超電磁マシーン ボルテスV(Voltes V)が実写化が決定!フィリピンで熱いワケ

「たとえあらしがふこうとも〜、たとえおおなみあれるとも〜ボルテスV(ボルテス・ファイブ)にすべてをかけて〜やるぞちからのつきるまで♪」フィリピンの友人が得意げに「日本語で歌を歌えるぜ!」と披露してくれるのがこの「超電磁マシーン ボルテスV」の主題歌。

熱唱してくれた友人はその歌詞の意味は知らず、時々歌詞をごまかし歌うものの歌詞をはほぼ暗唱。「ボルテスV」を知らない世代であった私は盛り上がる友人を前に、いささか置いてきぼり感を感じたのだけれど、2019年12月末にフィリピンの大手テレビ局GMA系で実写ドラマ化されることが発表され、再度の盛り上がりを見せるほど、ボルテスVはフィリピン人にとって熱いアニメであることは確か。しかし、どうしてこれほどの人気があるのでしょうか。

そもそもボルテスVって?

「超電磁マシーン ボルテスV」は東映が制作し、テレビ朝日系で1977年6月4日から1978年3月25日まで放送された、ロボットアニメ。超電磁って何?という疑問は隅に置き、端的には、地球侵略を目論む異星人から地球を守るため、5人の若者がロボットに乗り込んで戦いを挑む物語です。しかし、話の背景、登場人物の関係性は子どもアニメにしては少々複雑です。

物語の主人公となる若者、剛健一は、宇宙人と地球人のハーフ(!)。健一の父ラ・ゴールは、その地球侵略を目論むボアザン帝国の王位継承権を持っていたものの、ライバルのズ・ザンバジルの策略によって失脚(あるべき角がないことをバラされたため)し、妻ロザリアとも引き離され、帝国から追われ、地球に漂流し、地球人の科学者である剛光代と結婚し、3子を儲けます。ラ・ゴールの地球での名前は、剛健太郎(ラ・ゴールの改名がなぜ剛健太郎となるのか、実質は婿養子という部分もツッコまないこと)。

一方、ボアザン帝国ではズ・ザンバジルが皇位を継承。国内の不満の捌け口を外へ向けるべく「高貴なボアザン文明を宇宙へ広げる」という名目で宇宙での侵略行為を開始します。ラ・ゴールとロザリアとの間に生まれた皇子ハイネルは、「裏切り者の子」として肩身の狭い立場でしたが、皇帝への忠誠を証明すべく、新たな侵略予定地の地球攻撃司令官として任地へ赴くこととなり、結果、血を分けた兄弟、剛健一とその弟たちと戦うことになります。

侵略戦争の理由も、かつての帝国主義戦争を彷彿させ、異母兄弟という子どもアニメらしからぬ設定が盛り込まれいます。




フィリピンでの人気

日本のアニメは総じて人気ですが、ボルテスVは、これまで幾度となく放送されてきました。日本で放送されてから間もない時期の1978年から1979年の放送では、最高視聴率が58%!英語に吹き替えられ放送され、その後タガログ語に吹き替えや日本語音声英語字幕で、2000年ごろまで放送されました。人気の理由はロボットアニメの真新しさ、ストーリーの面白さ、大人にも堪えうる内容、何より、フィリピン人ウケする内容が盛り込まれていたことが理由であると思われます。

ラ・ゴールという男の生き様

初放送は、マルコス戒厳令(1972年9月21日に布告)の最中でした。40話のアニメの後半部分が帝国の圧政、一部の貴族への権力の集中、奴隷制等、帝国に疑問を持つ市民がラ・ゴール等指導による革命を示唆する内容であったため、当時の政権による政治的圧力でわずか4話を残すところで放送が禁止されるというハプニングにも見舞われました。マルコス政権後に再度放送が再開されました。

物語中、一度母国を追われ、後に長年の苦難を乗り越え帰国、革命を起こすラ・ゴール(剛健太郎)は、1977年にアメリカに亡命、1983年に帰国し暗殺された元上院議員ベニグノ・アキノが連想されます。物語の最後、ラ・ゴールは国作りのために母国に残る決断をするところも、中々熱いです。

母の犠牲

また、物語でラ・ゴール(剛健太郎)の妻が第2話で、ボルテスVが苦戦した際、戦闘機に乗って特攻!し、命と引き換えに息子たちを救うというシーンがあり、母親の「犠牲」というのが、また、フィリピン人の心をぐっと掴んだに違いありません。しかし、この特攻シーンは、なんとも神風を想起させるのではないかと思います。

因縁の対決

最終話まで、ハイネル(ラ・ゴールとロザリアの子ども)とラ・ゴールとの関係が本人たちにわからないことが視聴者をモヤモヤさせます。わからないがゆえに、異母兄弟同氏が戦うという設定なのですが、家族が複雑に絡むストーリー展開にフィリピン人視聴者目が離せなかったことでしょう。


フィリピンの当時の社会の様子と重なる部分があり、また家族が絡んだ劇の内容が、アニメでありつつも、親近感を得て、フィリピン人気を博したのではないかと思われます。

ボルテスV実写化で挙がる賛否両論の声

このアニメにかけるフィリピン人の想いは熱く、実写化に期待する声があります。あの人気アニメがどのように実写化されるのか、そして、誰がキャスティングされるのか?人によっては、理想とするキャストを自らのウェブサイトに上げる人もいます。

一方、反対する声も上がってきます。アニメにかける思いがあまりに強いため、実写版を作って、がっかりするよりも、アニメの再放送をした方がよほど有益であるという声があります。実際、オンラインでの「No to Philippine Live Action Voltes V」という請願もあります。今後、キャストが発表されたらまた、キャストを巡って賛否の声が上がるのではないかと思われます。

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