毎年台風や豪雨に見舞われるフィリピンですが、昨年のニュースで、2009年の台風の被害について住人へ行った調査結果が発表されたのを思い出し、再びその記事に目を通しました。2009年度の台風シーズンにフィリピンを通過した台風や豪雨では38%が何らかの被害をうけ、地域別に見て行くと57%が首都マニラ、53%の他のルソン島地域(うち17%はビサヤ地域、15%はミンダナオ島)と言われます。
2009年9月に発生した台風16号、フィリピン名オンドイはその中でも一番被害をもたらした台風で、26日にマニラを通過し、死者は464名ほどと言われるものの、増水した川岸や低地に暮らす住民登録をしてない人々を含めると数は恐らく発表された数を上回るようです。フィリピン全体で27%、4,900万世帯の被害を出し、その半数以上が首都圏でした。
被害が甚大と言われた地域は首都圏マニラでも当時私が生活していたマリキナ市。マリキナ市はマニラ首都圏最大のケソン市の南東に位置する、靴の生産で有名な都市。イメルダマルコスの靴の博物館もこの市内にあります。市内にはマリキナ川が流れており、台風では川の増水でその地域一帯が水没、更に低い地域に住む人たちは家屋の3階部分まで浸水し、屋根に捕まって救助を待ったという話も聞かれます。
オンドイの被害の拡大は洪水によるものでしたが、洪水になる前夜は一向に止まない雨を気にかけつつもさしたる心配はしていなかったように思います。翌日もひたすら雨が降っていましたが、近くのスーパーに買い出しに出かけた寮の住人がスーパーが浸水し始めていることを教えてくれ、ただ事ではないことをようやく実感。
そして午後、目に見える形で水位がぐんと上がります。気が付くと家の前まで水が来ています。幸い、家は少々小高い場所にあったため難を逃れましたが、外につながる道は胸まで浸かる水によって完全に遮断、電話も通じなくなり完全なる孤島と化します。勿論電気もネットもなし。夜は救命ボートでこの孤島から病人が連れ出されたりしています。しかし、外の様子は一向に分からず・・・いったい何が起こっているのか?ローソクを灯し、不安な一夜を明かしたのでした。
洪水から一夜明け、水も引きますがそのあとがひどい。洪水によって運ばれてきた泥が一帯を覆い、風が吹くと砂埃となります。著者の生活していた地域はまだまだよい方でしたが、洪水とはこういうものなのだと改めて思い知らされたと同時に、これまでの生活に戻っていくプロセスの大変さを僅かばかり実感したのでした。
しかし、毎年恒例になりつつある台風による被害。気になるのは住民にかかる負担です。給与が手取りで平均7,000ペソ(14,000円)~10,000ペソ(20,000円)で生活する彼らが家屋の修繕にかかる費用を賄うことの負担、また不法占領して居住する住民の移住を政府が進めているものの結局、家計を助ける収入源を新しい住居地で持つことができず持続可能かつ、最良の提案とはなりえていない現実があります。河川の治水整備も資金不足のために長期を要するため、すぐの改善は望まれないと思われます。
台風に見舞われた2009年末に行われた調査で、これから向かえる一年に対する生活全般に関してその観を尋ねると、楽観視している人が多かったようです。台風被害に遭った36%が楽観的、8%が悲観的に捉えていたということでした。これしきのことでへこたれるフィリピン人ではないことに感心しつつも、政府としても早く治水事業を進めるなり、被害を拡大させない都市計画を実行に移してほしいものです。
フィリピン洪水 記事はこちら http://globalleaner.blogspot.nl/2013/08/blog-post_20.html
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