フィリピン人と結婚(1) - フィリピンでの婚姻手続き―千里の道も一里から

結婚とは人生の一大イベントです。さらに、外国人と結婚ともなれば本人のみならず、家族にとっても大イベントとなることは必須。言葉の問題、育児の問題など、文化や風習の違いから様々な壁に当たります。

こういう問題を覚悟して結婚を決めても、それに至る手続きは非常に面倒です。繰り返しますが、

本当に、とても面倒です。

著者のケースは日比の結婚。フィリピンは日本のように所定の婚姻届にサインしてすぐに手続きが終了するというわけではなく、長く、煩雑なプロセスを経なければなりません。


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手続きの第一歩、そしてもっとも大切なポイントは、しかるべき公的機関で情報を入手することです。また、日本人とフィリピン人が結婚する場合は、フィリピンでの婚姻手続きが先になります。フィリピンで正式な婚姻関係になっていないと日本での手続きは難しくなります。フィリピンでの手続きが済んだ後、在フィリピン日本国大使館に婚姻届とその他書類を提出します。

手続きの流れ

ステップ1:婚姻要件具備(独身)証明書の入手

婚姻要件具備証明書、所謂”独身証明書”の入手が必要になります。日本人にとっては戸籍で全てが判明するため、馴染みがないこの書類、フィリピンは法律で離婚ができないことになっているので、未婚であることを証明すること、そして18歳未満の婚姻は認められていないため、それらを証明する書類の入手は大切です。

■日本人が用意する書類

1) 戸籍謄本(抄本)1通 (発行後3ヶ月以内のもの)
(注)改製原戸籍又は除籍謄本 1通 (発行後6ヶ月以内のもの)
2) 有効な日本旅券 オリジナル (コピー不可)
日本人が婚姻要件具備証明書の申請を提出できるのはマニラ・セブ・ダバオ。上記の書類を持参して、書類に記入し、翌日に書類を受け取ることができます。

■フィリピン人の婚約者が用意する書類

1) 出生証明書 1通
(Birth Certificate:NSOまたは市役所発行のもの)
出生証明書の記載が不鮮明な場合は有効な旅券、ID又は洗礼証明書などもご用意下さい。といった但し書きがあります。フィリピンでは出生証明書が電子化されていないため、一昔前に生まれた人たちのデータはタイプライターで打って、それをオリジナルとして保管しており、コピーを作った時に不鮮明になることがただあります。その為、但し書きとしてあるように、パスポートや社会保障のカード、洗礼証明書(カトリックで生まれた場合は洗礼証明書を教会から発行されます。)を念のために持っていくことが良いと思います。ただし、洗礼証明書の発行は、地元で洗礼を受けた教会まで足を運ばなければならず、時間も労力も必要になります。

ステップ2:婚姻許可証の入手(フィリピン人婚約者の住所地の市区町村役場)

入手した婚姻要件具備証明書(独身証明書)をもって、フィリピン人婚約者が居住地域の市区町村役場に婚姻許可証(Marriage License)を申請します。
フィリピンのファミリープランニングセミナー
マニラのケソン市ではファミリープランニング(家族計画)等セミナーを受けないと結婚の許可がおりませんでした!!平日の午後に開催です。

著者が住んでいたケソン市では、「Family Planing seminar(家族計画セミナー)」を受講するスケジュールを保健局で取り付けて、その予約表を持って婚姻許可証を申請しないと、受け付けてもらえませんでした。家族計画セミナーは平日の日中しか開催されていなかったので、仕事を半休をとってセミナーに参加しました。

婚姻許可証は,婚姻許可証申請者の名前等を10日間継続して地方民事登録官事務所、教会での挙式の場合は教会の入り口等にも公示され、問題・・意義申し立て等々がなければ発行されます。

婚姻許可証は、発行後120日間フィリピン国内のどこの地域においても有効なのですが、この期間に婚姻の手続きを始めないと、また再度、ステップ1からやり直しとなりますので、ご注意を。

ステップ3:挙式、婚姻証明書の入手(挙式挙行地の市町村役場または国家統計局)

結婚式当日
書類を一式そろえることに苦心して、結婚当日はあまり感動はありませんでした。

婚姻の成立要件

上記の書類を整え、式を挙げますが、それだけではフィリピンでは結婚は成立しません。
フィリピンでは、婚姻を挙行できる権限のある者(婚姻挙行担当官:牧師、神父、裁判官など)が法律で定められており、婚姻挙行担当官と成人2名以上の証人の前で婚姻の宣誓を行い、婚姻当事者と証人が婚姻証明書に署名し、これを婚姻挙行担当官が認証することにより婚姻が成立します。
 
民事婚(Civil marriage)
フィリピンでは大別して2通りの結婚のプロセスがあります。一つは、市役所などで裁判官や市長立会いの結婚、Civil Marriageと呼ばれるもの。市役所などで手続きをするのですが、市長さんの前などで誓のキスなどをしなければならず、結構照れくさいとか。

教会婚(Church wedding)
もう一つは、教会での挙式あるいは牧師さんを呼んでの挙式となります。カトリック教会の挙式の場合は、上記で挙げた法的手続きの他に更なる手続きが必要になり、宗教が異なる場合は、そのための書類を提出するかまたは、教会によっては受け付けてもらえない場合があります。

また最低でも教式のひと月前はセミナーなどで、あらかじめカトリックの教義をならいます。挙式の間に神父さんや牧師さんが書類にサインをして、またニノン・ニナン(教父・教母)と言われる人たちも書類にサインをします。

婚姻後15日以内に婚姻証明書が婚姻挙行担当官より挙行地のフィリピン市町村役場に送付され、地方民事登記官により登録が行われます。

登録が完了すると,市区町村役場にて婚姻証明書の謄本(Certified True Copy of Marriage Certificate)を入手することができます。

ステップ4:婚姻届の提出(日本の本籍地市区町村役場または在フィリピン日本国大使館)

大使館の案内によると挙式3ヶ月以内に婚姻届を提出しなければなりません。
「フィリピンにおいて日本人とフィリピン人が結婚するための手続き(PDFファイル)」にあった、届出に必要な書類は以下の5点。

1) 戸籍謄本(抄本) 2通
2) 婚姻したフィリピンの方の出生証明書及び日本語訳文 各2通
3) 婚姻証明書及び日本語訳文 各2通
4) 婚姻要件具備証明書写し 1通
5) 婚姻許可証及び婚姻許可証申請書の写し 各1通

日本の戸籍に反映されるまでには1〜2ヶ月の時間がかかると言われています。
ステップ3から1〜2ヶ月以内で、フィリピン国内で結婚証明書発行が可能になります。必要がない限りは発行しない書類ですが、著者の場合は夫が居住地に住所を登録をする際に必要になりました。その場合はNSO(国家統計局)に申請して、発行となります。海外で使用する場合は、外務省の認証が必要になります。

ステップ1〜4が終了するまでに3ヶ月かかりました。

フィリピンは現在恐らく世界で唯一離婚ができない国となっています。法律で定められております。しかしこれほど手続きが面倒であれば、容易に結婚したいとは思わないでしょうw 煩雑な結婚手続きを終えてからが本番なんですが、上記のステップでかなり消耗しました。

結婚へのロマンなどは感じられません。そんな余裕はありませんでした。

フィリピン国籍の方とご結婚予定の方は時間的余裕を持って結婚の準備をすすめましょう。

著者が書類を準備する時、在フィリピン日本国大使館の「フィリピンにおいて日本人とフィリピン人が結婚するための手続き(PDFファイル)」はとても助けになりました。

そこには手続きの流れから、そのステップごとに必要な書類が書かれております。それらを網羅すれば恐らく、よほどのことがない限りは手続き上で問題が生じることはないと思います。

関連ブログ

フィリピン人と結婚(1) - フィリピンでの婚姻手続き―千里の道も一里から
フィリピン人と結婚(2) - 出席しなけりゃ結婚できない!ファミリープランニングセミナー1

外部リンク

「フィリピンにおいて日本人とフィリピン人が結婚するための手続き(PDFファイル)」
http://www.ph.emb-japan.go.jp/visiting/consular_j/consular_update/marriage_info.pdf

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