ピンチをチャンスに!ママサパノ事件から学んだこと―マニラの平和系NGOの対話―

先日のブログで一ヶ月前1月25日に起こったママサパノ事件について言及しました。

この事件が与えた和平交渉へのインパクトは測り知れませんが、いくつかの点においてMILFとフィリピン政府の和平(交渉)をサポートしてきたNGOサイドはこの事件から教訓を得ました。

そして更に和平への動きを止めず、団結していくイベントを実施することが合意されています。

昨日の平和系のNGOの対話集会Waging Peaceに出席しました。会議のメインのテーマは、「現状」―メディアは連日ママサパノ事件のためミンダナオ和平に対してのある種ネガティブなメッセージを送っており、その影響をうけてのことか一般市民のミンダナオ和平への見通しもネガティブ―という中で何ができるのかということ。

ワークショップ形式で進められた会合のディスカッションの質問は以下の4つ、これまでに達成されたこと、和平推進のための効果的メッセージ、ママサパノ事件のリアクション、そして今後何ができるのか。

①和平交渉の中で何が達成されたのか。
和平交渉全体としても、そして個々人の所属するNGOにおいても和平交渉を推進していく流れの中で何が達成されたのかを共有。

達成されたものは勿論、メディアで報じられたような和平合意へのサインから、NGOが和平の動きをサポートをすることができたこと・・・
女性が和平交渉の中で重要な役割を担ったこと、ミンダナオの和平というテーマを少々一般に知られるようにできたこと(知らない人は知らない・・・)

































②和平交渉の流れの中で効果的であったメッセージ、そしてそのメッセージを拡散させることが出来たツールは何か。

「ミンダナオの歴史」「平和は実現できる」「全面的平和(全面戦争の対義語)」
これまでSNSなどでも頻繁に使われた言葉、あるいはワークショップを行っている団体が頻繁に使用する言葉が挙がりました。

③ママサパノ事件について一般の人から何を聞き、彼らが何を感じ、何を必要としているのか。

家族、友人、職場の人々、メディア等の視点からいくつか挙げられました。

ミンダナオの様子や今回の事件に関してメディアからのみの情報を得ている人たちに共通しているのが、ムスリム(MILF)に対する不信感。事件で亡くなった44人の特殊部隊の隊員とその家族への共感、そして殺されたことへの怒り等。

私が挙げたのは、アテネオ大学での講義で、ママサパノ事件が「虐殺」と一部の人には理解されていること、ムスリムへの不信感(ISIL関連のニュースとの相乗効果)、テロリズム(テロ行為ではないのもかかわらず、テロと言う言葉を使う人も)・・・

日本で事件に関するTweetはフィリピンの危険度を問うもの、過激派など全部掃討されたらよいのになど書き込みを見ました。日本でもニュースで報道されていること、そして過度にフィリピンの安全を問うものがありました。

兎に角、前のブログに書いた通り、この事件の真相はいかなることがあっても明らかにされるべきです。また、報道がやはり一般的フィリピン人の感情に訴えるものが多いため、公正な報道が求められるべきでしょう。(情報ソースの偏りがある以上は難しいのですが・・・)

日本の来比予定で安全を気にしている人には、危険度を正確に伝える情報源が必要かと思います。

④一般の人たちの心を掴むにはどのような方法が取られるべきか。
昔ながらのワークショップや宗教が異なるワカモノたちの対話などから、色々なクリエイティブなアイディアがありました。
Peace-Van・・・バンでバンサモロ基本法の説明をして回る、コミュニティシネマ・・・ミンダナオ系の映画をコミュニティで上映、Peacenic・・・異なる宗教・民族グループでピクニックする等。いつどんな形で実現するのか分かりませんが、いろんなアイディアがでました。

小さなグループに分けて話が進みました。1つの質問が終わると違うテーブルに移動してまた違う人たちと次の質問について共有するという形をとりました。

皆が知っていることが色んな観点で共有されたというのが大まかな感想ですが、みなが何を思っているのか、感じているのかを聞けた所が良かったです。

今回のママサパノ事件は色んな意味でインパクトを与えましたが、ポジティブに解釈すると、この事件をきっかけにミンダナオ紛争への関心が出てきたこと。この一般の関心をどの方向に引っ張っていくのか、NGO側としての手腕が試されています。















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