フィリピン人にとって大切な週間ーホーリーウィーク(Holy Week)/聖週間 どのように過ごすのか(枝の主日・祈祷行進・最後の晩餐)

現在フィリピンはホーリーウィーク/聖週間の真っただ中です。これは枝の主日(聖枝祭)とされる日曜日、からその週の土曜日(イエスの復活の前日)までの期間を言います。

キリスト教徒でもカトリックとプロテスタントなどの宗派、また地域によってその名称は、受難週、受難週間、英語ではHoly Week、、スペイン語でセマナ・サンタ(Semana Santa)、とも呼ばれ、またその過ごし方は異なりますが、イエスの十字架を想う週であり、キリスト教徒にとっては内省の週です。

枝の主日に始まり、聖水曜日の祈祷行進、聖木曜日、フィリピン独自のキリスト受難劇セナクロ、聖金曜日、復活祭等、それらの宗教行事の意味を確認し、フィリピンで行われている習慣※を紹介いたします。※地域差がありますので、ご了承ください。

枝の主日/Palm Sunday(日曜日)

フィリピンの地元の教会
フィリピンの地元の教会







枝の主日はキリストが、ロバに乗って弟子と共にエルサレムに入城した日とされ、群衆が棕梠(しゅろ)※の枝をもってキリストを迎えたと言われます。新約聖書にいくつか記述があります。※棕梠はヤシ科の植物

大勢の群衆が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は木の枝を切って道に敷いた。(マタイによる福音書21:8)
その翌日、祭りに来ていた大勢の群衆は、イエスがエルサレムに来られると聞き、なつめやしの枝を持って迎えに出た。そして、叫び続けた。 「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に。(ヨハネ福音書12:12-13)


フィリピンではこの日、教会の前や路上でに椰子の葉で作られた「パラスパス」を販売する人たちの姿が見られます。信者はそれを購入し、教会に行きます。その後はそれを家に持ち帰り自宅で保管し、次の年の灰の水曜日の前に奉納します。次年度の灰はそのパラスパスから作られます。

聖水曜日、祈祷行進(プロセッション)(水曜日)

聖週間中の祈祷行進の様子

この期間街中では祈祷行進(プロセッション)が見られます。キリストの像、そして他の聖人の像を乗せた「カローサ(台車)」がミサの後、教会から出発し、街中を巡ります。神輿や山車のような様相です。

プロセッションは近隣のバランガイを巡ります。その間そのプロセッションについていくことも出来ますが、プロセッションの通り道となっている家々の人々は自宅前でろうそくを灯して見守ります。本来は内省のための時間なのですが、教会前には屋台も出ており、何だかお祭りのような様子です。

1時間ほどかけて町内を巡った後は、聖人像は持ち主の元に一旦戻されます。その後特に子どもたちは聖人像の持ち主宅を訪問します。子どもたちはスープや軽食などを振る舞われます。

子どもたちはそれらを楽しみにプロセッションに参加するといっても過言ではありません。それらを通して子どもたちもカトリックの聖人、そしてホーリーウィークなどの一連の宗教行事に親しみます。

聖木曜日/Maundy Thursday(木曜日)

聖木曜日は、最後の晩餐とも呼ばれ、最後の晩餐(The Last Supper)は、レオナルド・ダ・ヴィンチがキリスト教の聖書に登場するイエス・キリストの最後の晩餐の情景を描いた絵画としてキリスト教徒以外にも知られていますが、イエス・キリストが処刑される前夜、十二使徒と共に摂った夕食、その夕食の席で起こった一連のできごとを指しています。

ユダがイエスを裏切り、弟子たちに新しい契約の中で生きることを教えられました。最後の晩餐の後、イエスは弟子たちの足を洗いお互いに仕えあうことを教えます。その後ゲッセマネで祈りをささげるイエスはユダヤ教の指導者たちに捉えられます。

最後の晩餐あるいは主の晩餐とも呼ばれていますが、聖書には最後の晩餐とは書かれておらず、「最後の過越の食事」です。「最後」というのは、これまで長い間、イスラエルの歴史においてなされてきた伝統的な過越の食事が最後になるという意味です。新しい時代においてイエスは「主の晩餐」という新しい食事を制定されました。

イエスはご自身の肉体をたとえ「種なしのパン」を裂いて弟子たちに分け与え、また多くの人のために十字架上で流される血にたとえる「ぶどうの実で作った杯」をお与えになり「パンとぶどう酒による晩餐」を契機に、弟子たちに新しい契約の中に生きることを教えられました。これらがミサ等で行われる聖餐式の始まりです。

木曜日から処刑されて遺体が墓に安置される土曜日の最後の3日間は非常に重要な期間です。そしてこの3日はフィリピンの休日となります。この晩は、夜通し素足で30キロ離れた町まで歩くプロセッションが行われます。これもキリストの苦しみを知るために行われるものです。

セナクロ(Senakulo)

聖週間の期間、フィリピンの文化としてPassion(イエス・キリストの受難劇)が行われる。フィリピンのバランガイ等では、道を封鎖し、小さなステージを設け、バランガイによっては、主の枝日から復活祭までの8日間続けておこなれます。これらを通じて、文字の読み書きの出来ない人や子ども、キリスト受難について知り、国民的な宗教を支える役割をしています。

この時期に旅行される方へ

この時期に旅行され、フィリピンのこのような宗教的な風習を見ることができるというのはとても貴重なことだと思います。しかし、聖週間期間は多くの機関・商業施設がおやすみなります。ショッピングモールなどでは、水曜日が半日休暇で、木曜日と金曜日が全日休暇というところが少なくありません。そのため、お出かけの前は確認されるのがベストです。また、金曜日は、外出を控えるのが一般的です。イエスが十字架にかかり、その守りと加護が金曜日は無くなると信じられているためです。

関連ブログ

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参照ウェブサイト

Senakulo: Traditional Dramatization of the Passion of Jesus Christ
https://spirituality.knoji.com/senakulo-traditional-dramatization-of-the-passion-of-jesus-christ/

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