[書籍] オランダ人はポリシーあるケチ?「物語オランダ人」を読んで

オランダ関係で読んだ本、「物語オランダ人」

オランダ生活十数年の著者からのオランダ考察の書。
数年前のオランダ初渡航前に読んだのだけれど、オランダへ行く気が少々萎えたのは事実。根強い反日感情を持つ国民性、ケチで自分本位、責任感の欠如、新人いびりなどなど。著者である倉部さん、書きたい放題の一冊でした。

一方で膨大な財政赤字を克服し、EUの優等生、オランダモデルと賞賛した、オランダ像はどこへ?という感じである。けど、実は合理性と歴史的に積み重ねられた中では何も矛盾は実際ないようです。

物語 オランダ人 (文春新書)
作者: 倉部誠
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2001/07


拝金教の信者?

写真:ぱくたそ(https://www.pakutaso.com)
(c)おさぴー



お金が大事で、拝金主義ということ。「オランダ人(男性)から名誉や妻を奪うことは出来ても、金を奪うことはできない」(p85)オランダはカトリックが多数を占めているが、実際は拝金教の人が多い!。

オランダ人がお金を使う順位としては、「1家、2家具、3洋服、4食べ物」(p86)ということで、オランダ人にお財布の紐を緩ませるは容易ではなく、お金を使う場合は価値が長く続くものに費やされるようです。

今となってはIKEAのお手軽な値段の家具がオランダ市場を席巻していますが、実際年配の方のお宅を訪問すると美しい、クラシックな家具が置かれており、時に客人に家具を買った経緯などを説明します。実際、友人宅にお邪魔した際に家の中の家具を見せて頂いたことがあります。

ポリシーあるケチ

では、本当に彼らはただのドケチの守銭奴なんでしょうか。

オランダが国際的な地位を保っている理由にはただのケチではない国民性があります。国際的な危機があると国民からは義援金がものすごい早いスピードで集まるのは有名な話。

1973年のオイル危機の時は、日本が「アブラ寄りの外交政策」をとったのに対して、オランダは外交政策であるイスラエルを支持する政策を固持して、アラブ諸国の要求には応じなかったとのこと。自分の主義主張を貫くために「金」に頭を垂れる訳ではないようです。

盗難自転車

オランダに訪問した際にいいなぁと思ったことの一つに、自転車用の歩道があることでした。[オランダ人の自転車愛」に書きましたが、自転車が生活の一部であるため、自転車に関するインフラが整っています。日本では自転車も歩道を走っており、帰国直後それに慣れていないためか、よく激突しそうになりましたが、オランダではその心配はありません。専用の道路があるということは街を行く、自転車の数も多いということになります。ただ、本によると10台に1台は盗難車。

急に自転車が必要になった時には、街中ならば、「見つけたぞ!俺の自転車を返せ!」と声を出せば、身に覚えのある人は置いて逃げるそうです(笑)。ちょっと試して見たい気もします。

いろいろと言ったけど・・・

色々と生活や職場で見えるあれこれを書いていますが、近頃の政治の右傾化を除いて、日本が見習わないといけないところも結構あるのではないでしょうか。

清潔な政治、明快な外交方針、国際的な発言力、日本の政治にはないところだと思います。また、経済においてはパートタイムの雇用を増やすことで不況を克服しています。日本では企業のコストカットのため、パートが雇われるということがありますが、オランダではパートと正規雇用の労働条件を同じにして、安心してパートの仕事に付けるようにしているようです。

印象としては公平性のために、大きな社会的なコストを払っている社会にみえます。ただ、一部の人が恩恵を受けるような社会ということではないようです。本からオランダのネガティブな側面を沢山学びましたが(汗)、学びがいのある面白い国だと改めて思いました。

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