アメリカ大統領選挙―やっぱり勝ってしまったトランプ氏

「フィリピン人だけじゃなかったんだ・・・」。フィリピン人旦那が開口一番に言ったこと。

ドナルド・トランプ候補が1年にもわたる長い大統領選を選挙人の270以上を獲得し制し、第45代のアメリカ大統領に当選しました。

(c) CNN 2016年アメリカ大統領選挙各州の結果


まさかとは思ったものの、やっぱり勝ってしまったトランプ候補。
フィリピンドゥテルテ大統領、英国のEU脱退、そしてトランプ大統領・・・2016年、まさかと思うことが続いています。




マイケルムーア監督は、クリントン候補を応援しつつもトランプ候補の勝利を予想していました。トランプ候補の大統領当選に対して「笑顔のファシズム」の著者 バートラム・グロスの言葉を引用しteweet。「次の時代のファシズムは、ギュウギュウ詰めの電車や強制収容所という形ではなく、人の良さそうな顔でやってくる」 ファシズムとなるのか?それは分かりませんが、まさか!の候補でしたが、やっぱり大統領となりました。


まさかの大統領候補


いろんないみで、まさかこんな人が候補となるとは・・・

★暴言王

トランプ候補がマスコミの注目を集めたのは、その発言。社会的にタブーとしてきた問題を公共の場で、大統領の候補者として発言しました。「メキシコの不法移民は犯罪者でレイプ犯だ」「イスラム教徒の入国を禁止しろ」「メキシコとの国境沿いに万里の長城を築く、費用はすべてメキシコ持ち」。


★政治、軍人経験なし

ビジネスとくに不動産のプロ。しかし政治の素人。政治家、軍人の経験がありません。フィリピンの大統領ドゥテルテも型破りであり、暴言王ですがフィリピン南部の都市の知事として長く市政を行ってきました。

アメリカは今もなお、最大の軍事国家、そして世界の政治と経済に大きな影響を持つ国。その国の司令官ともなる人物が経験がないことは驚かされます。

やっぱり勝ってしまったトランプ候補

民主党のサンダース候補の票がクリントン候補に流れず、トランプ候補に流れたという話があります。トランプ氏の巧みなマーケット戦術が結果に影響したのではないかと思います。


★マーケット戦術?


暴言(タブー)を吐くことで、アメリカ人の根底にあった不信感、不安感をあおったこと。また、これはフィリピンの選挙を見ていたときに感じたこととも重なるのですが、人々は変化、しかも実感がともなう変化を望んでいるということ。そこをうまく汲み取ったというか、くすぐったと感じました。

経済や社会の動きが数年あるいはもっと短いスパンで大きく個人や企業に影響する世の中、しかし政策としてそれらの変化への対応は必ずしも迅速にはなされません。国民の不満は募ります。そうした不満は、政治を独占する社会の上層へ向けらます。

民主党候補のサンダース氏の支持層がクリントン候補に流れなかったとされる理由は、イエスタブリッシュメント(社会の支配的な階級)を代表するような彼女を支持できないという反応故だったと思います。

しかし、これは大きな皮肉で、トランプ候補は不動産業を営むお金持ちの家に生まれた典型的エスタブリッシュメント層です。これを国民にうまく隠すことができた?のはマーケット的戦術があったからなのでしょう。決してスマートは言えない物言い、暴言に対する批判を受けても平然としている様子など、メディアを通じてうまく国民にその「裏表のなさ」や「タブーを公言する(無謀さ)」をアピールできたと思います。

誰がどの候補に票を投じたのか?

事前の調査や政党の支持母体を考えると、クリントン候補は、マイノリティ(いまやマイノリティとは呼べない数ですが)と言われるヒスパニック系、アフリカ系、トランプ候補は、中間層と白人。

CNNの出口調査によると性別では、男性の53パーセントがトランプ候補を支持し、女性の54パーセントがクリントン候補を支持しました。トランプ候補の女性蔑視発言はさほど影響がなかったとみてよいかと思います。
年齢別にみると、18歳~29歳、30歳~44歳の層はクリントン候補を支持する傾向が見られ、45歳~64歳、65歳~はトランプ候補を支持する傾向が見られました。

終わりだが、始まり

大統領候補が暴言を吐いたことで、差別的な発言に対するハードルが低くなることが心配です。政治経験がなく、「トランプ氏は日本と中国の見分けがつかないような典型的な欧米人」と記事に書いていた人がいましたが、それはともかく外交の知識は乏しいことは明らかでしょう。

しかし、これで何もかもおしまいだー!とはならないでしょう。前述のムーア監督が「終わりでもありはじまりでもある」と言っています。同監督の大ファンではありませんが(笑)、実際そうなのかもしれません。

選挙を通じて国民は意思表示しました。エスタブリッシュメントにNOといい、何を求めるのか。どんな変化を望んでいるのか。今はセレブリティ、とくにクリントン候補を支持していた人たちの声をネット上でよく拾いますが、一般国民は何を感じ、何を期待しているのか。

CNNの事前調査ではトランプ候補が大統領になったら、「期待」よりも「恐れ」が上回っていました。
フィリピンではドゥテルテ大統領が、そしてヨーロッパでは右派政党が占める議席数が増えています。これも世界の歴史の移行期の一幕でしょうか。これをアメリカにとどまらず、世界的な動向から見たらどういう意味を持つのか、これも気になります。

====================================

アメリカ大統領選挙の仕組みのおさらい

★実は直接投票ではない?
国民が選ぶのは、「大統領選挙人」と言われる人たち。各州に配分される大統領選挙人の数は、人口に比例し総数 538人。 この数は、アメリカの国会議員の数と同じです。一番割当の多い州はカリフォルニア州の55人です。

★ブルーステート、レッドステート、スイングステート
伝統的に民主党が強い「ブルーステート」、共和党が強い「レッドステート」。「スイングステート」はswingと文字通り揺れ動く、選挙のたびに勝利政党が変わる激戦州。両陣営は「スイングステート」の獲得に全力を挙げています。

スイングステートの獲得数は以下、フロリダ州(29)、ペンシルベニア州(20)、オハイオ州(18)
ノース・カロライナ州(15)、ヴァージニア州(13)、コロラド州(8)、アイオワ州(6)、ネバダ州(6)。

★勝者独占
一票でも多く得票した候補者が、その州の大統領選挙人をすべて独占できます。上記のカリフォルニア州を例に挙げると、一般選挙の結果、民主党クリントン候補が共和党トランプ候補を上回ったので大統領選挙人55人はすべて民主党候補支持者となります。
そのため、一般投票の得票率と選挙人の獲得数は必ずしも比例しません。そのため、一般投票で第1位とならなかったが、選挙人投票で過半数を獲得して大統領になったケースもあります。

個人に投票していたらクリントン候補が勝っていたことでしょう。

★誰が大統領候補となれるのか
アメリカ大統領候補資格
☑アメリカ生まれ
☑35歳(さい)以上
☑アメリカに14年以上住んだ人

※過去150年大統領は民主党と共和党の2大政党から選ばれている。そのため、大統領候補となるには、民主あるいは共和党に属す必要がある。

参考
CNN
Presidencial result
http://edition.cnn.com/election/results/president

US election: How age, race and education are deciding factors in the race for President
http://www.telegraph.co.uk/news/0/us-election-how-age-race-and-education-are-deciding-factors-in-t/


スポンサーリンク

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿

Subscribe