[フィリピン博物館] 街おこしのための戦争博物館?!:イラガン日本トンネル

ルソン島北部イザベラ州のイラガンに昨年「Ilagan Japanese Tunnel(イラガン日本トンネル)」なる第二次世界大戦の戦争博物館が昨年2016年2月17日にオープンしました。3月30日のGMA系ニュースチャンネル「24 Oras」(開始から25分あたり)で再び取り上げられていました。

Ilagan Japanese Tunnel (c) 24 Oras 2017年3月30日放送


イラガン日本トンネルってどんなところ?

イラガン日本トンネルとは、第二次世界大戦中の日本軍が作ったトンネルで、地下40メートルの長さがあり、3.6メートルの広さがあります。トンネルを抜けると、そこには第二次世界大戦中の日本軍の様子がマネキンなどで再現されています。

渡邊睦裕軍曹の姿が!

マネキンの中には、渡邊睦裕軍曹の姿もあります。捕虜監視員として東京俘虜収容所本所、第四分所、第十二分所に勤務し、捕らえられた戦争捕虜を虐待。その様子は映画の「不屈の男 アンブロークン」にも描かれています。敗戦後は戦犯として指名手配。彼はしかし、連合国軍による占領終結まで逃げ延び、最終的には起訴されませんでした。

第二次世界大戦中の武器、さらには、トンネルで見つかったという山下財宝(フィリピン人これ好きですね!)のレプリカも飾られているとか。トンネルの外には鳥居、そして戦闘機もあります。あくまでトンネル内での展示を中心とした戦争博物館ですが、なんだかいろんなものの寄せ集めのような印象が、流石地方の博物館です。入場料は30ペソ。

観光省のプロモビデオ「Anak」の青い空と海のフィリピンのイメージが吹き飛びます。

映像はこちら>> LOOK: Japanese war tunnel opens in Ilagan, Isabela




イラガンは、ルソン島北部イザベラ州、太平洋に面した人口14万5,568人ほどの市です。他のフィリピンの地方都市と同じく、とりわけ外国人観光客をひきつけるようなアトラクションはありませんが、静かで美しい街です。 しかし、近隣の都市からは、公共墓地とゴミの投棄所で街の名が知られております。

街のイメージを払しょくしたいためにこのように「観光地化」をはかりました。「日本的」なお土産も販売され、地元の学生なども訪問し、”盛況”なようです。テレビ局のインタビューを受けた学生も「楽しんでいます」というなんとも明るい回答。また近所の人も新しい“観光地”を好意的に受け止めています。以前はお墓が近いので幽霊がでたけど、今は観光地化されて人が多くなって、夜も明るくなってよかったと。インタビューに対して、幽霊がでる!と答えるおばちゃんがフィリピン的ですが、人が多くなったのは良かったようです。

ブログ「なぜ?怖がりなのに怖い話が大好きなフィリピン人

戦争という重たいテーマを扱いつつもどこかあっけらかんとしているこの戦争博物館は、街おこし的要素が濃厚です。ただ、日本人としてはどのような形で戦争が後の世代に語られているのか気になります。

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