あーもったいない!
日本では、1900万トン(平成17年)の食品廃棄物が排出されました。そのうち食べられるにも関わらず捨てられる「食品ロス」と呼ばれるものは年間約632万トンと推計されています(農林水産省ウェブサイト)。それをお米に換算すると1日におにぎりを2個ずつ捨てていることになります。これはなんと全世界の食糧援助量の約2倍です。そして、日本の食料自給率は現在39%(平成27年度)。大半を輸入に頼つつ、その一方で、食べられる食料を大量に捨てています。
この状況を鑑みて、オランダ政府はこの廃棄率の20パーセントの削減を目指していますが、いまだ達することができていません。オランダ人が、「食品ロスを問題と思っていない」ことがこれだけ多くの廃棄を生んでいる状況の背景にあると言われます(NL times.nl. 2016)。
仕組み
こうした状況を背景にできたのがINSTOCK。このレストランは、ローカルのチェーンスーパーマーケットAlbert Heijnsや他のお店などから、売り物としては店頭に並べられない、形の悪いフルーツや野菜、一日古くなったパン、肉、魚などを回収します。
回収は環境に優しい電気自動車で行います。シェフは回収した食料で調理。茶色くなったバナナはバナナアイスクリームに、オランダでよく見かける小さいキャベツのような野菜Brussel sproutはキムチに変身します。
メニュー
カフェメニュー(コーヒー、お茶、ケーキ類)は一日中楽しめます。ランチや単品もののオーダー8:30開店から16:00まで、オムレツやブリトーなどが3.75ユーロから。ディナーは17:30からオーダーが可能。その日に入手した材料によって変わりますが、コースメニューと単品でのオーダーが可能。3品コースは23.50ユーロ、4品のコースでは28,5ユーロ。
レストラン以上の広がりを持つ活動このカフェ・レストランはアムステルダムから始まり、今はハーグ(牢獄博物館横)、ユトレヒトにお店があります。そして、調理した料理を提供するのみならず、それらの廃棄食料から作られた料理の調理本も出版し、ジャガイモを原料とするビールの製造、食料保存のためのワークショップも実施しています。
法の順守故の壁、しかしアドボカシーとしてのレストラン運営
賞味期限の過ぎた食べ物は法に抵触するため調理されていません。80パーセントの材料は、それら回収した食料から作られ、20パーセントは購入しているそうです。
法を順守するが故、INSTOCKで使用する材料の一部は購入せねばならなりません。賞味期限が消費期限ではないことを考えると、このレストランのアドボカシーはそれほど先鋭的でもなく、ビジネスライクにうまくやっているという見方もされるかもしれません。
しかし、このような取り組み、レストランの存在が周知されることによって、一般家庭で食糧購入時の見直しが促されることが期待されます。価格が安いため大きめの商品を購入、後で食べようと思い購入したもの、頻繁に買い物に行く手間を幅くため食品を大量に購入し結局消費せず、腐らせてしまったものなどあるのではないかと思います。
お持ち帰り
また、外食でオーダーしすぎて消費しきれなかった等々、そうした経験もあるのではないかと思います。オランダのみならず、著者が生活していたフィリピンでも外食時、食べきれず残したものは持ち帰りが可能です。日本のレストランでも近年こうした「お持ち帰り」が可能になったと言われていますが、あまり一般的ではなさそうです。
理由は、食品衛生的な問題で訴えられる可能性を避ける店側の姿勢であったり、持ち帰りに適した容器を用意していない(想定していないの当然ですが)、またそもそも消費者個人がそうした意識を持っていない等の考えがあるそうです。
食品衛生面に関しては、レストランで食べていた時の食中毒は、レストラン側の責任となることは当然ですが、お持ち帰りの食べ物でその保存方法が誤って最悪なケースとして食中毒を起こした場合は、消費者側の不注意。なので、消費者が納得してお持ち帰りすることに関しては問題ないのではないかと著者は思ってしまいます。
一番はオーダーしすぎないことにつきますが、もしオーダーしすぎた場合は「お持ち帰り」という選択肢もありです。
NL times.nl (2016). NETHERLANDS' FOOD WASTE STILL TOO HIGH AT 2 BILLION KG PER YEAR
http://nltimes.nl/2016/08/30/netherlands-food-waste-still-high-2-billion-kg-per-year
特集 食べものの「ムダ」をなくそう(2)
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe1_02.html
日本では、1900万トン(平成17年)の食品廃棄物が排出されました。そのうち食べられるにも関わらず捨てられる「食品ロス」と呼ばれるものは年間約632万トンと推計されています(農林水産省ウェブサイト)。それをお米に換算すると1日におにぎりを2個ずつ捨てていることになります。これはなんと全世界の食糧援助量の約2倍です。そして、日本の食料自給率は現在39%(平成27年度)。大半を輸入に頼つつ、その一方で、食べられる食料を大量に捨てています。
オランダの食品ロス
ここオランダでの食品廃棄は1人当たり、1年で135キロ(NL Times.NL. 2016)。食品ロスは、製造、小売業、家庭、レストランなど様々な場面で起こり、金額にして45億ユーロのロスです。廃棄食品のトップ5は、パン、野菜、果物、ソース、脂。この状況を鑑みて、オランダ政府はこの廃棄率の20パーセントの削減を目指していますが、いまだ達することができていません。オランダ人が、「食品ロスを問題と思っていない」ことがこれだけ多くの廃棄を生んでいる状況の背景にあると言われます(NL times.nl. 2016)。
廃棄されるであろう食材で料理を提供するカフェ・レストランーINSTOCK
ハーグ市内にあるINSTOCKカウンター席 |
仕組み
こうした状況を背景にできたのがINSTOCK。このレストランは、ローカルのチェーンスーパーマーケットAlbert Heijnsや他のお店などから、売り物としては店頭に並べられない、形の悪いフルーツや野菜、一日古くなったパン、肉、魚などを回収します。
回収は環境に優しい電気自動車で行います。シェフは回収した食料で調理。茶色くなったバナナはバナナアイスクリームに、オランダでよく見かける小さいキャベツのような野菜Brussel sproutはキムチに変身します。
メニュー
カフェメニュー(コーヒー、お茶、ケーキ類)は一日中楽しめます。ランチや単品もののオーダー8:30開店から16:00まで、オムレツやブリトーなどが3.75ユーロから。ディナーは17:30からオーダーが可能。その日に入手した材料によって変わりますが、コースメニューと単品でのオーダーが可能。3品コースは23.50ユーロ、4品のコースでは28,5ユーロ。
INSTOCKハーグ支店 シンプルで明るい店内、ティータイムの時間にお邪魔しました。 *ランチメニューは4時で区切られてしまいますので、4時以降からディナーまでの時間はケーキやスナックなどのメニューのみ。 |
レストラン以上の広がりを持つ活動このカフェ・レストランはアムステルダムから始まり、今はハーグ(牢獄博物館横)、ユトレヒトにお店があります。そして、調理した料理を提供するのみならず、それらの廃棄食料から作られた料理の調理本も出版し、ジャガイモを原料とするビールの製造、食料保存のためのワークショップも実施しています。
カプチーノ(2.5ユーロ)とスコーン(2.5ユーロ) |
法の順守故の壁、しかしアドボカシーとしてのレストラン運営
賞味期限の過ぎた食べ物は法に抵触するため調理されていません。80パーセントの材料は、それら回収した食料から作られ、20パーセントは購入しているそうです。
法を順守するが故、INSTOCKで使用する材料の一部は購入せねばならなりません。賞味期限が消費期限ではないことを考えると、このレストランのアドボカシーはそれほど先鋭的でもなく、ビジネスライクにうまくやっているという見方もされるかもしれません。
しかし、このような取り組み、レストランの存在が周知されることによって、一般家庭で食糧購入時の見直しが促されることが期待されます。価格が安いため大きめの商品を購入、後で食べようと思い購入したもの、頻繁に買い物に行く手間を幅くため食品を大量に購入し結局消費せず、腐らせてしまったものなどあるのではないかと思います。
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お持ち帰り
また、外食でオーダーしすぎて消費しきれなかった等々、そうした経験もあるのではないかと思います。オランダのみならず、著者が生活していたフィリピンでも外食時、食べきれず残したものは持ち帰りが可能です。日本のレストランでも近年こうした「お持ち帰り」が可能になったと言われていますが、あまり一般的ではなさそうです。
理由は、食品衛生的な問題で訴えられる可能性を避ける店側の姿勢であったり、持ち帰りに適した容器を用意していない(想定していないの当然ですが)、またそもそも消費者個人がそうした意識を持っていない等の考えがあるそうです。
食品衛生面に関しては、レストランで食べていた時の食中毒は、レストラン側の責任となることは当然ですが、お持ち帰りの食べ物でその保存方法が誤って最悪なケースとして食中毒を起こした場合は、消費者側の不注意。なので、消費者が納得してお持ち帰りすることに関しては問題ないのではないかと著者は思ってしまいます。
一番はオーダーしすぎないことにつきますが、もしオーダーしすぎた場合は「お持ち帰り」という選択肢もありです。
INSTOCKの正面 買い物かごのロゴが目印 監獄博物館の並びにあります |
まとめ
一方は飢える人が存在する社会で、これだけ廃棄される食糧があるということは、悲しい事実。環境に優しい社会を目指し、人権意識も高く人道援助への寄付率が高いことでしられるオランダ。市民の意識が高いこの国でも食品の廃棄率は高いままであることを知り、少々愕然としつつも、こうした状況故に考え、行動し、責任ある消費者が必要なのだと改めて思います。
氾濫する情報をから正確かつ価値ある情報を入手し、責任ある消費者となるために、こうしたローカルのレストランなどの活動は意義深いと思います。広い意味での市民教育の窓口としてこれからますます重要度が増してくるのだと思いました。
INSTOCK
ウェブサイト:https://www.instock.nl (オランダ語)
メール:denhaag@instock.nl
メール:denhaag@instock.nl
連絡先:+31 (0)704126192
所在地:Buitenhof 36, Den Haag
メニュー:https://www.instock.nl/restaurant/den-haag
メニュー:https://www.instock.nl/restaurant/den-haag
参照
NL times.nl (2016). NETHERLANDS' FOOD WASTE STILL TOO HIGH AT 2 BILLION KG PER YEARhttp://nltimes.nl/2016/08/30/netherlands-food-waste-still-high-2-billion-kg-per-year
特集 食べものの「ムダ」をなくそう(2)
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe1_02.html
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