詐欺かホンモノか?世にも不思議な体験ーフィリピンの心霊外科手術(スピリチュアル・サージャリー)

「心霊外科手術」という言葉を聞いたことはありますか?「心霊外科手術」とは、素手で身体手術し、病巣を取り除いたりする術。術中に、血や組織片が出てきます。
著者は、2007年2月、NGO/ビジネスマンの依頼を受けて北部の山岳部にプロジェクト地の視察の旅をアレンジし同行した時、それを見学し、体験しました。

心霊外科手術のやり方をyoutubeで説明したビデオ
心霊外科手術のやり方をyoutubeで説明したビデオ「How To Do Psychic Surgery」
https://www.youtube.com/watch?v=-ElzxjoLbmo

心霊外科手術(スピリチュアル・サージャリー)を体験したいお客さん

著者のお客様は、どういうわけか北部ルソン島パンガシナン地方の心霊外科手術(スピリチュアル・サージャリー)に関心があり、是非会いたい、そしてそれを体験したいと希望されました。お客さんの要望とあっては仕方がない、プロジェクト地の本調査の前に少々寄り道をしてスピリチュアルヒーラーの居ると言われる場所に立ち寄ることになりました。

心霊外科手術施術者(スピリチュアル・ヒーラー)を探して

共にコーディネーションをしていたフィリピン人はパンガシナン出身の方々。その人たちと車で、術者が居ると言われる場所の探し、ついにその場所を突き止めることができました。と言っても隠れているわけではないのですが・・・

場所は、木造の至って普通、というよりはやや小さめの教会。こんな場所にそんなすごい(と言われる)人がいるのか、半信半疑で建物に近づく時、気管切開をして気管カニューレを喉に付けた白人がやはり我々が目指す建物に入っていく姿を見かけました。

現代医療に見放された人が行く場所なのかと思わずそんなことが頭をよぎりました。



心霊外科手術施術者(スピリチュアル・ヒーラー)と対面

教会の中に入るといつもは、説教台となっているであろう机が診察・治療場所となり、患者と思しき人たちが午後のまどろみの中、自分たちの順番を待っている様子でした。

さて、術者の人が行っているのは心霊外科手術(スピリチュアル・サージャリー)。私は昔の木曜スペシャル系、つまり谷○浩探検隊系統の話と理解しました。

半信半疑でしたが、この後起こったことから、結構これはあり得ると思うようになりました。もし、種や仕掛けがあってもかなり熟練されていると思いました。

施術体験

顧客を待っている間、長距離を移動した旅の疲れから気分が悪くなりました。明らかに私が気分を悪くしているように見えたのか、そういう感じがあったのか分かりませんが、その術者が私を指さし呼んでいます。「おい、おい・・・私は治療されに来たわけじゃ・・・」と内心思いつつも、何が起こるのかという好奇心そして何より拒めないほどにまっすぐに私を見つめている術者に対して断れませんでした。

促されるまま、あっさりと診療台(机)に仰向けになりました。そのあとは、白い紙を用いて頭から足先までまるでレントゲン写真を撮るようにスキャンされます。スキャンで身体の悪い場所が分かったのか、次は上着をめくるように言われました。

え、こんな大勢の前で下着まる見えじゃないか?と言っても仕方がないので、従うことに。ここからがすごい。そのヒーラーの手(そう見えて、そう感じた)が異様に熱くなり私のお腹の中を動いているようにすら感じます。彼女の手が入っている(汗)あたりの腹部、そして内部が熱くなり、暫くするとその手が血の塊を掴んでいます。

うげぇ、血が・・・

病巣なのか、何なのか、気分の悪さとそして驚きで言葉がでてきませんでした。自分に何が起こったのかは直接見ることが出来なかったので、元より診療を希望していたお客さんに付き添い、傍目でその施術の見学を許可頂きました。

お客さんの悪い場所は心臓、手が身体の中に入り込んでいくように見えます。指を折り曲げている痕跡も見えません。仕掛けがあるのだとしてもすごい。

一応外科手術を行ったことになるので、5日間はお風呂にはいっちゃだめ!と言われました。この熱い国で風呂に入るなというのは拷問のようなもの。とにかく従い、5日間は身体を拭いて過ごすのみとなりました。

批判

しかし、本当に素手で手術をすることができるのでしょうか?心霊外科医がしていることは本物であると言う人もいます。体験した人たちは、健康を回復したと確信しています。私自身は重大な病気があって某所を尋ねたわけではないので、わかりませんが、欧米からそれらの場所に訪れる人が後を絶たないようです。特に、今はやや下火になりましたが、80年代、90年代は、アメリカの旅行代理店が心霊外科治療を含めたフィリピンへの旅行を手配していたようです。

そのため、密かにそれらの心霊外科手術の真偽をかくにんするために多くの人が送られ、それらの術を観察しました。その後、有名な心霊外科医の術はある種の技法で外科手術が行われているだけのこと、という証言がなされました。

米連邦取引委員会(FTC)は、身体を素手で開けたり、罹患した組織や病原体を取り除いたり、傷跡を残さず開口部を閉鎖するなどの、「心霊手術」を報告しています。

プロの魔術師は、「心霊外科手術」の現象を調査するよう求められ、近距離で7人の精神外科医の活動を見ました。彼らはすべて、素早く「外科手術」をシミュレートするために、血液や組織で満たされたカプセルを使用していました。

魔術師のガートルラー氏は、この手法は「世界中で目撃した大多数のマジシャンよりも優れている」と語っています。しかし、これらの技法は魔法の世界では新しいものではなく、魔術師によっても行うことができると述べています。

心霊外科手術の間に血で染まった衣服を持ち帰り、成分を分析しました。この分析では、「衣服に支えられている血液は、ブタ由来か豚の血液か」と示されています。

1973年、ワシントン州のフィリス・ダグラス夫人は肩と首の癌の治癒のため渡比しました。彼女が米国に戻って後、外科医によって検査が行われました。検査によると「新たな瘢痕や他の手術の跡は見られなかった」といわれます。手術によって取り除かれた組織片は、夫人の身体からではありませんでした。病理学者は組織を検査し、人ではない生き物の小腸であると報告しました。動物組織が病気のヒト組織ではなく患者から取り除かれたと報告されました。

米国連邦取引委員会(FTC)は、フィリピンへのツアーを行っている旅行会社に、顧客に警告を発するよう命じました。フィリピンの心霊外科手術は、事前に採取した組織や血液を使用して外科手術を行ったかのように見せています。これらの外科手術によって治癒されたと信じて薬の飲用を辞めたり、医師の診療を辞めた場合は、深刻な危険にさらされているかもしれません。

後日

のちのちこの話を同地方パンガシナン出身の友人にしました。その友人は、「医療費を請求された?」と聞いてきました。
お客さんが感謝の気持ちを寄付として渡していたのを目にした程度でした。「ホンモノは、高額な費用を請求したりしないからね」と。理由は、そうすることでそういったスペシャルな能力が無くなってしまうからだそうです。確かに、こんな能力を金儲けに使ったらバチがあたるとも思われました。

ちなみにこうした現象や施術を医学的検証した医師も、いかさまやその類ではないと証言しています。同医師はヒーラーにインタビューを行い、施術中何が起こっているのかを聞いたところ、何らかのイメージが見えるのだとか、そして実際何を手につかむのかは出てくるまでわからないようです。

多くの批判があり、現在は詐欺だ、偽物だということが定説になりつつありますが、実際のところはわかりません。真意はともかく、これを行う意味はどこにあるのでしょうか?フィリピンにはいろんな種類の「医者」が居ます。それらの「医者」は治癒行為を呪術(祈り、薬草を使う等)で行います。医学的な効果は分かりませんが、それらが社会の中で果たしてきた役割もあり無下に否定はできないと思います。詐欺ではないこと、また命にかかわる病気ではないことに限って、こうした「治癒」はアリなのではと思います。

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2 件のコメント :

  1. パンガシナンの精霊派教会に行かれたのですね。それは貴重な経験をされましたね。私は3度ほど、現地を訪ねております。フィリピンには他にも、いろんなスタイルの治療師がいます。協会ではなく、自分の治療院を持っていたり、教会も治療院もなくただ、フィリピン中を歩き回って困っている人たちを救っている治療師もいます。フィリピンの心霊治療は、フィリピンの貧しい人たち(薬も買えない、病院にも通えない等)のためにある民間療法です。需要と供給のマッチングを、宗教が仲介して行っています。つまり、外野が「嘘か本当か」と騒ぎ立てるのはナンセンスで、フィリピンの困っている人たちが救われればそれでよいのです。そして、フィリピンの法律では、もし詐欺をしたら心霊治療師は即逮捕です。ですから現地の人相手に詐欺をする治療師は皆無です。一応、補足情報を書かせていただきました。

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  2. ソラアキラ様、拙いブログを読んでくださり、ありがとうございます。システムの関係で、2019年9月に頂いたコメントを今拝見し、ご返答しているところでございます。遅れてのご返答申し訳ありません。
    3回も現地に往かれたのですね。本当におっしゃるとおりで、本当かウソかという話は当事者たちには意味をなさないと思います。この治療は有名ですが、フィリピンの他の場所(特に先住民族である人々が生活する場所)でも非常に興味深い治療(祈祷)を実際にみたことがあります。患者の気分が良くなった様子は大変印象的でした。
    また、不妊治療にヒロット・・・など、他にも代替医療なるものも多く存在するフィリピンですが、個人的には、貧しい人々もフィリピンで極度に私営化され、商業的な西洋医学のアクセスがもう少し容易になることです。それには、まだまだ、経済、政策、政治が変わらねばならず、先の長い話です。それまで、あるいは西洋の医療がアクセスしやすくなっても、きっとこうした医療は生き続けるのだと思います。

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