたのが、トゥシェティまでの道。番組のテーマである、World's Most Dangerous Roadsを撮影しなければならないためですが、ベテランの運転手でもかなり注意して運転する道を、慣れていない番組ホスト2人が運転するため、ひやひやしながら番組を鑑賞しました。
これは著者が撮影したトゥシェティまでの道のり


ちなみにホストの2人は、ジョージアがパトロールをするチェチェンとの国境側にも訪問していますが、観光で訪問する場所ではないので、安易に行かぬように。

死傷者の多い道

トゥシェティまでの道のり、少しでもハンドルを切り間違えたら、谷底に真っ逆さまです。実際、道が作られてから、死傷者は絶えずトゥシェティの道すがら幾度も小さな慰霊碑を見かけます。慰霊碑には、死者の名前、生年と亡くなった年、時に肖像画が刻まれています。特にAbano Passを通過する前の切り立った崖を抉るようにある道は「罪深い崖」と呼ばれていると聞きます。ここでも何人かが亡くなったと聞きます。
トゥシェティに続く道
トゥシェティに続く道
1940年代、スターリンはトゥシェティの村々に至る道を作ろうとしたものの、断念しています。後、1979年に道が整備されました。道が整備され、途中コンクリート加工したものの、それは道の僅かなぶぶんのみ。あとは、未舗装のまま残されています。この道をコンクリート化することは不可能ではないものの、まず道幅を広げなければなりません。
Tusheti
このような道が続いていきます。「危ない」と分類される場所は比較的、渓谷のような場所が多く、とても美しい風景を臨めます。

しかし、世界でも最も危ない道か?と聞かれると、そうは言い切れません。途中道が狭くなったり、崖崩れがある場所も通過するため、危ないものの「最も」というのは少々誇張しすぎな気がします。とはいうものの、運転手が注意深く運転するためにも、このように「最も危ない道」の一つである!というのも手ではないでしょうか。

トゥシェティに行く際の注意

2019年7月現在、首都トビリシからトゥシェティまでの定期運行のバンやマルシュルートカはありません(時にトビリシ発トゥシェティ行というバンがあるようですが、すぐに満席になってしまうようです)。もちろん、車両を借り上げることで可能となりますが、それ以外はカヘティ地方のアフメタ地区行政府のアルヴァニに行き、そこでバンに乗り込むことになります。バンは、満員になり次第出発する仕組みになっています。電話等で予約をして席を確保することも可能です。

道が未舗装であるため、天候が崩れ、道の一部で崖崩れ等が発生すると道が封鎖されます。下山したいと思ってもそう出来ないこともただあります。そのため、同地に行く場合は余裕を持っていくのがよいでしょう。

それでもトゥシェティは一押し!

怖がらせる目的で書いたわけではありませんが、「危ないから行かない方がよいかも」と思われても仕方がないかもしれません。しかし、村に到達するまでも美しい風景が臨め、厳しい自然の中の美しさを感じられ、手付かずの自然を楽しめる場所であるため、是非日本人旅行者にも訪れてほしい場所です。

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