フィリピンの観光が振るわないのはメディアのせい?(1) 観光省によるメディア非難

フィリピン全国紙「inquirer」の「Why blame the media?」の記事が気になりました。政府がメディアの報道が誤った情報を読者・視聴者に与え、信頼を著しく損なっていると言っている。そして、それがフィリピンの観光業に影響しているとのことだ。この政府のメディア批判はどこまで的を得ているのでしょうか?

観光省秘書官によるメディア非難


観光省長官ワンダ・コラゾン・テオが政権の超法規的殺害をメディアがリポートすることで、フィリピンが国として観光誘致するのを難しくしている。そのため、メディアはレポートを自粛すべきだと言うもの。

「我々を助けてください、ご存知の通り、ただでさえフィリピンの観光誘致をするのに苦労しているのに、超法規的殺害が話題に挙がった時にはなおさら(大変になります)!」

この発言は、先日ドゥテルテ大統領がタイに訪問中にテオ長官が述べたもの。文脈を見なければいけないが、国の観光誘致のために超法規的殺害という国を挙げての殺害を黙殺、あるいはテオ氏が言う「トーンダウン」させることは、メディアとして到底できないお願いであろう。

そしてメディアのニュースを読んで、聞いて特に外国人が怖がってフィリピンを訪問しない!というのはある種的を得ているようでいて、もやもや感が残します。そのもやもや感の理由は、フィリピンの観光業が他の東南アジア諸国と比較して振るわない理由をメディアのせいにのみしているからです。そもそも、超法規的殺害という異常事態が問題なんでしょう?さらに、ヨーロッパや日本の友人が「フィリピってコワイ~」っていう人もいましたが、それは今に始まったことじゃありません。テオさん、聞いてますか?

メディアの報道が故にフィリピン観光が振るわないのか?

「フィリピンってなんだか物騒な感じ」というのはちょこちょこと聞きます。フィリピン関係者としては大変残念な話ですが、これはドゥテルテ氏が政権に就く前からの話です。ドゥテルテ政権後のメディアの報道の影響を過小評価はできませんが、はっきり言って上記のテオ氏の発言は的外れであり、自らの政府の役人として責務逃れをするための発言と言えます。


比較する国を間違えているのでは?

新聞の記事でも、観光立国タイの観光客誘致数と比較していますが、比較すべき対象を誤っていると思います。2016年度、タイは3,260万人の観光客を誘致した一方でフィリピンは590万人と言われます。東南アジアで観光業が振るっているタイの後を追うのがマレーシア、シンガポール、インドネシア。
タイ、アユタヤ観光
タイ、アユタヤ観光の写真
タイの地理上の有利さ、観光地の多さ、異国情緒満点の土地柄、比較する相手を間違えているのではないでしょうか。まず、お隣の地理条件が似ているインドネシアと比較すべきではと著者は思います。

シンガポール
シンガポールの街並み
そもそも、観光省が掲げる計画では2020年までに120万までに増やしたいとのこと。現在のシンガポールぐらいの観光客数を想定しています。では、なぜ根本的にフィリピンの観光が振るわないのでしょうか?


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