名探偵コナン、赤井秀一の来葉峠での謎の真相を解く、シリーズ中の大きな山場の一つ、緋色シリーズ。単行本84~85巻に収録され、アニメでは2015年5月30日~6月27日に放送された「緋色の序章(779話)」、「緋色の追及(780話)」・「緋色の交錯(781話)」・「緋色の帰還(782話)」・「緋色の真相(783話)」は、ハラハラしながら観ていました。
この「緋色」、タイトルはアーサー・コナン・ドイルにより1886年に執筆され、翌1887年に発表されたシャーロック・ホームズシリーズの祈念すべき第一作目の「緋色の研究(A Study in Scarlet)」に由来します。「緋色」と「赤=本作のメインである赤井秀一」をかけているようです。
物語としては、シャーロック・ホームズの第一作目ということもあり、ホームズのその特異な人物像、助手のワトソン博士との出会い等、その関係性も描かれており、今後シリーズを読みすすめていきたい人が知ると面白いと思います。
手頃で住みよい下宿を探していたワトソン博士は友人に、シャーロック・ホームズを紹介され、2人はベーカー街221Bで共同生活を開始する所から話が始まります。
二人が共に関わることになる初めての殺人事件の被害者はアメリカ人の男。見つかった遺体に外傷は無く、遺留品は女物の金の結婚指輪、現場の壁には血文字でRACHEと残されていました。
ホームズは、RACHEはドイツ語で復讐の意味だと指摘、また推理力を駆使して、犯人の特徴を見事に説明します。 死体発見後に酔っ払いの男を付近で見たという情報を第一発見者から得たホームズは、金の指輪の持ち主を探している旨を新聞に載せて事件の重要参考人をおびき出そうとするものの、巧みな変装によって逃げられてしまいます。
名探偵コナンの工藤新一/コナンはホームズにあこがれています。しかし、そんなコナンの憧れとは裏腹に、ホームズは、物語を読みすすめていくと、かなり特異な人物であることがわかります。
その後、ホームズと行動をともにするワトソン博士は、ホームズの仕事を理解するにあたり、以下のようなリストを作ります。これが、ホームズという人物を知る手がかりにもなります。
物語の中でも、新聞広告を掲載して、事件の重要参考人をおびき出すことに成功するのですが、予想していた人物像とは異なる人が現れたりします。そのたびに、ホームズが少々がっかりしたような、なんとも言えない様子が、ワトソン博士の目線で伝わって来ます。
19世紀末のイギリスは、 綿工業中心の産業革命が進み、工場制機械工業が普及し、工業都市が発展した時代です。また19世紀中盤には鉄道が急速に普及し、蒸気船の普及とともに交通革命が起こり、ロンドンの人口も増えた時代です。
また、ワトソン博士はアフガン戦争中に参加し、従軍中に銃で撃たれて帰国したという背景が物語の初めに書かれています。アフガン戦争とは、イギリスとアフガン王国の間で3次に渡り行なわれた、戦争です。
ホームズは学級図書で読んだという人も、是非それを今度は英語で、緋色の研究、およびホームズシリーズ読んでみてください。
この「緋色」、タイトルはアーサー・コナン・ドイルにより1886年に執筆され、翌1887年に発表されたシャーロック・ホームズシリーズの祈念すべき第一作目の「緋色の研究(A Study in Scarlet)」に由来します。「緋色」と「赤=本作のメインである赤井秀一」をかけているようです。
緋色の研究「A Study in Scarlet」アーサー・コナン・ドイル著 |
緋色の研究(緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫) )
この「緋色の研究」は是非英語での一読をすすめたい、一冊です。特に、英語力の向上に多読が必要だと知っており、すでに短い物語を読破したことがあるという中級者以上は、ホームズシリーズをオススメしたいです。
緋色の研究の原作読破をすすめたい理由
まず、英語学習の観点から。話自体が他ペーパーバック本(文庫本)と比較して少々短めであることと、一冊のボリュームは約4万3千語ほど。有名な推理小説「オリエンタル急行殺人事件」で6万2千語程。出てくる単語はそれほど難しくないことがその理由です。また、作品中には手紙の文章であったり、新聞に掲載した広告の内容、会話文など様々なフォームの英文が豊富です。物語としては、シャーロック・ホームズの第一作目ということもあり、ホームズのその特異な人物像、助手のワトソン博士との出会い等、その関係性も描かれており、今後シリーズを読みすすめていきたい人が知ると面白いと思います。
緋色の研究あらすじ(ネタバレなし)
作品は一部と二部に分かれており、一部では殺人事件について、二部ではその事件の背景が語られるという構成です。手頃で住みよい下宿を探していたワトソン博士は友人に、シャーロック・ホームズを紹介され、2人はベーカー街221Bで共同生活を開始する所から話が始まります。
二人が共に関わることになる初めての殺人事件の被害者はアメリカ人の男。見つかった遺体に外傷は無く、遺留品は女物の金の結婚指輪、現場の壁には血文字でRACHEと残されていました。
ホームズは、RACHEはドイツ語で復讐の意味だと指摘、また推理力を駆使して、犯人の特徴を見事に説明します。 死体発見後に酔っ払いの男を付近で見たという情報を第一発見者から得たホームズは、金の指輪の持ち主を探している旨を新聞に載せて事件の重要参考人をおびき出そうとするものの、巧みな変装によって逃げられてしまいます。
面白かったところ
ホームズの人物像の描写名探偵コナンの工藤新一/コナンはホームズにあこがれています。しかし、そんなコナンの憧れとは裏腹に、ホームズは、物語を読みすすめていくと、かなり特異な人物であることがわかります。
その後、ホームズと行動をともにするワトソン博士は、ホームズの仕事を理解するにあたり、以下のようなリストを作ります。これが、ホームズという人物を知る手がかりにもなります。
Sherlock Holmes—his limits.
1. Knowledge of Literature.—Nil.
2. Philosophy.—Nil.
3. Astronomy.—Nil.
4. Politics.—Feeble.
5. Botany.—Variable. Well up in belladonna, opium, and poisons generally. Knows nothing of practical gardening.
6. Geology.—Practical, but limited. Tells at a glance different soils from each other. After walks has shown me splashes upon his trousers, and told me by their colour and consistence in what part of London he had received them.
7. Chemistry.—Profound.
8. Anatomy.—Accurate, but unsystematic.
9. Sensational Literature.—Immense. He appears to know every detail of every horror perpetrated in the century.
10. Plays the violin well.
11. Is an expert singlestick player, boxer, and swordsman.
12. Has a good practical knowledge of British law.
シャーロックホームズ ―― 彼の知識範囲ホームズの知識にかなりの偏りがあり、所謂教養あふれる英国紳士ではないことも伺えます。ホームズの人柄の描写は他にも、文章の至る所にあふれています。
1.文学の知識 ―― 皆無。
2.哲学の知識 ―― 皆無。
3.天文学の知識 ―― 皆無。
4.政治学の知識 ―― 貧弱。
5.植物学の知識 ―― さまざま。ベラドンナ、阿片、毒草全般には詳しい。実用的園芸に関しては知識がない。
6.地理の知識 ―― 実用的だが範囲が狭い。土壌を一目見ただけで違いを言いあてられる。散歩のあと、ズボンについた泥を見せて、色と堅さでロンドンのどの場所の泥か私に説明した。
7.化学の知識 ―― 深い。
8.解剖学の知識 ―― 正確だが体系的でない。
9.異常な事件記録の知識 ―― 膨大。彼は今世紀に起きた惨事の詳細をすべて知っているようだ。
10.バイオリンを上手に弾く。
11.熟練の木刀選手、ボクサー、剣士。
12.イギリス法について極めて実用的な知識を保有。
実は推理は修正しつつ
名探偵コナン等では、ズバリ推理を的中させるのですが、シャーロック・ホームズは、時に推理が大ハズレ!ではないものの、少々外れることもあり、観察・仮設・修正を頭の中で繰り返しながら行っている様子がわかります。物語の中でも、新聞広告を掲載して、事件の重要参考人をおびき出すことに成功するのですが、予想していた人物像とは異なる人が現れたりします。そのたびに、ホームズが少々がっかりしたような、なんとも言えない様子が、ワトソン博士の目線で伝わって来ます。
その時代の描写
小説の至る所にその時代の社会、風景の描写があります。シャーロック・ホームズはイギリスの19世紀末が舞台となっています。その時のイギリスは、まさにガス灯から電気に変わり、車、電話が現れ、使用する時代に移り変わっていく時期です。しかし、小説では、ほんのりと道を灯すガス灯、馬車の音等が聞こえて来そうです。また、連絡手段も電報という時代。19世紀末のイギリスは、 綿工業中心の産業革命が進み、工場制機械工業が普及し、工業都市が発展した時代です。また19世紀中盤には鉄道が急速に普及し、蒸気船の普及とともに交通革命が起こり、ロンドンの人口も増えた時代です。
また、ワトソン博士はアフガン戦争中に参加し、従軍中に銃で撃たれて帰国したという背景が物語の初めに書かれています。アフガン戦争とは、イギリスとアフガン王国の間で3次に渡り行なわれた、戦争です。
緋色の研究のタイトルの元になった一文
ホームズの第一作目の緋色の研究。このタイトルの元になる一文が、作品中に出てきます。これは、警察が重要な事件の参考人を取り逃がしたことに対して、ホームズがぴりっとコメントしたあとのセリフ。〈略〉 a study in scarlet, eh? Why shouldn't we use a little art jargon. There's the scarlet thread of murder running through the colourless skein of life, and our duty is to unravel it, and isolate it, and expose every inch of it.
緋色の練習作というのはどうだ?ちょっとした芸術家の隠語を使っていけないことはないだろう。無色の人生の糸カセを殺人という緋色の糸が通っている。僕らの責務はそれをほぐすことだ。そしてそれを分離し、隅から隅まで正体を明かすことだ。興味深い捜査依頼が来ると、報酬のことは気にせず夢中になる一方で、つまらない依頼はどんな高貴な依頼人でも全く興味を示さない、そんなホームズの探偵業の考え方が垣間見える文章ではないかと思います。
A Study in Scarlet
他のホームズシリーズもおすすめ
緋色の研究は、ホームズの第一作目として、シリーズを読み進めていくための素地を作るのに重要なため、手始めに読むのがよいのですが、実は「シャーロック・ホームズの冒険」などは短編集であるため、この「緋色の研究」よりも一話一話の話は短め、また有名な話「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「花婿の正体」「ボスコム谷の惨劇」「五つのオレンジの種」「くちびるのねじれた男」「青い柘榴石」「まだらの紐」等が収録されており、読みやすいと思われます。スポンサーリンク
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