それでも大学で教える理由―フィリピンの大学教員の独り言

薄給、長い労働時間、土日のない仕事内容・・・にそれでもなんで教員をやるのか?と尋ねられたら、恐らく以下のように答えるでしょう。

生徒との対話の面白さ

学生の反応や質問が面白い。これが教員のだいご味ではないかと思います。頭の回転が速い学生がおり、鋭く面白い質問が飛び出し、授業を盛り上げてくれます。

またフィリピンでは、学生のノリがよく、ロールプレイをやりましょうというと、もうノリノリで衣装まで準備してくれちゃうほど。予想外の展開があったりします。生徒も教員も人。相性というものもあります。なので、相性がよいとどこまでも盛り上がるわけです。

同僚との対話

数少ない(笑)気の合う同僚との対話。大体1つの学部に一人は長話しても飽きないという人がいます。四方山話から入り、アカデミックな話に結論されるのはかなり面白かったりします。

フリーランスと組織での仕事の間

これは、著者が感じるところですが、大学と言う組織の人間でありながら限りなくフリーランスに近い仕事形態。知識とスキルはシラバスに沿って提供しつつ、慣れてくれば自分の持ち味を生かした授業が出来るということ。

先日ブログで書いた通り、教員職、かなり忙しいもののやり方によっては自分の時間を作れるということを意味します。



いくらでも掘って行けるという可能性

自分のやりたいことをある種織り込んでもOKな所でしょうか。勿論、シラバスにそってやらねばなりませんが・・・例えば、夏季の授業では、近くを流れるナガ川の付近の様子を観察すべく、授業に川の周辺散策をとりいれ、また文化の授業の延長で街に生活するイスラム教徒を招待し、講演してもらったりしました。仕込みや準備はかなり大変でした(大学構外授業の場合は、書類一式を学校に提出しないといけない)が、生徒たちにはおおむね好評で、教員にとっても楽しい活動でした。
特に私が教える社会学は、フィールドワークなしでも十分成り立ちますが、フィールドでの調査がものを見つめる目を養い、うまくサポートすることで学生たちの学問への意欲を掻き立てると思っています。
そういった意味では、教えなければならない所をとりこぼさず、しかし常にアプローチを変えて、取り組めることが面白かったりします。

次回は、汚染が進みひどい様子のナガ川とその付近の人の生活をとりいれた社会学を展開したいところ。(←旦那の仕事の関係で暫くオランダに移住するためにできませんが・・・)

これらの理由を述べて、薄給・長い労働時間・強い倫理性が求められる仕事ながら、またやりたいと言うと思います。

今はフィリピンはK to 12という10年生(小学校6年、高校4年)という教育から12年生(小学校6年、ハイスクール4年、シニア・ハイスクール2年)の過渡期。教員は人員削減されたり、長期休暇を取るように推奨されたりします。それ故、同僚の教員の何人かは修士号の取得等を理由に長期の休暇に入ります。

著者もこの夏(5月)で一旦職を辞します。理由は旦那の仕事の都合。昨年からオランダにいる旦那と生活すべく一旦フィリピンを離れます。いいところだったのに~!というのが本音。しかし、数年後フィリピンに帰った時にはまたこの職に就きたいと思うのでした。

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