ナチスはタブーなヨーロッパ、アジアとの温度差―ドゥテルテ大統領の外交の大きな汚点

朝のオランダニュースで、フィリピンドゥテルテ大統領の演説のハイライトが放送され、夫婦ともにぎょっとしました。

“Hitler massacred three million Jews … there’s three million drug addicts. I’d be happy to slaughter them.”

ヒトラーは300万人のユダヤ人を虐殺した・・・300万人の麻薬中毒者がいる。私は、彼らを抹殺できたら幸せである。

メディアは、演説も文脈ではなく、部分を切り取って限られた時間の中で放送、あるいは限られた文字数の中でそれを伝えないといけないのだけれど、“ヒトラー”を比喩に使うこと自体がドゥテルテ大統領の外交音痴ぶりを世間、ヨーロッパにも知らしめることなってしまいました。

スピーチで、彼自身、歴史的人物ヒトラーと結びつけています。「ドイツにはヒトラーがいた。フィリピンには私がいる」と。
タフなところを言いたかったのか・・・

そもそも外交なんて屁とも思っていないのでしょうが、これで多くの国民にフィリピンの大統領は危険な思想を持つ男だと確認させることになり、今後大統領が取る強硬的な政策に対して、ますます国際監視の目を光らせ、何らかの形で介入してくるでしょう。それに足る言い訳を演説によって裏付けてしまいました。

ナチス、ヒトラー、親衛隊、ユーゲント・・・それらは今もヨーロッパでは、タブーです。ドイツと国境を接するオランダでもとても繊細な問題で、公には語りたがりません。

実際、ドイツとオランダの国境のカフェで、話の一部として第二次世界大戦の話となりましたが、はっとした友人、すぐに話題を変えました。また、オランダ語の授業中、先生がホワイトボードにSummer Schoolの略称として、S.Sと書いて、急いで消しました。SSとはドイツ語でSchutzstaffelと書き親衛隊を意味します。

私の住むハーグでは、今年2月イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングがハーグのMercure hotel予約がキャンセルになったことがちょっとしたニュースとなりました。アーヴィングは「ホロコースト」否定論を展開して、オーストリアで逮捕された経緯もあります。

アジアでは鈍い反応
しかし、アジア諸国ではヨーロッパの惨禍については、地理的な制限もあり、どれだけ深刻であるのかを実感を伴って理解をするのが難しいと思います。そして、意図的ではなくても偶然にナチス、ヒトラーなどを連想させてしまうこともただあります。

ヒトラー絵柄のマグカップの販売
ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーの肖像が描かれた切手とかぎ十字の消印がプリントされたマグカップを誤って販売!
販売したのは、ドイツの家具量販チェーン。この家具量販チェーンはバラのイメージがあしらわれたアンティーク風のマグカップを中国の業者から5000個仕入れ販売。
手違いで絵柄が誤ってプリントされてしまい、175個以上を販売した段階で店側が図柄に気づき、マグカップの回収を試みることに。店舗に陳列したときに気がつかなったのには驚きですが、予想だったのかもしれません。20ユーロの商品券と交換すると発表しました。生産する際、受注した方は切手の人物に気がつかなかった!ようです。デザインを作るときにこの人だれだろう?とは考えなかったのか不思議です。

インドネシアのカフェ
インドネシアのソルダテンカフィー(SoldatenKaffee)「兵士のカフェ」はナチスを題材としています。ウェーターもナチスの軍服!開店して2年間はなんらの避難も批判もありませんでした。しかし、全国紙、ジャカルタポストに取り上げられて、全国あるいは全世界的に知られるようになり、批判を浴びることになりました。店長曰く、人種憎悪をあおることが目的で作られたものではなく、軍服のカッコよさなどから、お店のテーマを決めたといいます。
最終的にはこの盛況だったお店も一時的に閉じることにしたとのこと。

冒頭の大統領の発言のマイナスの余波を大統領(+大統領のスピーチライター)はどこまで自覚しているのかわかりませんが、このニュースを観たオランダ市民はフィリピンで起こっている麻薬対策に関心が向いたのではないかと思います。また、折しもシモン・ペレスイスラエル元大統領が28日に亡くなり、喪に服している期間の挑発的な演説に海外からの反響が大きいことは予想されます。

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