博物館の展示
博物館を一歩入ると大きなテレビスクリーンがあります。下方にあるハンドルを動かすと、画面の時間軸を移動し、デリーが16世紀から現在に至るまでどのような変遷を遂げたのかを視覚的に見ることができます。また、ハンドル横のボタンを押すと、年代ごとに起こった事件が写真とナレーションで説明される仕組みとなっており、インタラクティブに歴史を学ぶことができます。ここで、デリーの街の歴史や成り立ちについて触れます。
展示の中には写真のように、デモ隊に向けた横断幕、兵士が使った武器やヘルメットなども展示されています。少々狭いが、1970年代~当時の様子が見られる映像が上映されています。 ベンチが画面の前に置かれているので、ここで一息。 |
これによって、公民権運動という大きな流れの中に発生したデモ、血の日曜日事件、そして被害者の視点へと、マクロからミクロな視点に移っていきます。被害者個々人の名前とどのように亡くなったのか、一枚のパネルにまとめられています。
博物館の入り口は、トタン素材のような一見粗末な外観で、何やら秘密基地に入っていくような印象すら与えます。
受付と小さなお土産屋さんで、ちょっとした記念品、資料(英語)も購入できます。
2017年4月現在は建物1階部分のみを使用し、2階はワークショップや会議のための部屋、オフィスなどがあるそうですが、資料が充実したら今後は2階部分も開放される可能性もあるのかもしれません。
ブログに掲載したいので写真の撮影の許可をお願いしたら、快諾してくださいました! |
資料 |
感想
幸いなことに、今回は事件の遺族であるジョンさんのお話を短い時間でしたが聞くことができ、当事者の視点からぐっと事件に迫ることができたのではないかと思います。また今後事件の公判(軍関係者の訴追)などのニュースを聞くたびごとに今回の訪問が思いだされるのだろうと思います。これがまさに伝え聞くことのインパクトなのだと思いました。
遺族からの寄贈物やパネルでの説明はとても分かりやすく、今後の展開がとても楽しみです。博物館を訪れることの良さは、間接的にも時代や場所や事件を経験できることです。ネットで検索すればいろんな情報にアクセスできる時代にあって、「経験」の意味はより大きくなるのではないかと思います。一方で、博物館などの施設への挑戦は変る時代のアクチュアルな問題と史実の接点をつなぐか?ということかと思います。
例えば、この博物館では血の日曜日事件やそれにつながる公民権運動などに焦点が当てられていましたが、この地域を出てしまえば事件などは我々訪問者の非日常になってしまいます。ですので、この根幹にある「(ジョンさんが言った)人権問題」など普遍的なテーマを現在自分の地域や世界で起こっていることと博物館の経験とつなげる、そんなリテラシーが訪問者と博物館両方により求められてきているのではと感じました。
事件に正義と和解が訪れた時、我々訪問者を迎えてくれた背景の赤い色は明るい色に塗り替えられるのか、そんなことを思いながら博物館を後にしました。
最後に・・・滞在時間が短かったので、次回訪問時はもっとじっくり展示物が見たいと思いました。
利用案内
開館時間:月~金曜日9:30 - 16.30
土曜日: 13:00 - 16:00 (4月 – 9月)
日曜日: 13:00 - 16:00 (7月 - 9月)
入場料:大人4ポンド(10人以上のグループ3ポンド/1人)
ウェブサイト:http://www.museumoffreederry.org
メール: info@museumoffreederry.org
所在地:Museum of Free Derry,55 Glenfada Park, Bogside, Derry, BT48 9DR
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