[映画]海よりもまだ深く(2016)、旦那が旅行中に飛行機内で観た映画、「良かった」とススメられ、私も同じく飛行機内で視聴。シンプルな物語の組み立てられ方、登場人物のテンポのよい対話、そして日常的な会話にちりばめられた登場人物の哲学、見入ってしまいました。
作家の篠田良多（阿部寛）は、島尾敏雄文学賞を受賞した経歴を持っていたが、その後はいっこうに売れず。生計を立てるために、興信所（所謂探偵業のようなもの）に勤めている。ギャンブルには目がなく、少し稼ぎがあればそこにつぎ込み常に金欠。母親の淑子（樹木希林）や姉の千奈津（小林聡美）に金をせびる日々。愛想を尽かされ離婚した妻・響子（真木よう子）との間には一人息子がいる。その息子とは、月一度養育費5万円を渡す際に会うことができたが、それ以上の接触は避ける元妻。
台風が日本に接近しているある日、良多は月に一度の息子と会える日を持った。二転三転し、一人暮らしをする母親・淑子のアパートを訪れ、天気の崩れかたを危ぶみ親子三人は一夜を過ごすことに。
真吾は、眠れずに父と一緒に嵐のなかを外出、公園の滑り台で駄菓子を味わう。戯れに話し込む親子は、将来の夢について言葉を交わす。良多は、自分のことを振り返る。翌日、晴れ渡った空のもと団地を出る親子の姿が。
良多は、15年前に1度だけ受賞したことのある文化賞にしがみつき、出版社から漫画の原作依頼を受けつつあるも、純文学作家のプライドから二の足を踏む。興信所での仕事を小説作りのための勉強と言い訳をし、続けている。その興信所の仕事も、半ば犯罪に近いカツ上げを行ったりと散々。ギャンブル好きが興じて金欠、妻にも逃げられ、まったくのダメ男。それでも、一人息子の前では、ブランドの靴を誕生日にプレゼントしようと必死になる。
お金を巻き上げようとした高校生にあんたのような大人にだけはなりたくないと言われ、逆切れして言ったセリフ「そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ！」が開き直りも甚だしく、痛い。
元妻の響子も幸せな家庭を築こうとするもできず、「こんなはずじゃなかった」。良多に今の恋人の存在について、根掘り葉掘り聞かれた響子がうんざりしながら「愛だけじゃ生きていけないのよ、大人は」と言い放ちます。
そして、メインキャラクターがその後どうなっていくのか展望すらつかめないところも、我々の日常と類似します。恐らく、後悔しつつも良多は自堕落な生活を続けていくのかもしれないし、響子は新しい恋人と結婚するのかもしれない。
本当に日常なのですが、その中でひときわ味わいある役は何と言っても樹木希林扮する母・淑子。
「花も実もなかなかつかない。でも、青虫がくっついて葉を食べている。こんなミカンの木でも何かの役には立ってる」
ベランダで育てているミカンの木。花も咲かなければ実もつかない木をみてつぶやく母親。花咲かぬ、息子への愛情かそれとも・・・あきらめか。
テレサテン「別れの予感」が背景に流れるなか、「海より深く人を好きになったことなんてないから生きていけるのよ」と、またぼそっとつぶやく。故人との夫婦関係を指しているのか。溺れるほどの愛を経験しないから日常を生きてけるのかもしれません。
歌姫テレサテンの別れの予感を知らない方はこちら。＊私の年代ではありませんが、父親がよく聞いており、知っています（歌えるレベル）タイトルは、別れの予感の歌詞からきています。
映画のあらすじ
作家の篠田良多（阿部寛）は、島尾敏雄文学賞を受賞した経歴を持っていたが、その後はいっこうに売れず。生計を立てるために、興信所（所謂探偵業のようなもの）に勤めている。ギャンブルには目がなく、少し稼ぎがあればそこにつぎ込み常に金欠。母親の淑子（樹木希林）や姉の千奈津（小林聡美）に金をせびる日々。愛想を尽かされ離婚した妻・響子（真木よう子）との間には一人息子がいる。その息子とは、月一度養育費5万円を渡す際に会うことができたが、それ以上の接触は避ける元妻。
台風が日本に接近しているある日、良多は月に一度の息子と会える日を持った。二転三転し、一人暮らしをする母親・淑子のアパートを訪れ、天気の崩れかたを危ぶみ親子三人は一夜を過ごすことに。
真吾は、眠れずに父と一緒に嵐のなかを外出、公園の滑り台で駄菓子を味わう。戯れに話し込む親子は、将来の夢について言葉を交わす。良多は、自分のことを振り返る。翌日、晴れ渡った空のもと団地を出る親子の姿が。
なりたい大人に、なれなかった人たちへ
キャッチコピー「なりたい大人に、なれなかった人たちへ」は、登場人物のそれぞれの人生を反映しています。良多は、15年前に1度だけ受賞したことのある文化賞にしがみつき、出版社から漫画の原作依頼を受けつつあるも、純文学作家のプライドから二の足を踏む。興信所での仕事を小説作りのための勉強と言い訳をし、続けている。その興信所の仕事も、半ば犯罪に近いカツ上げを行ったりと散々。ギャンブル好きが興じて金欠、妻にも逃げられ、まったくのダメ男。それでも、一人息子の前では、ブランドの靴を誕生日にプレゼントしようと必死になる。
お金を巻き上げようとした高校生にあんたのような大人にだけはなりたくないと言われ、逆切れして言ったセリフ「そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ！」が開き直りも甚だしく、痛い。
元妻の響子も幸せな家庭を築こうとするもできず、「こんなはずじゃなかった」。良多に今の恋人の存在について、根掘り葉掘り聞かれた響子がうんざりしながら「愛だけじゃ生きていけないのよ、大人は」と言い放ちます。
本当に日常
驚くほど山場がないのに見入ってしまうこの映画。日常をひたすら描きます。もちろん、良多のような極端なほどにダメっぷりに、映画を観ていても呆れてしまうほどなのですが、彼の中に自分のあまり言いたくない部分が見えたりするのが怖いところ。そういう意味では、やはり日常を描き切っていると言えると思います。そして、メインキャラクターがその後どうなっていくのか展望すらつかめないところも、我々の日常と類似します。恐らく、後悔しつつも良多は自堕落な生活を続けていくのかもしれないし、響子は新しい恋人と結婚するのかもしれない。
母・淑子の人生訓・名言
本当に日常なのですが、その中でひときわ味わいある役は何と言っても樹木希林扮する母・淑子。「花も実もなかなかつかない。でも、青虫がくっついて葉を食べている。こんなミカンの木でも何かの役には立ってる」
ベランダで育てているミカンの木。花も咲かなければ実もつかない木をみてつぶやく母親。花咲かぬ、息子への愛情かそれとも・・・あきらめか。
テレサテン「別れの予感」が背景に流れるなか、「海より深く人を好きになったことなんてないから生きていけるのよ」と、またぼそっとつぶやく。故人との夫婦関係を指しているのか。溺れるほどの愛を経験しないから日常を生きてけるのかもしれません。
歌姫テレサテンの別れの予感を知らない方はこちら。＊私の年代ではありませんが、父親がよく聞いており、知っています（歌えるレベル）タイトルは、別れの予感の歌詞からきています。
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