1月11日現地時間の昼前、フィリピン、マニラから南へ約80キロにある観光名所タール火山が噴火し、噴煙が上空1万〜1万5000メートルに到達しました。火山灰は、周辺地域に降り注ぐのみならず、マニラの北部、ケソン市まで届き、周辺地域は、火山灰で視界が大変悪く、異臭が家屋の中までただよい、それはマスクをしていても防ぎれぬほどひどい様子であると伝えられます。
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は、タール山噴火の危険度を示す指数を、5段階中のレベル3(マグマの不安)から、レベル4(危険な噴火が差し迫った状態)に一段引き上げました。数週間あるいは数日のうちに大きな噴火を引き起こすとの予想があります。
フィリピンに家族、友人が留学などで滞在しているけど、大丈夫なのかなぁと思った人もいるはず。また、大学生の春休み、あるいは卒業旅行のシーズンも迫る中のことで、「フィリピン行こうとおもっていたけど、火山噴火しそうだけど大丈夫なのかなぁ?」という声も聞かれます。
2.たびレジは登録すべし!
フィリピン、ビコール地方、マヨン山避難民支援
1977年以降、火山活動は活発になり、今日に至っています。このような歴史があるため、フィリピン政府は同島で生活するのを禁じていますが、貧困のため、同島で農作業を行う人、またタール湖で漁業が行われています。
https://www.phivolcs.dost.gov.ph/
Volcano Monitoring (Alert Levels)
https://www.phivolcs.dost.gov.ph/index.php/volcano-hazard/volcano-alert-level
【24日 緊急放送決定!】 火山灰が航空機に与える影響とは!?
https://natgeotv.jp/tv/news/detail/idnews/14
ピナツボ火山噴火の影響シミュレーション
https://www.mri-jma.go.jp/Dep/cl/cl2/gallery/pinatubo-sjis.html
How many active volcanoes are there on Earth?
https://www.usgs.gov/faqs/how-many-active-volcanoes-are-there-earth?qt-news_science_products=0#qt-news_science_products
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は、タール山噴火の危険度を示す指数を、5段階中のレベル3(マグマの不安)から、レベル4(危険な噴火が差し迫った状態)に一段引き上げました。数週間あるいは数日のうちに大きな噴火を引き起こすとの予想があります。
タール湖とタール火山 タール山はタール湖の中心に位置し、その湖の周辺にバランガイ(フィリピンの行政の最小単位)がいくつか存在しています。それら、バランガイの住民は、タール湖での漁や、島への観光で生計を立てています。 |
それに対しては無責任に「大丈夫!」とは言えないのですが、現地に行くまで、そして現地での安全情報の見方と、フィリピンの火山活動のこれまでについて簡単にまとめましたので、これらを参考にしていただきながら、渡比の判断をしてください。また、現地に家族、友人などが居る場合の安否の確認の参考にしてください。
安全情報はどこで確認するの?
日本のニュースでも、タール山の噴火は報じられていますが、現地や国際ニュース機関の発信したニュースのサマリー(まとめ記事)というようなもので、詳細(現地にどれほど影響しているのか等)情報は現時点ではありません。
こういう時に便利なのは、在フィリピン日本大使館が発行する「フィリピンにお住まいの皆様及び旅行者の皆様へ」というお知らせ、英語での読解が可能であれば、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)が定期発行する公報(Bulletin)、全国テレビニュースABS-CBN、写真が多いビジュアルにわかりやすいCNN Philippines、解説が長めだけど有益な情報を掲載するInquirer等の全国紙でしょう。
情報サイト一覧
外務省海外安全情報/フィリピン https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_013.html#ad-image-0 日本語
たびレジ(登録ページ): https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html 日本語
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS): https://www.phivolcs.dost.gov.ph/ 英語
フィリピン国家災害リスク削減管理委員会:http://www.ndrrmc.gov.ph/ 英語
フィリピン国家災害リスク削減管理委員会:http://www.ndrrmc.gov.ph/ 英語
ABS-CBN:https://news.abs-cbn.com/ 英語
GMA News: https://www.gmanetwork.com/news/ 英語
24 Oras : https://www.youtube.com/channel/UCqYw-CTd1dU2yGI71sEyqNw (Youtube)※タガログ語
CNN Philippines:https://cnnphilippines.com/ 英語
Inquirer:https://www.inquirer.net/ 英語
※利用する航空会社のウェブサイトも合わせて確認しましょう。運行の最新情報が掲載されています。
Inquirer:https://www.inquirer.net/ 英語
※利用する航空会社のウェブサイトも合わせて確認しましょう。運行の最新情報が掲載されています。
外務省海外安全情報を活用する(日本語サイト)
1.外務省海外安全情報
在外公館の担当官が現地の情報を集め、邦人の安全のための情報を掲載しているサイトです。英語のニュースは読めないけど、とにかく現地の生活者や旅行予定者が安全であるか、しりたいという場合にまず確認すべきサイトだと思います。
在外公館の担当官が現地の情報を集め、邦人の安全のための情報を掲載しているサイトです。英語のニュースは読めないけど、とにかく現地の生活者や旅行予定者が安全であるか、しりたいという場合にまず確認すべきサイトだと思います。
2.たびレジは登録すべし!
なお、旅行予定者(3か月未満の滞在)は「たびレジ」(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html)というサイトに登録すると、現地の安全情報が登録したメールに送信されます。必要に応じて、時には頻繁に情報を送ってくれます。
現地のサイトを確認する(英語・タガログ語)
現地語を解することができ、ラジオ、テレビでニュースを理解できるに越したことはありませんが、そうではない場合でも、英語を解することができれば、基本的な情報は以下のウェブサイトで入手することができます。
1.フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は科学技術省(DOST)所管で地震・火山監視を担っている機関です。定期的に火山活動や地震についての公報をウェブサイト上で発表しており、現地のニュースはこの機関の発表を元に報道しています。
しかし、ウェブサイトはそれほど見やすくありません。今回の報道に関しては、ホームページにあるタブ「Volcano」で、プルダウンメニューで「Volcanic Bulletin」をクリック、Taal Volcano「TAAL VOLCANO BULLETIN 13 JANUARY 2020 8:00 A.M.(等と書かれている)」というタブを探し、クリックすると、現在の様子、火山活動により引き起こされた地震を確認できます。
2.ABS-CBN(民放 オンライン・テレビ)
全国網のテレビニュース局。テレビのニュース(タガログ語)の他、オンライン(英語)が充実している。また、24 ORAS(GMA)も局は異なるが、全国を網羅するニュース局。両局とも地方オフィスがあり、地方にフォーカスしたテレビ報道を行っております。
3.CNN Philippines(民放 オンライン・テレビ)
個人的にはCNN PhilippinesよりもInquiryを読むことが多いのですが、CNNの良さは、写真が多いこと、そして英語の動画報道が含まれていることが多いのがよいところ(とはいうものの、インタビューに答える人はタガログ語だったりするのですが・・・)。
どこまで危険なのか?
1月13日現在、火口から半径14キロ以内の火砕流及び火山津波の危険性が高い地域からの避難指示が出されています。多くの危険は周辺地域で起こっているため、近づかない限りは危険を避けることができます。
20世紀最大の噴火で、多くの死者を出した1991年フィリピンのピナツボ山の噴火(レベル5)とタール山のレベル5の噴火ではその度合いが異なります。
ピナツボ山のレベル5では、火砕流および/または噴火柱が少なくとも6 kmまたは海抜20,000フィート上昇し、進行中の危険な爆発的噴火が起こるとされます。タール山の場合は、 噴火柱または溶岩噴水または溶岩流を伴うベースサージ※が起こります。
離れた地域で注意すべきは、地震です。フィリピンの近年の建物は国の定める耐震基準に従いマグニチュード7〜8.4の耐震性を持って建てられていると言われますが、1992年以前の建物は今後検査が必要とのことです。(そもそも、耐震基準を定めてもそんなものに従っていない企業がどれほど多いことか!)
また、火山灰で重篤な病気になることはないようですが、ぜんそくの発作を引き起こしたり、咳が出たり、目に入って炎症を起こすなどするので、火山灰が降るであろう地域に滞在予定がある人は、マスクなどを持参することが推奨されます。
フィリピン火山地震研究所のアラーとの意味するところ
危険度の指数が5段階中の4に上がったとのことですが、フィリピン火山地震研究所は以下のようなフィリピン全土の活火山に適用できる大きなフレームワークを持ちつつも各火山の形状、噴火の歴史などから各火山の差異を持たせています。レベル0 Quiet or No Alert 静かまたは警告なし
レベル1 Low Level of Volcanic Unrest 低レベルの火山不安
レベル2 Moderate Level of Volcanic Unrest 中程度の火山の騒乱
レベル3 High Level of Volcanic Unrest 高レベルの火山不安
レベル4 Hazardous Eruption Imminent 差し迫った危険な噴火
レベル5 Hazardous Eruption in Progress 進行中の危険な噴火
How TV Patrol covered the Pinatubo eruption
(c) ABS-CBN
(c) ABS-CBN
ピナツボ山のレベル5では、火砕流および/または噴火柱が少なくとも6 kmまたは海抜20,000フィート上昇し、進行中の危険な爆発的噴火が起こるとされます。タール山の場合は、 噴火柱または溶岩噴水または溶岩流を伴うベースサージ※が起こります。
※ベースサージとは水蒸気や空気などのガスと火山灰や岩塊など固体破片の混合した低温の火山砕屑流。火口から環状に広がる横なぐりの噴煙を指し,低温の火山砕屑流である(Moore : 1976, 荒牧 : 1979)1911年のタール山噴火では、ベースサージが火山と湖を囲むようにして存在する村々を襲い多くの死者を出しました。
何に注意すべきか?
噴火にともなうベースサージは危険ですが、火山の火口から半径14キロ離れることでそれを防ぐことができます。とにかく、興味本位で近づかないことです。離れた地域で注意すべきは、地震です。フィリピンの近年の建物は国の定める耐震基準に従いマグニチュード7〜8.4の耐震性を持って建てられていると言われますが、1992年以前の建物は今後検査が必要とのことです。(そもそも、耐震基準を定めてもそんなものに従っていない企業がどれほど多いことか!)
また、火山灰で重篤な病気になることはないようですが、ぜんそくの発作を引き起こしたり、咳が出たり、目に入って炎症を起こすなどするので、火山灰が降るであろう地域に滞在予定がある人は、マスクなどを持参することが推奨されます。
なぜ、何で火山の噴火で飛行機が欠航になるの?
旅行者を悩ませるのは、飛行機の欠航だと思います。マニラ国際空港からタール火山までの距離は約70キロ。それほど離れているのに、なぜ飛行機の発着に影響がでるのだろうかと不思議に思われるかもしれませんが、火山灰が飛行機を墜落させる可能性があることはよく知られていることです。1982年にブリティッシュ・エアウェイズのボーイング747型ジェット機がインドネシア上空で火山灰の中に突っ込み、エンジンが4基とも停止した事故が有名です。
「燃焼機関は空気を吸い込むことで動き、動力を生みだす。火山塵が航空機のエンジンの精密部品に入り込むと、さまざまな不具合を引き起こす可能性がある。砂嵐の中を走行する自動車と同じように、エンジン内部の部品を詰まらせることになる」。 さらに、対気速度を測定するセンサーとして用いられるピトー管と呼ばれる装置を火山灰の浮遊粒子状物質が詰まらせてしまう。「火山灰でピトー管が詰まると計測値が正確に送られなくなり、飛行機が失速してもパイロットが飛行速度を把握できない事態になりかねない」(National Geographic)。
活火山が多いフィリピン
フィリピンは、環太平洋火山帯に位置しているため、昨年一昨年も地方の活火山が噴火したというニュースがよく報じられます。フィリピンには407火山(休火山も含めて)あり、そのうちの25が活火山です。全世界で400〜500ある活火山の25がフィリピンにあるというのはなんともです。
最も噴火が多いのはビコール地方のマヨン山
タール火山は25の活火山のも2番めに活発な火山です。最も噴火が多いのが、ルソン島南部、ビコール地方にあるマヨン山です。円錐形美しいこの山は、フィリピンの富士とも呼ばれていますが、過去に幾度と無く、大きな噴火を起こしています。最も大規模な被害を起こしたのは1814年の噴火です。降り注いだ灰で周辺の地域は埋まり、この噴火により約1,200人が亡くなりました。噴煙があがるマヨン山とカグサワ教会跡 この写真の塔は、教会の一部分のみで、大部分が灰に埋もれたままです。 |
関連ブログ
大規模噴火間近か?フィリピンの活火山マヨン山 (Mt. Mayon)、噴火警戒レベル3から4へフィリピン、ビコール地方、マヨン山避難民支援
タール火山のこれまで
16世紀から現在まで約33回の噴火を記録しており、マヨン山に次いで多い噴火回数です。うち5回が大噴火を引き起こし、特中でも大きかったのが1911年の噴火でした。約1,300人が亡くなったこの噴火で、タール山に複数個存在した火山湖は消え、一つ火山湖になり、また水位も低下しました。湖の水は、タール山を囲む湖と水位が同じになるまで上昇を続けました。1977年以降、火山活動は活発になり、今日に至っています。このような歴史があるため、フィリピン政府は同島で生活するのを禁じていますが、貧困のため、同島で農作業を行う人、またタール湖で漁業が行われています。
20世紀最大の噴火
回数こそ多くはないものの、前世紀で最大の火山噴火と言われたピナツボ山の噴火は激しく、噴火により山の標高は約300M低くなったほか、この影響で噴火後二年間に渡り、地球表面の気温が 0.1~0.2℃、 夏の北半球中緯度では0.3℃低くなり、 その影響は噴火後の2年間に及ぶことが研究によりわかっています。
火山の噴火は自然現象であるため、避難が長引く傾向にあります。そのため、各地、各団体は、寄付を募って、被災者たちをサポートしようとする輪が広がっています。ご関心がある方は、各メディアが発表する「LIST: Where you can donate for Taal Volcano relief efforts」等を参照に、信頼できる団体へ問い合わせてみてください。
最後に
タール湖周辺地域の方々の安全を願いつつ、フィリピンではこのように、地震、噴火、台風、水害等で、インフラが破壊され、田畑にダメージを受け、貧しい人の生活がより貧しくなる状況が続いているため、被害が広がらないことを願うばかりです。火山の噴火は自然現象であるため、避難が長引く傾向にあります。そのため、各地、各団体は、寄付を募って、被災者たちをサポートしようとする輪が広がっています。ご関心がある方は、各メディアが発表する「LIST: Where you can donate for Taal Volcano relief efforts」等を参照に、信頼できる団体へ問い合わせてみてください。
関連ブログ
[タガイタイ観光] タール山登山記:マニラ近郊の観光地へ参考ウェブサイト
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)https://www.phivolcs.dost.gov.ph/
Volcano Monitoring (Alert Levels)
https://www.phivolcs.dost.gov.ph/index.php/volcano-hazard/volcano-alert-level
【24日 緊急放送決定!】 火山灰が航空機に与える影響とは!?
https://natgeotv.jp/tv/news/detail/idnews/14
ピナツボ火山噴火の影響シミュレーション
https://www.mri-jma.go.jp/Dep/cl/cl2/gallery/pinatubo-sjis.html
How many active volcanoes are there on Earth?
https://www.usgs.gov/faqs/how-many-active-volcanoes-are-there-earth?qt-news_science_products=0#qt-news_science_products
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