フィリピンの家屋ーココがイヤ!フィリピンの近年の家の構造

著者はフィリピンの“近年の”家の作りがはっきり言って嫌いです。

ビコール地方にある家にも文句が言いたいし、また知人の家にお邪魔した時もついツッコミを入れたくなる。どうして、こんな作りにしちゃうの?

しかし、そこには家々の経済事情と、家族の事情、空間に関する感性が存在します。


ココがイヤ!フィリピンの家屋

ブロック塀
ブロックを積み上げ、コンクリートで作る。ブロックって、ブロック塀のブロックです。まるで、レゴの家のように組み立て、最終的にはコンクリートでカバーという作り方。
台風が多いフィリピンでは、家がコンクリートで作られていることは非常に大切!です。

しかし、予算がない場合は、コンクリートブロックむき出しの状況で住み続けることになります。長雨で水が徐々にしみてきます。晴れた日も家の中はじっとり、カビだらけになります。壁にはカビのシミができてきます。

また、むき出しのコンクリートの壁は灰色。そのままでは部屋が薄暗く感じられます。と、いいますかかなり暗いです。そして、熱がこもりやすくなります。

ひと部屋がかなり狭い
家を建てる、あるいは改築すると元々広くないところに建てるため、ひと部屋の面積が狭くなります。また、さらには複数の家族が生活している家ではプライバシーを確保するために部屋をやたら仕ることになります。一部屋あたり4畳、あるいはもっと狭くなることも。そこに家具などを詰め込むわけだから、狭いといったらない。

窓があまりない家
窓がほとんどありません。なので、日中でも照明が必要であることも。電気代が高いフィリピンで、照明が常に必要というのはなんとも痛い。

なぜフィリピンの近代家の窓が少ないか、理由はいくつかあります。治安上の問題と経済の問題です。治安の関係上、窓を設置すると鉄格子をつけないといけません。ブロック塀なら一つあたりの単価を低く抑えられますが、窓は一つ設置するのに5,000ペソからかかります。また更に鉄格子をつけるとトータルで10,000ペソほどかかってしまいます。なので、予算がない場合は窓なしです。月の給与が7,000ペソというローカルのワーカーが居ることを考えると、窓の設置は高くつきます。

風通りを無視した作り
窓が少ないのですが、その窓を付けている場所が風の通り道ではありません。なので、コンクリートにこもった熱で室内はすでに暑いのですが、風が通らず更に暑くなります。フィリピンの3月~5月の陽気はとても堪えます。

鉄格子をつける
これは、予算と建てられている場所の治安にもよりますが、鉄格子をつけます。鉄格子は、安全確保のため。これは仕方がないのですが、窓があまりない上に鉄格子・・・なんともです。

キッチンの使い勝手が悪い
フィリピンでは結構様々な集まりで、食べ物を食べるのですが、それを調理するキッチンが使いづらい。導線が悪い、水場がキレイじゃない(水漏れ、生ゴミの分別がない)、作業場が確保されてない(切ったりする場所がない場合も)。
シンプルでももう少し配置のしようがあると思うのですが・・・

フィリピンの家の中
窓が全くないキッチン
見た目は、窓が無いこと以外は大丈夫そうなキッチンですが、水漏れ、収納スペースが作業台の真上にあり、邪魔で作業ができない。そして収納スペースが窓を完全にふさいでいる。もっと作りようがあったんじゃないの?と言いたくなるこのキッチン
トイレがいつも水浸し
トイレがお風呂場(水浴び場)と併設されており、いつも濡れているほか、トイレ用のスリッパ/サンダルも濡れています。
また、トイレが別になっていても水浸し。もちろん水洗ですがバケツでお尻を洗ったりするため、水が便器の周りにこぼれます。

全ての家がそうなっているわけではありませんが、決して大きくない家に何家族かが生活、経済的な理由で窓を付けない、最終的に住むには快適とは言えない住環境となります。

フィリピンの家屋の不満にどう対処するか

じゃ、それらの不満を限られた予算の中でどう解決するのか?

ジトジト、カビ、むき出しのコンクリートからの雨漏り防止にどんな対策があるか?
まず、お金がある程度たまるまで、家屋の建設をしない!宵越しのお金を持たない?!フィリピン人、様々な事情で貯金が難しい中これがどこまで現実的であるのか、大きな疑問であるが、とにかく一定額頑張って貯める。あのコンクリートの壁のむき出しによるジトジト、カビ、薄暗い家の解消のためには、家屋の中のペイントまで一気に行うこと以外ない。

あとは、思い切って土壁?実は土を使って家を作っているところがある。しかし、技術が必要です・・・。

窓の位置の戦略的場所を決める
予算、治安の関係上窓を多く付けられないなら、窓の位置を戦略的に決めないといけません。どこにつけたらよいか?
家の構造を弱くしない場所に付けること。家によっては柱がしっかりしていないので、家の作りが弱くなるところに設置は×。いつも風が強く吹く方向がある=台風の時にダメージを受ける側の設置×。また、泥棒が入りやすい場所、家の裏手など(塀の向こうは公共施設というケースなど)に人が容易に出入りできるサイズの窓の設置×。かなり基本なのだが、これを考えて窓を設置してないこともただある。

室内窓を設けること。空気が籠る家の構造が多いので、壁に囲われた小部屋に窓を設けること。

せめて光が入るように工夫すること。窓を設置せずともガラス(1つ200ペソ)の正方形のブロックをいくつか入れることで光を確保できます。

けど、もう仕方がない!

近年の構造がイヤ!と限定付きで言ったのは、昔のフィリピンの家の作りは木造でなんとも台風が多いフィリピンでは心もとないのですが、大きな窓、カピス貝の格子が外からの光をとりこみ、ひと部屋づつの作りも大きめと趣がある美しい作り。しかし、これを実現するには、空間も、腕の良い大工さんが必要で、予算がより必要になり、かなわぬ夢です。

部屋を細かく区切るのは、第家族のプライバシーの確保の故。追い出すわけにはいかないので仕方がないのですが、一工夫でもう少し快適に過ごせるのになぁと思う今日この頃。

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