ノラ・オノール(Nora Aunor)の受賞を巡って

ノラ・オノール(Nora Aunor)は、フィリピンの国民的女優、歌手、映画監督です。栄誉あるナショナル・アーティストにノミネートされましたが、最終的には政府側から待った!がかかりより外されてしまいました。

理由は、ノラ・オノールの麻薬所持。これが、国を代表するアーティストとして国を代表することはふさわしくないと、政府が決定を覆すこととなりました。

ノラのファンは俄然抗議。また、ノラを疎む人たちによって阻止されたのではないかという陰謀説まであがりました。

人気が故の陰謀説、しかしもう一方で彼女がシンデレラ物語の体現者であったためではないかと思われます。

ノラさんは、私が現在生活するビコール、南カマリネス州イリガの出身。5人兄弟の4番目で、家は貧しく、小柄でやせており、肌の色も褐色。色の白い俳優たちには蔑視されていたといいます。

歌手となるきっかけは、ナガ市で行われていた素人のど自慢大会。その後、叔母のサポートを受けて大会に参加し、優勝。アルファレコード社から出された初めてのシングルはそれほどのヒットにならなかったものの、二度目のシングルThe Music Played、Don't Tell my heartは大ヒットとなりました。

歌手としての成功と同時に女優としての道を歩みはじめました。はじめは端役で出演し、徐々にその名を確立そして、レギュラー番組を多い時では週に3つも持つほどとなりました。

それからは、映画を作っていく方向で仕事をシフトして行きました。これまでの映画とは一線を画した芸術性ある映画の製作です。また、「神のみすてたまいし3年」での演技は素晴らしく、多くの称賛を得たと言います。

私は残念ながらまだ観ていませんが・・・

今回、ナショナルアーティストとして受賞こそはしませんでしたが、これまでのフィリピン映画界に新風を吹き込み、素晴らしい演技で多くの観客を魅了してきたことは否定できない事実です。

そもそも、ナショナルアーティストの決定という芸術と表現の自由の場に政治が関わるというのは何とも頂けませんが、これが彼女の女優としての素晴らしさ再度認識し、今後芸術性の高い作品を生み出していってほしいと昨今の人気俳優を起用した内容の薄いフィリピン映画を見て思いました。


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