100万人が参加、宗教的熱狂最高潮、けが人続出?フィリピン最大の宗教イベント:黒いキリスト像、ブラック・ナザレ(Black Nazarene)祭とは何か?

フィリピン、マニラには毎年1月9日100万人近いカトリック教徒がフィリピン中から集う「ブラック・ナザレ(Black Nazarene)祭」が行われています。マニラのキアポ教会の十字架を背負った黒いキリスト像がマニラの町を行進します。フィリピンにある宗教行事の中では最も有名なものです。

祭の様子

ブラック・ナザレ祭りはこの等身大の十字架を担いだセニョール(El Señor)という愛称で呼ばれる黒いキリスト像を山車に乗せ市内を一日かけて行進します。(トラスラションと呼ばれている)この像に触れることで病気が治癒する等の願いが叶うと言われているため、信者たちはそれに触れようと像に殺到し、毎年死傷者が出ています。

大変な混雑のため像に直接触れることが難しいため、人によってはタオルをイホ(Hijos:山車に乗りキリスト像にエスコートする人たち)に投げ渡し、それでキリスト像に触れてもらい、それを投げ返してもらうことで間接的に像に触れるという人もいれば、山車によじ登り直接触れようとする人もいます。

像は数日前にマニラのQuirino Grandstandに置かれ、信者が列をなして像に触れるために長蛇の列をなしました。1月9日当日のパレードは朝に始まり、市内を周り夜に像の安置場所であるキアポ教会に戻り、フィナーレを迎えます。

なぜ黒いのか?

黒いキリスト像は1608年にスペイン人によってメキシコから持ち込まれと言われていますが伝承にはないため、年代等諸説あります。メキシコからフィリピンへ運ばれる船上で火災に遭い焦げて黒くなったという説やフィリピン人の色に合わせて変えられたという説もありますが、こちらも定かではないようです。

信仰それともカルトか

フィリピンのカトリック教徒の多くが「奇跡」が起こることが信じており、これまでブラック・ナザレへの信仰の故に難病が治癒した、職探しに苦労していたが見つかった、子どもが授かった等証言する人もいるといいます。

様々な理由でこの像に触れることに懸命になり、この祭りを支持しする人、一連のことをみてたちをカルト的な信仰であるといい非難する人がいることも事実です。

しかし、これらはフィリピン人の文化に由来しているが故ではないでしょうか。フィリピン人は愛情や人への親しみ等を体で表現します。像に触れようとする姿は、十字架を背負うキリストの受難を共有しようとする信仰心であり、フィリピン人が日常見せる愛情表現の延長にも感じられます。

ブラック・ナザレ祭り参加する?

通算で数年フィリピンで生活しましたが、ブラック・ナザレ祭りは一度も参加したことがありません。人が多すぎて危ないことが何よりの理由ですが、そもそも車(タクシー等)が近くまで行かないということも理由の一つです。公共交通機関も大混雑です。

マニラから南に400キロのナガ市で毎年行われているペニャフランシア祭りに参加したことがあります。これも、祭りのおおよその流れはブラック・ナザレ祭りに似ており、市内をマリア像が山車で巡回するのですが、そのマリア像に触れようとやはり人が殺到。祭りに集まる人の数はブラック・ナザレ祭よりも少ないのですが、田舎の小さな市は大混乱。その上テロの防止のために携帯電話が一切使えないようになってしまい、かなり不便です。

そんな理由で、この時期にマニラに旅行したら参加スべき祭りか?と聞かれたら、おそらくNOと言うと思います。しかし、祭りを通じてフィリピンの一面を感じることができるので、各町の守護聖人のための祭り(フィエスタ)に、参加してみるのもよいのではないかと思います。

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