[映画] Before Midnight ビフォア・ミッドナイト映画観賞

 「恋人までの距離」(Before Sunrise)は、好きな映画の一つです。ブタペストからパリへの長距離列車の車内で出会った、アメリカ人の青年ジェシー(イーサン・ホーク)、フランス人女性セリーヌ(ジュリー・デルピー)が途中駅ウィーンで下車をし、始発までの時間を共に過ごすという話。

映画が二人の会話で成立しているので、まるでドキュメンタリーのようで印象的。この映画、旦那が大学院のクラスメートから借りていたDVDで付き合い始めて間もないころ、二人で観て、映画ながらのロマンチックな光景にため息でしたが、長いセリフは恐らくカットなし、どこまでがアドリブでどこまでが台本なのだろうかと思いながらも、会話の小気味よさに引きこまれてしまいました。



 そして、1995年の第一作目の公開から9年、2004年に続編の『ビフォア・サンセット』が公開されました。小説家として有名になったジェシーが、9年前のあの日のことを書いた小説のプロモーションのためパリを訪れます。9年後この二人がどうなったのか、最後に交わした再開の約束が果たされたのかが明らかになります。

 そして、シリーズの三作目『ビフォア・ミッドナイト』( Before Midnight)が今年2013年に公開されま
した。日本での公開は来年の1月です。前二作がよかったので、おのずと第三作目への期待が高まります。今回の舞台はギリシャ。ジェシーとセリーヌの間には、ふたごの娘が誕生していて一緒にフランス・パリで暮らしおり、夏の休暇のためにギリシャを訪れています。彼らのその後の生活もさることながら、40代となった彼らの人生や考え、視点、感じるところが織り込まれ、話は真夜中まで続きます。

 この映画への白熱ぶりは、インターネット上の書き込み、ウェブサイトでの特集など『ビフォア・ミッドナイトが屈指の名作である10の理由』等から見ることが出来ると思います。理由を見てみると、映画は大体は2時間ほどのものながら、メインの2人の会話が映画自体の密度を濃くし、視聴者に深く印象つけられたこと、そして映画を9年ごとにリリースするこの間合い。共演者の科学反応が素晴らしく、脚本のよさもさることながら、共演者の演技がまるで本当の恋人/夫婦のよう。三作目が駄作となるというこれまでの映画のパターンを見事打ち破り、がっかり感なく楽しめる映画であり、一、二作目が好評だからと作られた映画という印象を全く与えず、まさに見たかったその後の彼らが見られる映画であったというのは合意できます。

 ジェシー役のイーサンホークも脚本作りに加わり、自らの意見や経験なども入れつつ作品を作っていたようですが、一作目と二作目は本当にロマンスでしたが、三作目はもう少し年齢を重ねた彼らの生活における問題、視点が組み込まれています。イーサンはインタビューで、「(制作側として)われわれは、より強く日常生活の難しい側面を強調したかった、それはあなたがほしいものを手に入れた時そして、ほしいものをてにしたときに何をするのか、そしてそれでもあなたはまだそれを欲するのか?」と語っています。人生の時として小さな決断も人生をとある方向に褶曲させていくその段階のように思えます。三作目は、二人がひたすら議論していますが、かなりリアリティがあるように思え、興味深いです。

 インタビューで、監督はセリーヌのモデルとなり、このストーリーを作るきっかけとなった女性にフィラデルフィアで会っているようです。残念ながら、映画二作目の制作が始まる前に亡くなってしまったようです。どんな小さな出会いも、映画を作ったりその出会いが元で本がかかれると言うことはありませんが、人の人生に印象を残すのだと改めて思います。

 一作目、二作目まだ観ていないとならば、三作目公開までに見るしかない!パートナーとの鑑賞をおススメします。

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