ニューヨークタイムズドキュメンタリー:大統領がお前を殺す!と言った時

14分51秒のニューヨークタイムズ社の「When a President Says, ‘I’ll Kill You’」はフォトジャーナリストの足跡を追い、短い中に、大統領の言葉(問題発言)、遺族の様子を映し、そして殺害に関与した人物までもインタビューし、ドゥテルテ大統領の麻薬戦争に改めて問題を投げかけている。

https://www.nytimes.com/video/world/asia/100000004819836/duterte-philippines-when-a-president-says-ill-kill-you.html

(c) NewYork Times

大統領の過激発言を再び 

“Get out of my city if you’re doing drugs or other crimes, because if you don’t, I’ll kill you. It is never wrong for a President to say that,”
私の街から出ていけ、もしお前が麻薬や犯罪に手を染めているのなら。出ていかないなら、オレがお前を殺す。大統領がこう発言することは決して間違っていない。
“To all the military men and to all the police, go out and hunt for them and I will protect you,” 
すべての兵士、警察官、出て言って彼らを(それらの犯罪者)狩れ!オレがお前を守ってやる。

"Hitler killed millions of Jews, I will kill millions of drug addicts."
ヒトラーは何百万ものユダヤ人を殺害した。オレは何百万の麻薬中毒者を殺す。

ドキュメンタリーは、ドゥテルテ大統領就任時の映像から始まり、上記の大統領発言を引用します。

映像に映し出される遺体。そこにはガムテープが巻かれ、麻薬中毒者だ、あるいは麻薬を販売している!とメッセージ残され、遺体は道端に捨て置かれる。

毎月恐らく1,000人が大統領が掲げる麻薬戦争によって、正規の手続きを経ず殺害されている。警察の手によるもの、あるいは武装した自警団と称する民間人によってである。

自警団メンバーへのインタビュー


“We do believe we are taking out the really bad people. We no longer have any fear, nor does it bother our conscience every time we kill these people. ”
我々は、本当に悪い奴らを社会から取り除いていると信じている。そいつらを殺すときは、恐怖を感じたり、良心の呵責を感じたりすることは既になくなっている。


大統領が(挑発的な)メッセージを発した際、それは自分に向けられていると感じるかという質問に対して、以下のように答えている。

“I think, what I gather from whe he's been saying is that should we get caught, we would be freed eventually. ”

思うに、大統領がいうことを理解すると、我々が捕まっても結局、解放されるということ。

殺害された人々


殺害された人々は皮肉にも大統領のサポーターである場合も。3月26日付けの新聞で、「Duterte to poor: ‘If you die, I’m sorry’」という記事に以下のような記述がある。

大統領が、“You would say they are only killing the poor people(彼らが殺しているのは貧しい人たちだけだと言っている。),“Well, I am sorry. I have to clean up until such time the drug lords are eliminated from the streets,(すまないが、オレは通りから麻薬に手を染めるやつらがいなくなるまで“掃除”しないといけない)”、貧困は、言い訳にならない 。8,000人に上る殺害は、ほとんどが貧しく、麻薬の使用頻度は低いと推測されています。

狙われる人権活動家、被害者遺族

人権活動家は、“問題”の一部という大統領。しかし、人権活動家は法律が求めることのことをしているのみ。
実際、デモに出かける人々でも顔をマスクで覆うという人もいます。また、関係者であることを知られるのを恐れる親族が遺体を引き取らないというケースもあると言います。


大統領府は、NewYorkTimesの記事やドキュメンタリーを政権の解体作業と激しく糾弾。
こうしたNYのような報道が、大統領弾劾の追い風となることを期待しています。なぜなら終焉なき”戦争”に人々は疲弊しています!

ブログで追うドゥテルテ大統領のこれまでの動向

フィリピンで「死刑」再導入か?(1)― On‐Offのフィリピンの死刑制度
ICC(国際刑事裁判所)ドゥテルテ大統領に警告
個人的」に殺害した―殺害認めたドゥテルテ大統領
マトバトの証言―ドゥテルテ元ダバオ市長の超法規的殺害についての公聴会
処刑OK?ドゥテルテ政権の過激な麻薬対策
新大統領ロドリゴ・ドゥテルテ就任

参考ウェブサイト
Becoming Duterte: The Making of a Philippine Strongman
https://www.nytimes.com/2017/03/21/world/asia/rodrigo-duterte-philippines-president-strongman.html
http://newsinfo.inquirer.net/883818/duterte-to-poor-if-you-die-im-sorry#ixzz4cYUGWXxe
https://www.nytimes.com/video/world/asia/100000004819836/duterte-philippines-when-a-president-says-ill-kill-you.html

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