フィリピンの 田舎町が洪水になったら:フィリピン南カマリネス州の洪水

フィリピンの 田舎町が洪水になったら・・・
マニラで洪水が起こった時に比べたら、さほどのニュースバリューはありませんが、確実に人々の生活・経済に影響します。


2018年の年末から2019年の年始にかけて、著者のもう一つの自宅があるビコール地方の南カマリネス地方のとある町が台風ウスマンのもたらした雨により洪水しました。

数年前、町の中心を通る道は、こうして時々起こる洪水の影響を最小限に抑えるために底上げされましたが、それでも今回の洪水では町の中心地では膝下半分、中心部から路地を一本入ったところでは、膝の高さほどの洪水となりました。更に中心地から離れた場所では、おそらく膝上10センチほどの水の深さになっていたことが想定されます。
フィリピン ビコール地方 洪水
洪水の水にボートを浮かべ楽しむ近所の子どもたち
2014年12月上旬の雨によって引き起こされた洪水。子どもたちは洪水の水でボート遊び。

すでにクリスマスの帰省ラッシュの時期は過ぎていましたが、この洪水は年越しを地元で過ごそうとする人たちの帰省ラッシュと重なりました。そのため、洪水が交通機関にも影響し、一部渋滞を引き起こした模様です。

移動のリスク

洪水でも、買い物等の理由で一日中家で過ごすわけにもいかないので、外に出なければなりません。そこで突き当たるのが安全面と人々の交通の問題。道は通過可能なものの、ちょっとしたアドベンチャ―となります。

今回の洪水、水は深いところで大人(身長160センチほどで)ひざ上。道がもともと悪いので予期せぬ段差があったりするので、かなり気をつけて歩かないといけません。また、田舎故、田んぼに囲まれていますが、田んぼと道路の境目が洪水によって目視できなくなり、気をつけないと田んぼに落ちてしまうということもあります。

さらに田んぼに出現する毒蛇の存在が気になります。洪水の中を歩く女の子二人が冗談で「そこに蛇いる」と脅かしあう姿がなんとも微笑ましいのですが、実際にそうした毒を持つ蛇は田んぼにいるため、洒落になりません。

衛生上の問題

衛生面の問題。マニラほどよごれてはいませんが、あらゆる種類の水が洪水によって混じり合います。ここでは洗濯に使った水、台所からの水も全て近くの小川に流れていきます。下水はヘドロにまみれ、ゴミが溢れ汚さに言葉を失うほどですが、そんな水や動物の糞尿も含まれます。

洪水の中を歩いたあとは、石鹸で足を洗うほか、引っかき傷などがある場合はアルコール消毒は絶対かかせません。

水が引いたあとは、乾燥してそれらの汚れが、砂にまじり、空中を舞うので、洪水後もさらなる注意が必要となります。


田畑へのダメージ

経済の問題。農家は全てではありませんが、収穫前に借金をして農薬など必要なものを購入し、収穫でそれらを支払うというお金の流れのサイクルがあります。そのため台風などの自然災害で収穫に影響がある場合は、彼らの稼ぎが(少)なくなります。

洪水でメインのハイウェイも一時塞がり、上記のような影響も出て踏んだり蹴ったりでしたが、洪水で喜ぶ人たちもいます。

土砂災害

土地が低い場所で洪水が起こっている場合、山間では土砂災害が起こっています。著者もマニラからバスで移動中に土砂災害で道が塞がれ、数時間土砂が取り除かれるまで立ち往生したことがあります。

山の麓に住んでいる住民は、土砂崩れにより家屋が破壊されたり、不幸にも土砂に巻き込まれ亡くなる人たちもいます。今回も土砂災害の犠牲者が出てしまいました。とある町では25名が土砂災害のため亡くなりました。

関連ブログ「フィリピン、土砂崩れで立ち往生

休校


ビコール地方の中心都市であるナガ市の学校は1月7日まで学校が休校となりました。一部まだ水が引いていない場所があること、また洪水によってもたらされたゴミなどをクリーンアップのためです。

洪水で嬉しい人たち?

災害で嬉しい人たちなどいるはずはない!と思われますが、こんな状況を喜んでしまうのが、子どもたち。学校が休校となったことは言うまでもありませんが、子どもたちは洪水の水をスイミングプールとして泳ぎ楽しみます。

衛生面の問題なんて何のその、洪水の水は小川の水の延長(実際、洪水で小川との境目がありませんでした)近所のバランガイから子どもを連れて来て泳がせていた親もいます。
洪水の水で遊ぶ子ども
洪水の水で遊ぶ子ども
近所から、泳ぎに来ています。

そもそも子どもたち、生活用水が流れ込んでいる小川で日常的に水泳を楽しんでいますから、今更衛生の問題を持ち出しても説得力はありません。

水辺の動物たち、アヒルなどは漁をする範囲が広がり、我が家の裏戸前に陣取り漁を続けています。アヒルがドア前に立っているので当初は(特に夜間は)どきりとしましたが、流石にここ数日のこと、慣れました。
洪水で至るところが水浸し。

漁が出来る範囲が広がったのは動物だけではなく、人間もしかり。5センチ前後の小魚を求めて、夜間懐中電灯を手に漁をする人の姿も見られます。その魚は干して、近所の商店に売られています。
2014年12月に撮影
ビコール地方は台風の通り道であったため、地元の人達は台風によって引き起こされる自然災害とともに生きており、慣れているとはいえ、やはり健康/生命・交通・経済への影響は大きいため、遠方にいてこうしたニュースを観るととても悲しい気持ちになります。一日も早い復旧を願うばかりです。

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