処刑OK?ドゥテルテ政権の過激な麻薬対策

ドゥテルテ政権が始まり1週間。連日ニュースでは、麻薬がらみの(殺人)事件が72件報道されています(2016年7月7日現在)。つまり、1日約10人のペース。

72人中43人は警察によるオペレーション中に殺害され、29名は発見時には既に何者かによって殺害されていたというもの。麻薬の元締めには大きな額の懸賞金がかけられています。

これはドゥテルテ大統領の公約、麻薬撲滅運動です。麻薬がらみの犯罪者を殺害しても構わない、一般市民に犯罪者撲滅!に協力するように積極的に呼び掛けています。


出典:inquirer: Duterte offers public bounty for arrest of drug lords



先月、長く市長を務めたダバオ市で、聴衆に向かい、「我々や警察に電話してください、もしくは銃を持っているのであれば自ら手を下しなさい。」

もし、麻薬ディーラーが逮捕時に抵抗あるいは警察に連れて行かれることを拒否されたり、市民を銃やナイフで脅したら、殺しても構わない、「撃て、私はあなたに(その行為に対して)メダルをあげよう!」また、別の場所では懸賞金を出すとも宣言しています。

懸賞金は、大者であるほど跳ね上がります。
全国紙Inquireのウェブサイトには殺害リスト(http://newsinfo.inquirer.net/794598/kill-list-drugs-duterte)が公表されており、殺害された人の名前と日時、場所が公表されています。

過激を通りこしたこの発言は、今フィリピンの至る所で現実となり、前述したような事件が大統領就任以降連日起こっています。

この行為・事件は大いに問題。国家は暴力装置(警察・軍隊など)を独占することが許されているが、これは正式な手続きを持って行使されることを前提としている。しかし、連日の警察のオペレーションは司法の軽視であり、重大な人権侵害につながる。

フィリピン人一般の怒り:汚職、貧困、不正義- が生んだ大統領、単純明快なメッセージ:悪い奴らを徹底的に懲らしめる!は広くフィリピン人に受け入れられたが、この代償は高くつくと思います。今はまだ気がつかないが、自分の友人・親族あるいは家族が巻き込まれたどうだろうか。冤罪ということもおおいにあり得るのだから。

犯人を殺すことは、短期的には犯罪者を暴力で抑え込み、麻薬がらみの犯罪件数を減少させることに貢献することができるでしょう。しかし、根本的な解決とはならないため次期大統領の時期になったらこの種の犯罪が増えるのではないだろうかと思います。

では根本的な解決って何よ?と言われるかもしれません。社会の病理であるが故、総合的な対策が必要。閉塞感-先が見えない、不安やいらだち!であったり、あるいはそれらからの逃避、興味・好奇心から麻薬に関わるという話も聞きます。それらの理由の1つは貧しさでもあるしょう。

現政権のアプローチを喜べません。ニュースを見る度、チクリとする痛みと不快感を感じます。ただ、それらの不快感や痛みは、選挙時に平和関係活動家(知人の何人かが)ドゥテルテ氏を支持していたことを思い出してのものでもありました。平和活動家がドルテルテ氏を支持しているなんて・・・かなり、がっかり・・・というか失望しました。

つい先日、フィリピン在住の日本人の友人がFacebookに以下のような投稿をされていました。

ローカルの定食屋で、ご飯食べてたんです。そしたら、隣の方でご飯食べてる40代ぽっいみすぼらしい男性が、僕が残したアドボ*の脂身をくれと言ってきた。シカトしてたら強引に取って行って、一言。「お前、ドテルテに殺されるぞ!」、、、フィリピンはこれから恐い世の中になりそうですw

(ご本人の許可を得て掲載しています。)
*アドボはフィリピンのお酢を効かせた煮込み料理。

脂身の部分が大好きなフィリピン諸兄だったのだと、何だかほほえましいというか、ネタとして面白かったのですが、今後は自分が気に入らない奴は殺害したあとにポケットに麻薬を入れて「こいつは売人だった(だから殺してもOK)」という論理がまかり通ってしまう事もあるかもしれません。

現政権の麻薬撲滅の取り組みは、犯罪者(と思しき人)を抹消したらしたら止むのでしょうか。

===================================================
ランキングに参加しています :) 記事の内容お役に立ったらクリック、ご協力お願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村
また、フィリピンの「これ」を知りたい!というテーマ、イベント、事件、などありましたら、コメント残していってください。








スポンサーリンク

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿

Subscribe