オランダ総選挙(2) ‐ 自由民主党の勝利、されど危機まだ去らず!

昨日は選挙イヤーの皮切りとなるオランダ総選挙(下院選挙)でした。結果は、与党であったマーク・ルッテ首相率いる自由民主国民党(VVD)が定数150のうち31議席を獲得し、第一党の座にとどまり、極右政党自由党の進撃を食いとどめました。

オランダの政党 (ハーグにて撮影)

オランダには、1290万人の有権者がおり、私の生活するハーグでは272の投票所があります。投票場所は、駅、学校、老人ホーム、博物館、ショッピングモール、劇場など至る所にあり、投票率は81パーセントでした。
ショッピングモールの投票所


現時点(3月16日オランダ時間朝9:00)の各政党の獲得議席数、前年比

( )は選挙前の議席数、矢印は前回比での増減を記している。
自由民主国民党     VVD 33 (41)↓
自由党         PVV 20 (15)↑
キリスト教民主アピール CDA 19 (13)↑
民主66        D66 19 (12)↑
社会主義政党      SP 14 (13)↑ 
緑の左派党       GroenLinks 14 (4)↑ 
労働党         PvdA 9 (38) ↓ 
キリスト教連合     ChristenUnie 5 (5)→
動物党         PvdD 5 (2) ↑
50プラス       50Plus 4 (2) ↑ 
改革政党        SGP 3 (3) →
Denk 3 新政党
FvD 2 新政党

ルッテ首相
オランダ ルッテ首相 @ハーグ


与党、自由民主国民党は33議席を獲得し辛くも与党としてとどまりましたが前回の41から8議席減。連立与党であった労働党は歴史的な敗退となり、議席は9、前回から29議席減。一方で、中道左派と呼ばれる政党が軒並み議席を伸ばし、自由民主国民党はキリスト教民主アピール(CDA)、民主66 (D66)と連立を組むと見られています。

各国のメディアが占拠したビネンホフ中庭、スペイン語、中国語、日本語が聞こえてきました


極右政党、自由党(PVV)の得た高い支持率

自由党も議席を伸ばした政党の一つ。自由民主国民党(VVD)には及ばす、しかし今回票を伸ばした中道左派政党と並ぶ勢いを見せています。

TIMEの表紙を飾る、ウィルダ―氏とルペン氏

VDDのマーク・ルッテ党首の「オランダは誤ったポピュリズム(大衆迎合主義)にノーを突きつけた」は、ポピュリズム/右傾化する政治の大きな流れを一時せきとめたた事実から意義深い勝利宣言であるものの、自由党(PVV)ウィルダース党首の「我々もまた勝者である」という発言は、議席を伸ばしたという意味では事実。PVVの勢いはまだまだ実際のところは止まっていないと見るのが妥当ではないかと思います。

ウィルダ―氏のマニュフェストーイスラム教徒移民の入国禁止、すべてのイスラム教会の閉鎖、欧州連合(EU)の離脱等ーが依然として、オランダやしいてはヨーロッパで注目を集めてトピックスであることは見逃せない。極右が突きつけるそれらは、社会が何らかの形での解決策を探している問題です。

根本的な見直しが期待される移民政策

その一つである、移民政策。ウィルダース党首は、2016年にモロッコ系移民の排斥を訴え有罪判決を受けています。国民はその事実を知りつつも自由党に投票。自由党が高い支持を得た背景には、国民の不満や怒りがあります。国民の怒りの理由の一つは移民政策です。

「移民が町の風景を変えた」という声はところどころから聞かれます。特に大都市ロッテルダムやハーグの外国人居住者数は増加しており、住民の半分が外国籍者といいます。また、移民がイスラム系である場合は、女性のへジャブや男性の民族衣装を着用している姿が目立ちます。
私の生活する地域は、トルコ系移民の地域で一歩外に出ると、オランダというよりはトルコにいるような気分になるのも事実です。先住のオランダ人にとっては変化した風景の一つとなっているようです。実際のモロッコ系住民はオランダの人口比で2パーセントちょっと、そしてトルコ系も2パーセントほど。

移民を問題視する理由は、犯罪率が移民系の子弟に多いと言われること、アムステルダムの路上で起こった映画監督テオ・ファン・ゴッホ監督を刺殺したのはモロッコ系の青年(これを機にモロッコ系の学校などが市民の襲撃の対象となる事件も発生している)、オランダ社会に溶け込んでいない等が挙げられます。

60年代後半製造業に従事する安価な労働力をモロッコやトルコ等から募り、それらの国から人々が移住。80年代の不況で、職を失った労働者と犯罪の相関関係が指摘されています。第一世代は読み書きができない人が多くオランダ社会に溶け込むことに苦労したようです。

現在は、第二、第三世代となり統合が進んでいますが、先住オランダ人と移民の子弟の社会経済的な溝を埋めるには至りません。過去何十年にわたった社会の緩やかな変化を小手先問題解消術では解決することはできず、長期的な視野で見た移民対策、そしてその骨組みとなっているオランダの多文化主義について向き合う時期に来ているのではないかとオランダに生活する外国人として思ってしまいます。


ブログ「オランダ総選挙(1) ‐ 台頭する極右政党自由党(PVV)


参考ウェブサイト
DutchNews.nl: VVD wins 33 seats but coalition partner Labour is hammered http://www.dutchnews.nl/news/archives/2017/03/vvd-wins-33-seats-but-coalition-partner-labour-is-hammered/

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