オランダ、逆転の発想でチーズ大国に!ーゴーダチーズ、エダムチーズはこうして生まれた

オランダと言えば、風車、チューリップ、そしてチーズが好きには、チーズの国として知られていると思います。オランダのチーズの生産量は年間約9億トン、うち約60%が輸出され、国内のチーズの消費量は約40%ほどです。国民一人当たりのチーズの消費量は、年間約22kgです。(日本では2.2kgと言われているので、日本と比較すると10倍)。
スーパーに行くと、必ずチーズのコーナーがあり、オランダの一般的な家庭には必ずと言ってよいほど、チーズカッターがあるほどです。(チーズカッターの見た目は大きな皮むき器のようなものです)また、昔はチーズプレス機が嫁入り道具の一つとされた時代もあったほどです。

オランダのチーズ
オランダのチーズの話


オランダでチーズが多く生産されるようになった理由

オランダの国土の約4分の1が海抜以下であることは知られています。オランダの西部は海抜が低く、この低地から絶えず水を排出する必要があります。それ故に、オランダは、水車などを利用した灌漑の技術を発展させてきました。
海面下のオランダの農地は肥沃ですが、比較的湿っているため、小麦やトウモロコシなどの作物はうまく育たない。しかし、草は水浸しの農地でもよく育ちます。草は水を大量に消費し、そのおかげで農地が乾燥して固くなるという利点もあります。

そのため、オランダで人気のあるチーズはすべて、土地が低い、オランダの西部で生産されています。西部のポルダー(低湿地の干拓によって造成した土地)が草に覆われ、牛が住んでいるのはそのためです。オランダ西部の農業は、ほとんどが牛のミルク生産に特化しています。このように、オランダ人は低地の湿った農地の条件を最適に利用し、不利な条件を有利な条件に変えたといえます。

牛の数>人口?

牛の数が、オランダの総人口よりも多い!なんて冗談を聞くこともあります!(冗談ですよ~)が、実際のところ牛の数は人口比を考えても多いと思います。オランダ西部では約160万頭の牛がミルクを生産していますがオランダの人口は1,700万人、国土も九州ほどの大きさですので、多いと言えるでしょう(ちなみに日本の牛の数は、786万頭だそうです)。1頭の牛は、年間約7000リットルのミルクを生産します。したがって、オランダの158万頭の牛が1年間に生産するミルクの量は110億リットルという量になります。

1キログラムのチーズを作るには、10リットルの牛乳が必要です。したがって、年間約9億キログラムのチーズを生産するには、約90億リットルの牛乳が必要になります。そのため、オランダで生産される牛乳の大半はチーズの生産に使われていることがわかります。


オランダの代表的チーズーエダムとゴーダ

ゴーダチーズ

その代表がゴーダチーズとエダムチーズです。ゴーダチーズは、オランダで生産されるチーズの約6割を占め、癖がなく、マイルドな味わいのため、いろいろな料理に使用される、チーズの万能選手です。外見は黄色がかった茶色い円盤型です。加熱殺菌した生乳に乳酸菌と凝乳酵素を加え固め、水分が分離した固形分を円形の型に入れ、圧力を加えてさらに水分を抜き塩水に浸け、3ヶ月から6ヶ月ほど熟成させます。チーズのサイズは直径35cm×高さ11cm・重さ約12kgと決められているため、それより小さなもの「ベビーゴーダ」と呼んでいます。中は白から黄色。熟成と共に色が変化します。

ゴーダチーズ
ゴーダチーズ
このチーズはオランダの都市の名前です。ゴーダ(オランダ語の発音は「ハウダ」に近いです)は、アムステルダムから南に約60キロ、人口7.3万人の地方自治体で、チーズ市があることでも知られています。このチーズはオランダから日本に輸入されるチーズの約6割を占めています。

エダムチーズ

エダムチーズは脱脂乳を使用する、脂肪分が低いチーズであり、チーズダニを利用して発酵されたチーズとして知られています。ダニと言っても、体に害はないそうです(汗)。
バターのような濃厚さがありますが、後味は比較的さっぱりした感じで、もったりとしたチーズが苦手という人も楽しめるチーズです。
このエダムチーズは戦後日本に初めて輸入されたチーズであるといわれています。輸入時には、赤色のパラフィンワックスがかけられているため、日本では赤玉とも呼ばれています。空港のお土産店でも見かけます。

チーズカッター
デルフト焼きが施された美しいチーズカッター
しかし、見慣れないとどうしても皮むき機に見えてしまいます。


オランダ最古のチーズ市

チーズの町、ゴーダでは、昔ならではの方法でチーズ市が開催されており、観光客もその様子を見学することができます。オランダのチーズ農家は、自分の作ったチーズを町のマーケットに持って行って売ります。チーズポーターがチームを組み、農家のチーズを160キログラムほどの手押し車に乗せて運びます。買い手はチーズを試食し、売り手と買い手がお互いに手を叩いて価格を叫ぶ「ハンドジェクラップ」と呼ばれる儀式システムを用いて価格交渉を行います。 価格が合意されると、ポーターはチーズを計量所に運び、会社の秤でチーズの重量を測定します。
また、ゴーダ以外にもアムステルダムから北に約50キロのアルクマールでも同様に、チーズ市が開催されております。チーズ市を楽しむと同時に、その周辺に開かれる、青空市も楽しめます。

アムステルダムから北、アルクマールのチーズ市「ハンドジェクラップ」の様子も動画に収められています。
Alkmaar Cheese Market
(c) FunTravel

チーズを使ったオランダの料理

これだけチーズが消費されていますが、チーズを使った料理はそれほど発達せず、スイスのチーズフォンデュ等ような代表となる料理は残念ながらないようです。(オランダでもフォンデュは楽しむのですが・・・)オランダにおけるチーズの一般的な消費の仕方は、サンドイッチに一枚挟む、ワインやビールのおつまみに、オリーブオイルと一緒にいただく、あるいはオランダ人の好きなパンケーキに入れて一緒に焼く(オランダのパンケーキにはおかず的パンケーキがあります)等です。

オランダのチーズを購入したい

日本では、ゴウダチーズを専門に扱うお店があり、オンラインで注文ができるようです。また、オランダに旅行した際にオランダチーズをお土産として持って帰りたいという場合は、オランダ国内に必ずチーズの専門店があるので、そこをのぞいてみるのがいいかもしれません。特にアムステルダムには、数件のチーズ専門店が、観光客がよく訪れる地域に点在しております。
気になるのが検疫です。平成29年11月1日から、これまで動物検疫の対象であった「生乳」に加え、新たに、乳製品が動物検疫の対象となると「動物検疫所」のウェブサイトにあります。販売又は営業上使用することを目的としていないものであって、10kg以下のものは該当しないとあります。ですが、詳細はやはり「動物検疫所」にお問い合わせください。

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