「どうか、落とさないで~どうぞ、お願いします」、「奨学金の関係でこれ以上低い点数をとることができないのです!」「是非、考慮/考え直してください。」
これは、大学教員生活中幾度が学生から直接のメールや電話のテキスト等メッセージ、あるいは直談判の内容。どれも痛切な訴え、その理由は以下にあります。
ちなみにフィリピンの大学では、単位を満たせば、1年のいつでも卒業が可能です。ただ、“卒業の思い出”を残したいのであれば、やはり2学期が終わる3月卒業を狙いたいところです。
収入が低い中で、この学費。それを考えると、決してリーズナブルとは言えません。
そのため、親族の誰かは海外におり、学費を支援したりしています。
親からのプレッシャーから、カンニング行為も見受けられます。今では携帯電話を使ってのものもあります。
そもそも、学生何故単位を落とすのか?
教員は評価のためにクイズ、また理解を深めるためという理由で課題を出します。もし、課題をたくさん出す教員にあたったら、まさに寝る時間はありません。
また、著者の教える大学では毎月試験があります。中間と期末の間にもあるので、学生は常に復習を怠らないことを義務付けられます(と言っても全ての学生がこうしているわけではありませんが。)
更には学校行事(運動会)、学部ごとの行事もあり、もし役員と言う立場であれば大忙しです。
ちなみに、学科によっては全り集中の科目平均点を下回ったら、他の学部に移らなければならないという事情もあります。勿論、他学部に移ったあと、挽回出来たら自分の学部に戻れます。特に厳しいのが会計学部。それ故、会計学部の学生さんは猛烈に勉強します。
そもそも何故そんな学生が大学に来ているのか。ここフィリピンは学歴社会。大学卒と高校卒では雲泥の差です。そのため、やはり親が子どもを大学に入れたがります。まぁ、親の意向で入学→やる気があまり出ない→成績が落ちる→やる気が出ない・・・という悪循環。
日本でもそうですが、日本では技術を身につけ収入を得る機会があるのですが、ここフィリピンでは社会の基盤が弱く、全体的に職も若年人口の増加の割に不足しており、高校卒では安定した給与を得る職を得ることはかなり厳しい状況です。
著者の場合は、5時間以内の欠席は理由は問わないが、5時間以上となった時には病院で受診したという診断書など証明する書類がある場合は理由ありの欠席としてカウントしないことにしています。手がきの言い訳文は基本的には受理しないことにしていますが、事情次第では最終的には認めていたりします。事情というのは、書類の入手にお金が必要であった場合、客観的な文書を提出できた場合などです。
しかし、課題を出し、小試験を定期的に行った場合、欠席や遅刻は実質命取りになります。
単位を落とした時にはもう諦めるしかない・・・けど、中にはこんな学生さんも。
教員は、義務ではないものの生徒に成績の理由を一番初めのオリエンテーションで説明しており、「譲歩」は出来ないことを告げています(少なくとも著者はそうしています。)。しかし、そんなことも忘れて、何故このスコアなのか、なんで自分は落ちたのか・・・と教員に説明をせまります。
学科教員が大学に成績表提出の後は、教員に”改善”を訴えても何もできません。なので、学生側は先生の不備を(無理やり、こじつけてでも)見つけ手紙を書いて学校側に提出し、不服を訴えるという手段に出ることもあります。
そうなると大変。手紙は大体学部長を通じて受け取るので、受け取った教員はその学部長宛に詳細を書き記し、返信をしないといけません。生徒の必死さも理解できるものの、数百人と生徒を抱え、成績表の提出に追われる学期末の教員にとってはたまったものではありません。(←この必死さを、授業中に発揮してほしいものです。)
けど、この行為は学生というよりはむしろ保護者が自主的に行うもので、中には学生は一言も発せず、先生と保護者のみが対話しているという光景も。教員も学生に質問するが、学生答えず・・・とか。学生さん、親への説明に困り、直に教員に説明してもらおうとするわけです。
中にはぬきんでた学生も。皆が皆落ちるか、落ちないかというレベルでは勿論なく、むしろ授業に退屈しているかも?と思うことも。けど、彼ら少数の人たちに合わせられない難しさもあります。科目によっては、他の課題を出すことも。
スタディツアー、ワークキャンプなどでフィリピンの学生と触れ合う機会がある皆さん、これで何故フィリピンの学生は単純に何か行事があるから・・・とかいう学校を休めないか、おわかり頂けたであろうか。
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授業時間内に出された課題に取り組む学生 |
落とせない単位
フィリピンでは、学費は単位ごとに収めます。それ故に殆どの学生が、卒業単位ぎりぎりをとります。なので一科目でも落としたら即卒業単位に満たなくなり、それが4年時の最終学期で起きれば即、卒業時期の延長を意味することになります。ちなみにフィリピンの大学では、単位を満たせば、1年のいつでも卒業が可能です。ただ、“卒業の思い出”を残したいのであれば、やはり2学期が終わる3月卒業を狙いたいところです。
高い学費
学費もけっして安くありません。私の務める大学の年間の学費は25,000~35,000ペソ程度。日本円にすると約6~8万円ほど。なーんだ、安いじゃん、と思われるかもしれませんが、地方の現地の月給が20,000ペソもらっていればよいほうです。また、平均はそれより低い場合が多く、さらに通学のための交通費、食費、その他諸々の費用がかかってきます。収入が低い中で、この学費。それを考えると、決してリーズナブルとは言えません。
そのため、親族の誰かは海外におり、学費を支援したりしています。
親からのプレッシャー
高い学費を払う親。それ故に、単位を落とすわけにはいきません。しかし、全ての学生が大学という最高学府の教育システムに向いているわけでは決してないわけで、おのずと成績のよい・わるい学生、中には単位を落とす学生もいます。親からのプレッシャーから、カンニング行為も見受けられます。今では携帯電話を使ってのものもあります。
そもそも、学生何故単位を落とすのか?
忙しい学生
フィリピンでは、科目は通年ではなく一学期で終わるように設計されています。そのため1科目は週に3時間となっています。このシステム、学費支払いや卒業のシステムを考えると理にかなっていますが、学生(と教員!)は大忙しとなります。教員は評価のためにクイズ、また理解を深めるためという理由で課題を出します。もし、課題をたくさん出す教員にあたったら、まさに寝る時間はありません。
また、著者の教える大学では毎月試験があります。中間と期末の間にもあるので、学生は常に復習を怠らないことを義務付けられます(と言っても全ての学生がこうしているわけではありませんが。)
更には学校行事(運動会)、学部ごとの行事もあり、もし役員と言う立場であれば大忙しです。
ちなみに、学科によっては全り集中の科目平均点を下回ったら、他の学部に移らなければならないという事情もあります。勿論、他学部に移ったあと、挽回出来たら自分の学部に戻れます。特に厳しいのが会計学部。それ故、会計学部の学生さんは猛烈に勉強します。
学問に不向きな学生
単純に学問に不向きな学生もいることも確かです。そうなると教員としてどれだけ噛み砕いて教えてもかなり厳しいことに。そういう学生は学問への関心もそれほど高くはありません。なぜなら、苦しみを耐え忍んでいる状況だから。そもそも何故そんな学生が大学に来ているのか。ここフィリピンは学歴社会。大学卒と高校卒では雲泥の差です。そのため、やはり親が子どもを大学に入れたがります。まぁ、親の意向で入学→やる気があまり出ない→成績が落ちる→やる気が出ない・・・という悪循環。
日本でもそうですが、日本では技術を身につけ収入を得る機会があるのですが、ここフィリピンでは社会の基盤が弱く、全体的に職も若年人口の増加の割に不足しており、高校卒では安定した給与を得る職を得ることはかなり厳しい状況です。
自分で決めていない専攻
自分で決めていないから、今一つやる気が・・・という声も。自分で決めなければ、だれが決めるの?親や親族、特に学費を出資する人の影響力大。一昔前は、看護師になって海外で働いてほしいと願う親が多く(今でもかなりの割合でいるようですが)いました。今は会計士や色んな職種に渡っています。手に職、資格→安定した職を求めているようですが、今一つという学生も・・・出欠席
AFという制度がある。Failure due to Absence (欠席の故の落第)。5時間(クラスによっては、1.5時間/一回、あるいは1時間/一回のため、前者では3回以上、後者では5回以上の欠席)以上の欠席で自動的に落第となります。教員によってはいかなる理由を問わず欠席は欠席。著者の場合は、5時間以内の欠席は理由は問わないが、5時間以上となった時には病院で受診したという診断書など証明する書類がある場合は理由ありの欠席としてカウントしないことにしています。手がきの言い訳文は基本的には受理しないことにしていますが、事情次第では最終的には認めていたりします。事情というのは、書類の入手にお金が必要であった場合、客観的な文書を提出できた場合などです。
しかし、課題を出し、小試験を定期的に行った場合、欠席や遅刻は実質命取りになります。
単位を落とした時にはもう諦めるしかない・・・けど、中にはこんな学生さんも。
不服を訴える生徒
あの手この手を使って、先生に成績の”改善”と”譲歩”を迫るのもフィリピンの学生。never give up 精神。この精神は素晴らしいもの。しかし、それは、著者の教える科目を勉強する中で発揮してほしかった精神です。教員は、義務ではないものの生徒に成績の理由を一番初めのオリエンテーションで説明しており、「譲歩」は出来ないことを告げています(少なくとも著者はそうしています。)。しかし、そんなことも忘れて、何故このスコアなのか、なんで自分は落ちたのか・・・と教員に説明をせまります。
学科教員が大学に成績表提出の後は、教員に”改善”を訴えても何もできません。なので、学生側は先生の不備を(無理やり、こじつけてでも)見つけ手紙を書いて学校側に提出し、不服を訴えるという手段に出ることもあります。
そうなると大変。手紙は大体学部長を通じて受け取るので、受け取った教員はその学部長宛に詳細を書き記し、返信をしないといけません。生徒の必死さも理解できるものの、数百人と生徒を抱え、成績表の提出に追われる学期末の教員にとってはたまったものではありません。(←この必死さを、授業中に発揮してほしいものです。)
保護者を連れてくる学生
時に親、兄弟、親族を連れて教員のところにやってくる学生もいます。実際著者もそのような経験をしました。懇切丁寧に何故単位を落としたのか説明し、お帰り頂きました。教員としては来て頂いても結構ですが、こうしてプレッシャーかけられても決定事項は変えません!というスタンス。当たり前ですけどね。けど、この行為は学生というよりはむしろ保護者が自主的に行うもので、中には学生は一言も発せず、先生と保護者のみが対話しているという光景も。教員も学生に質問するが、学生答えず・・・とか。学生さん、親への説明に困り、直に教員に説明してもらおうとするわけです。
中にはぬきんでた学生も。皆が皆落ちるか、落ちないかというレベルでは勿論なく、むしろ授業に退屈しているかも?と思うことも。けど、彼ら少数の人たちに合わせられない難しさもあります。科目によっては、他の課題を出すことも。
スタディツアー、ワークキャンプなどでフィリピンの学生と触れ合う機会がある皆さん、これで何故フィリピンの学生は単純に何か行事があるから・・・とかいう学校を休めないか、おわかり頂けたであろうか。
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