ポークバレルに絡む一連の汚職が騒がれて久しいのですが、汚職の文化は至る所にあります。フィリピンの地方などに行けば驚くほど自然に存在していたりするのだから、ポークバレルだけを騒ぐのは外国人の私にとって非常にナンセンスに思えたりします。
フィリピン地方都市の2016年の選挙期間の様子 至るところにポスターが貼られています |
先月の親族の集まりでバランガイ(フィリピンの行政の最小単位)の役員選出の選挙で落選したという親族に会いました。彼曰く、「お金のあるなしが勝敗を決定する」といいます。他の候補者たちは選挙区の住民に一人当たり約500ペソ(1,000円)~1,000ペソ(2,000円)を配り、票集めをしていたのだとか。親族のおじさんは「そんなお金ないからね~仕方ない」と一笑しておりました。
バランガイにおける被選挙者の数は選挙区で恐らく数百世帯。数百世帯×500~1,000ペソというのはかなりの出費ではないか!素朴な疑問、役員さんの薄給でそうした投資に見合うのか?話を聞くとお給料の額からすればそれらの出費は相殺されそうなのですが、力を持つという強みと何らかの旨みがあるのだろうと思います。証拠はありませんが、それらのお金を回収するシステムがあるのだと思います。
イベントなどで行政に助成金を申請すると、入札ということになり一番安い(しっかり物品を供給できる業者)がイベントで使用する物品、あるいは食べ物を供給することとなります。しかし、実際約束した品物よりは廉価な品物を提供し、その差額を撥ねる・・・、それをだれもチェックしない。勿論入札業者はバランガイの役員の親族などとなるわけです。一例ですが、こうしたシステムを利用しているのではと予想されます。
いや、私の親族はきっとど田舎に住んでいるのでそんなこととなるのではという感じですが、地方の大きな都市にほど近い場所でも候補者が「ご挨拶周り」をしており、最終的には複数の候補者が一方の陣営から5,000ペソ(10,000円)ほど支給されたという話を聞きました。「私たちに投票するかはあなた次第だ」と、お金を渡して去っていくのだとか(汗)
選挙期間中のフィリピン時に暴力がともなうのは、政治にお金という力を使い、しかしそれが裏切られたりする時に怒り(grievance)として表出するのだと思います。地方で選挙に絡んだ血なまぐさい事件が起こる理由もこうした背景から頷けます。
フィリピンだけ?というわけでもなくインドネシアのドキュメンタリーでも候補者はTシャツやその他ギフトを配りながらキャンペーンをして、もし候補者が手ぶらで選挙区に来たら、「Tシャツは?何かくれるものはないの?」とたずねており、票を投じる側が汚職に対して鈍感に、そしてそのシステムを利用していると見ることができます。
こうした連鎖を断ち切るひとつの方策としての透明性が待ちレベルから州、国政に向けられています。モデルとなっているナガ市では市民が入札のプロセスを確認できるようにウェブサイトなどにも掲載しております。こうした取り組みから少しずつクリーンな政治がフィリピンで実現されることを願うのですが、道のりは遠いようです。
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