世界名作劇場とスイスーハイジだけじゃなかった、スイス出身の主人公

スイスはヨーロッパの巨人と言われ、世界経済フォーラム(WEF)が発表した国際競争力ランキングで、8年連続で首位の座を維持しています。技術力、従業員の効率性、ビジネス環境がその首位キープの理由です。
そんなスイスですが、観光立国としてもその競争力はトップクラス。2016年前半期の延べ宿泊客数は1680万人と、前年比19万人の減少が見られたが、ある年代になじみ深い「世界名作劇場」、アルプスの少女ハイジの舞台、その描かれた自然の美しさが人気です。

しかし、「世界名作劇場」でスイスが舞台となった、あるいはスイス人が登場した物語がハイジ以外にあることはあまり知られていないのではないでしょうか。


なつかしの世界名作劇場

世界名作劇場、これまで約26作品(カルピスマンガ劇場を数えると32作品)、フジテレビ系列で毎週日曜日の夜19時30分より放送されていました。日曜日の夜ということもあり、これを見ると明日からまた一週間学校が始まると感覚的に思ったものです。

名作劇場はカルピスマンガ劇場という番組枠でスタートし、30代が知るハウス食品世界名作劇場、あるいは世界名作劇場という名前で放映されていました。アルプスの少女ハイジ(1974年)、フランダースの犬(1975年)、母をたずねて三千里(1976年)・・・赤毛のアン(1979年)トム・ソーヤーの冒険(1980年)など、世界の名作をアニメ化し、放送しました。全くのオリジナルは、「七つの海のティコ」。

この32作品中、スイスが絡んでいるのは、アルプスの少女ハイジ(1974年)、アルプス物語 わたしのアンネット(1983年)、家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ(1981年)、ロミオの青い空(1995年)、ペリーヌ物語(1978年)と5作品ほど。しかし、それらはスイスが舞台とは限らず主人公の故郷、通過点でした。ペリーヌ物語は、ボスニアからフランスへの旅の話ですが、その際スイス(シンプロン峠~ジュネーブ)を通過しています。

ちなみに、世界名作劇場の舞台となった国で多いのはアメリカ、イタリア、イギリスの3カ国、他に舞台となった国はオーストラリア、フランス、ギリシャ、ケニア、フィンランド、世界の海、異世界(ネバーランド!)など。

世界名作劇場マップ(スイス編)


世界名作劇場、スイスマップ

▲世界名作劇場の舞台、主人公の故郷をマップ化してみました。




 ベルン州ベルン(Bern)

『家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
放映期間:1981年1月4日~同年12月27日、全50話
ロビンソン一家はスイスベルンで開業医を営んでいたが、オーストラリアの友人である医師から誘われ、家族で移住することになる。スイスからオーストラリアへ向かう途中、船が座礁し、南洋の無人島に漂着。一家が力を合わせ、無人島でサバイバル生活する様子が描かれる。1年の生活ののち島から脱出し、オーストラリアに無事に到着する。
家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ第一話
ベルンの街並み (c)日本アニメーション

ベルン州の州都。チューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルに次ぐ都市の規模を誇る、ドイツ語圏、標高542メートル、人口は14万人。
主人公一家の出身地。親友の医師の誘いでオーストラリアへの移住を決めるまで代々医者を営んできたロビンソン一家が生活していた。
あらためて、フローネがスイス人であることを思い起こしました。無人島からオーストラリアに到着したのち、フローネのお母さんが「こんどこそ本格的なスイス料理をごちそうしてさしあげますわ」と言っています。(最終話)

BANDAIチャンネルで一話のみ無料視聴可(http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=2276)

ティチーノ州ソニョーニョ(Sonogno)

『ロミオの青い空』
放送期間:1995年1月15日~同年12月17日、全33話
スイスのソニョーニョ村で生活していたロミオ、病で父親が倒れ自ら煙突掃除婦としてミラノで働くことを決意する。アニメでは、ソニョーニョ村の旅立ちから、ミラノでの生活、帰郷とその後が描かれているが、物語の中心は煙突掃除婦として生きる少年たちの生きる様と友情。

ロミオの青い空 最終話で故郷に帰ったロミオが丘から見下ろしたソニョーニョ  (c)日本アニメーション

イタリア語圏、標高919メートルで人口は100人ほど。
主人公ロミオが生まれ育った町。ミラノで煙突掃除婦として働いてのち、故郷に戻る。ロミオがスイス人とは、知りませんでした。今となっては世界で最も裕福な国の一つ、スイス。しかし、第一次世界大戦がはじまる20世紀初頭までは、山岳部の貧しい地域から、ドイツなどの周辺国への“こども”出稼ぎが行われていました。時に子ども市なるものが立ち、体格などを調べ、善し悪しを比較したのだと言われています。
ロミオの青い空もそうした歴史的背景があります。

グラウビュンデン州マイエンフェルト(Maienfeld)

『アルプスの少女ハイジ』
放送期間:1974年1月6日~12月29日、全52話
両親を亡くしたハイジは、5歳まで母方の叔母に預けられていたが、のちスイスアルムの山小屋でひとり生活する、父方の祖父に預けられる。アルプスの自然の中で伸び伸びと育っていくハイジ。ハイジを取り巻く人間関係が物語の中心となっている。

アルプスの少女ハイジ オープニング (c)日本アニメーション

ローマ街道の拠点にもなった歴史ある街。標高635メートル、人口2,523人。

ハイジの原作者ヨハンナ・シュピリはヒルツゥエルの生まれ(チューリッヒから25キロ)結婚後はチューリッヒに居住を移す。ときどき、イエニンスに住む友人を訪ねるようになり、そこでの生活が「ハイジ」の物語に反映されたと言われます。現地は、ハイジの村として観光地化され、ハイキングガイドが無料配布されています。

ペイダンオー地方ロシニエール (Rossinière)

『アルプス物語 わたしのアンネット』
放映期間:1983年1月9日~12月25日、全48話。
スイス・ロシニエール村に住む貧しい農家の娘アンネットと、幼なじみで親友でもある男の子、ルシエン。ルシェンはアンネットの幼い弟ダニーに怪我をさせてしまう。それ以来アンネットはルシエンに辛くあたるが、やがてルシエンが連れてきた医者ギベットのおかげで、ダニーは再び歩けるようになり、二人は友情を取り戻す。
アンネットオープニング (c) 日本アニメーション


17〜18世紀の歴史的な木造小屋(シャレー)が多く残されている。フランス語圏、標高920メートル、人口は507人。

改めて、スイスの美しい自然が子ども時代にアニメを通じて刷り込まれた(!)のだと感じました。スイス旅行が人気となる理由がわかる気がします。スイスでも日本で制作された「アルプスの少女ハイジ」が放映されたのだとか。

ベルギー王国フランダース州アントワープ県アントワープ市ホーボーケン区は、日本人観光客にはフランダースの犬の「聖地巡り」地として人気があります。原作とは異なる物語を知らない現地の人はそんなに人気な理由は分からないようですが、スイス人は日本人の「ハイジ」人気を知っており、またスイスでも有名な物語です。

おまけ―フィリピンで大好評だった小公女セーラ

フィリピンで、日本のアニメは大ブームで、皆「ナルト」「るろうに剣心(サムライXという英題もついている)」「ワンピース」「ブリーチ」、ひと世代前では、「幽遊白書」「ドラゴンボール」などが有名です。

世界名作劇場系では、小公女セーラを知っている人が多く、驚きました。セーラーのストーリーがよかったと言います。貧困のゆえに苦難に遭いつつも、正直に生き、最後はハッピーエンドというストーリーがフィリピン人に訴えるものがあったのだと思います。

実は、アルプスの少女ハイジは私の年代ではなかったので、フルで観たことはありません。これを機に視聴してみたくなりました。

参照
子どもの出稼ぎスイスの昔
日本アニメーションhttp://www.nippon-animation.co.jp/work/meisaku/

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