オランダ選挙2021ー民主的なオランダの選挙

2021年3月15日、オランダで選挙がはじまり、17日午後8時に投票が閉じられました。1月に児童手当不正受給スキャンダルで内閣総辞職が影響するかに見えた与党ルッテ首相の率いる自由民主党(VVD)でしたが、結果は、VVDが引き続き第一党となりました。

選挙権がない外国人の私はただ、今回の総選挙は、連日の討論番組を視聴し、新聞の記事を読み、ただ見守るだけでしたが、結構民主的だなぁと感じられるオランダ選挙はとても興味深いものでした。


オランダ総選挙2021
選挙月である3月は連日、テレビで党首同士が議論を戦わせているほか、街頭でのビラ配り、政党のビラの投函なども行われ、選挙一色でした。


今回の選挙の焦点とその結果

新型コロナウイルス対策、医療、差別、移民、貧困、安全、住宅、環境などについて政策を掲げました。特に今年1月には、児童手当不正受給に関するスキャンダルで、内閣は総辞職しました。
オランダの税務当局が、数千世帯が児童手当を不正受給したとし、不当な疑いをかけ、多額の返済を求めました。これによって、多くの世帯が経済的に困難な状況に陥ったとされます。対象となった多くは二重国籍を持つ世帯であったことから、移民世帯を狙った差別ではないかと言われており、3月の選挙に影響するといわれていました。また、新型コロナ対策として、政府は、罰則を伴う夜間外出のため、1月にはオランダの主要都市で、破壊行為を伴う暴力的なデモも発生しました。
これらが選挙に影響するといわれましたが、国民の信任を得て、ルッテ首相が第4期目の政権運営を行うこととなりました。


民主的なオランダの政治

総選挙は4年に一度行われ、150議席を争い、うち過半数が占める党が与党となります。しかし、政党が多数存在しており、今年の選挙では過去最大の37政党が立候補しました。グループの利害を代表する政党が増え、多極化が進んだことから一党単独で過半数を占めることができず、過半数を占めるために連立政権とならざる得ません。

今回の選挙結果では、VVD(中道右派)は、得票数が高かったD66(中道左派)、CDA(中道右派)の組み合わせで議席の半数を占める可能性が高いといわれております。中道右派が、中道左派と連立するということは、お互いが選挙公約で掲げたことを限りなく譲歩しなければならないことを意味します。


政党間の調整のみならず、党内での調整も決して易しくなく、党首は、地方の支部、一般の支援者とも話し合い、コンセンサスを得ております。これに要する時間は長く、内閣の発足まで数か月を要します。話し合われた内容は最終的には連立政党間の契約書「施政要綱」で確認され、施政期間4年の間に実施することになります。この結果、左右の振れ幅が少ない政府を実現するに至ります。

内閣の個々の政策の内容が、出身政党(この場合は与党)の意見に反する場合、与党議員は反対に回り、一方で野党がそれを支持するということもみられます。各議員が国民の代表として政策の良し悪しを判断しており、多数派の提案がそのまま決定されるわけではないという点も評価されています。

これらからオランダの政治は、民主的であり、政権が選挙ごとに大きく揺さぶられることがなく、安定して運営されている理由として説明されています。

外国人の参政権

外国人の参政権が民主主義をはかる物差しではなく、またその良し悪しについて議論の余地を残しているのですが、オランダでは外国人でも、地方自治体への投票資格があります。市町村選挙(Gemeenteraad)では、駐在員は市町村に登録し、EU圏外の市民は、少なくとも5年間継続してオランダに居住していることで、投票の権利を得ることができます。

アムステルダムに住むEU圏外の外国人は、3年以上登録していれば、地方議会(Bestuurscommissie)の選挙で投票することができるとのことです。欧州議会の場合、EU市民は出身国(地元の候補者)またはオランダ(オランダの候補者)のいずれかに投票することができます。

つまり、私も5年継続して生活することで、地方自治体に投票できるようになります。自分たちの生活にかかわる政治を担う代表者に投票できることで、よりオランダ社会を身近に感じることができるようになるのではと想像します。

参考ウェブサイト

The new government has its work cut out, says election winner Mark Rutte(外部リンク

Voting rights for non-Dutch nationals


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