フィリピン海外就労者(OFW)の送金にまつわる問題

クリスマスは家族が集う、待ちに待った日です。

10万~15万人のフィリピンの海外就労者(Overseas Filipino Worker 以下OFW)が帰国すると予想されています。もちろん、金銭的問題でチケットの購入が難しい、あるいは休みが取れないなどの理由から、帰国できずクリスマスと年明けを海外で迎えるというOFWも少なくありません。



それでもフィリピンにいる家族がクリスマスを楽しめるようにと、いつもよりも割り増し送金を行います。クリスマスを前後するこの時期が海外からフィリピンへの送金のピークです。

フィリピンの10人に一人が海外に出ており、海外からの送金はフィリピン経済を支えています。2016年は最高額の280億ドル、今年のフィリピンの国家予算は630億ドルなので、約半分に相当します。

そのおかねは一体どこに使われているのか、またOFWが嘆く問題とは何か?考えてみました。

送金したお金の行く先

1.生活費

OFWの家族の日常のお金として仕送りが使われます。食費、光熱費などです。

2.家族・親族の学費

子どもがいる場合は、子どもの学費に、もし高等教育に進学予定あるいは通学中の甥っ子や姪っ子がいる場合へのサポートもします。

実際、フィリピンの大学で教えていたとき、受け持った学生の80~90パーセントの家庭で両親、あるいは親族が海外で働いており、その助けで大学進学しているといいます。

3.家屋の改築・増築

>>フィリピンで家を建てるとは? にも書きましたが、フィリピンの家屋の建設は、資金を得るたびごとに徐々に建てていく方式です。ブロック塀むき出しの家を見かけたら、それは建設途中の家です。
フィリピンの田舎の家屋
フィリピンの田舎の家屋、街並み


4.投資

最後の投資は少々上の3つとは性格を異にします。実は、OWFの家族を想う心から送られるお金は、その目的とは異なった方法で利用されることもただあります。また、長期にわたる海外就労で一定の蓄えを持つため、OFW向けの投資オプションが増えています。

とりわけ都心部で作られているコンドミニアムなどへの投資は人気です。人口の過密化が進むマニラで、物件を所有することで、定期的な収入が望めます。

ただ、このコンドミニアムへの投資は著者はかなり問題だと思っています。都心にあるコンドミニアムを何軒か観ていますが、特に近年のコンドは作りが雑。数年したら価値が亡くなるの上にローンと経費(月々の管理費が1,500~2,500ペソのレンジ)がかかり、うまく運用できなければ、かえって経済的負担になります。

OFWの送金に関連する問題

1.送金に頼る家族

これは、働ける人間が職を辞めて、送金に頼って生活するパターンです。しばし見られます。コミュニティで働かぬ年相応の中年を見かけますが、かれらは単純に無職(しかし、フィリピンにはいろんな方法を編み出してお金を稼ぐ人もいますので、なんとも言えません)か、家族にOFWがおり、仕事を辞めてしまうケースです。

近所のお兄さんは、母親と妹がアメリカで働き、その仕送りがあるため、仕事を辞めました。かつての職はドライバー給与はおそらく7,000~10,000ペソ(14,000~20,000円ほど)と推測されます。家は改装され、美しく、インターネットもあり、クーラーも完備。日がなテレビを見て過ごしています。

頼り、怠けることも問題ですが、家族頼られていると感じているOFWはフィリピンに本帰国をしたいと思っても、子どもが教育を修了するまで、あるいは家が建つまでと帰国したい気持ちをぐっとこらえています。次第に、自分がいないと家族がやっていけないと思うようになります。

2.お金を手にすることが簡単であると考える

受け取り側が、お金を手にすることが簡単と考えるケースもあります。出稼ぎ先の国のほとんどが先進国、そして給与を知ると、お金を稼ぐことが簡単だと勘違いします。ちょっと働けば、フィリピンで働く何倍ものお金が手に入ると。

OFWの多くは家族と離れて暮らし、ホームシックなったり、手の抜けない仕事のプレッシャーで疲れ切っていたりします。「ちょっと稼いで」帰国するということはできません。また、節約のためにといろいろなことをしており、時にソーシャルイベント(パーティや外食)などを控えています。

しかし、フィリピンにいてお金を受け取る側は海外での仕事や生活については知る由もありません。

時に、送金受け取り側家族から「ありがとう」の言葉もない・・という嘆きの声もOFWから聞きます。

3.OFW自身が、大金持ちになった気分となる

日本で専門を持って企業で勤めた場合、手取りで稼げる額を30万円とした場合、そのOFWは一カ月でフィリピンで稼げる10倍ものお金を手にしたことを意味します。日本の生活費は高く、家賃や食費、光熱費を引いても手元にはそれなりの額が残ります。

フィリピンでの給与を考えると、金持ちになったと感じても不思議ではありません。なので、帰国すると太っ腹。家族に大盤振る舞いをします。

お金持ちになった気分になるとまではいかずとも、「持っているもの」が「持たぬ者」に振舞わないのは、富を独り占めしようとする「強欲さ」の表れと理解し、嫌います。なので、富を配分しようとします。

4.お金が適切に使われない

上記のように目的が明確な送金の場合でも、理由をつけては散財するという家族がいます。家の改築のための送金が、日常の用途ときにはギャンブルに使われてしまい、OFWが帰国時したときには、家族の散財の様子に驚くというケースも聞きます。

TNT(不法滞在のフィリピン人の略称)*にまでなって、お金を稼ぎ、甥っ子姪っ子を学校に送り、涙ぐましい努力をしているフィリピン人にもたびたび出会います。TNTになった以上帰国は、現在稼ぎがある国に戻れないことを意味し、簡単にはできません。そのため、お金がどのように使われているのか、受け取り側の家族を信頼する以外にありません。しかし、悲しいかな、時に受け取り側の家族は定期的送金を当てにして、OFWが本来願う方向でお金をつかわず「緊急事態」などと理由をつけてはお金をつかってしまいます。

そうした問題があるときには、同じ地方出身のフィリピン人が間に入り、帰国できないTNTを助けたりします。同郷のフィリピン人が、帰国時にTNTのコミュニティを訪れ、確認します。

*TNTとはタガログ語でTago Ng Tago、Tagoとは隠れると意味し、この場合は隠れ続けると訳すのが適切でしょうか、つまり違法滞在を意味します。

外国人として言いたいこと

外国人には分かるまい!と一蹴されてしまいそうですが、旦那が家族に送金しているので、あえて批判を覚悟で外国人として言いたいことは以下の3点。

TNT(違法滞在者)に関しては、相互依存関係があるのでそれを断ち切ること。もちろん、言うほど簡単ではありませんが、一度しかない人生、自分の人生を生きてほしいと思っています。
相互依存とかきましたが、上記のようにもう10年も働き、仕送りを続けて学費をサポートし続けた甥っ子姪っ子もすでに大きくなり、働いているのにも関わらずまだ仕送りを続けているという人もいます。話を注意深く聞いていると、「頼られること」に慣れてしまっており、あちらも「頼ること」に慣れています。

海外にでて、幾人かのTNTに会い、もちろんチャンスを求めて来ている人、多くは家族の経済的事情です。「送金を完全にやめることは無理です。」ですが、金額を徐々に減らしていき、自らの将来の蓄えをつくってください!といいたい。そうしないと、今度はTNT自身が一生懸命働きながらも誰かを頼らないといけなくなります。

お金の管理を学ぶこと。経済的に大変な時に「神様にお祈りをしていたら」親族から送金が来たという話を聞きます。お金は天下の回りもの、なので神様が祈りに答えたのかもしれませんが、お金にこまったらいつも祈るばかりで自分の責任果たして無いんじゃないの?と厳しく突き放したくなります。責任というのは、散在が多くて、経済計画も送金や借金だより!どうしたら稼いでいるお金でやりくりできるのか、考えると言う行為。

OFWを英雄視する国の政策を方向転換すること。フィリピン政府はOFWは国民のヒーローだ!といい、様々な優遇があります。
著者は家族と離れて頑張る彼らをものすごく尊敬しています。彼らはヒーローです。ただし、彼らは彼らの家族にとってのヒーローであっても国のヒーローというのはおかしいと感じています。彼らが海外に労働に出るのはもちろんキャリア、個人的な成長のためでもありますが、経済的安定のためです。

もし、国内に産業基盤があり、政治的に安定していればこれほどの人が海外に出る必要があるのでしょうか。特に、サウジアラビア等の国では家政婦として働いているフィリピン人(だけじゃない)労働者の人権侵害などが報道されています。フィリピン、国として何をしていますか?国もOFWがヒーローだ!といい制度化する前にもっとやれることあるんじゃないですか?と彼らの状況をみて感じています。

最後に

ここでは、OFWの送金に関する家族や個人レベルの問題に焦点を当てましたが、送金が家族の大きな助けになることは明らかです。送金によって教育を終え、安定した職に就くことができ、雨風をしのげる家が建設でき、将来の蓄えができます。

理想としては、フィリピン人が海外で職を積極的に得ずとも、雇用を国内で確保できること。長い道のりとなるでしょう。

旦那のSNSなどをこっそりのぞくと(笑)親族からのまた金銭の”無心”のメッセージが。貸しては頂戴の意味と捉えています。

さて、もういくつ寝るとクリスマス。再会を待ち望んだOFWとその家族が、ハッピーなクリスマスとなりますように。





スポンサーリンク

スポンサーリンク

Subscribe