[北アイルランド] 巨人伝説とジャイアンツコーズウェイ

ジャイアンツ・コーズウェイ、6千年前の火山活動で生まれた4万もの柱状の玄武岩が織りなす独特の地形、その背景の大海原からの白波のコントラスが美しく訪問者を魅了します。

ジャイアンツ・コーズウェイは、北アイルランド、アントリム州ブッシュミルズ(ベルファストから80キロの位置)の2キロにわたる海岸線にある、石柱の地形です。世界遺産に「ジャイアンツ・コーズウェーとコーズウェー海岸」として1986年に登録されました。海岸は約80種類の鳥も確認される、貴重な動植物の宝庫(UNESCO)。


巨人伝説
アイルランドの巨人とフィン・マクール、その妻ウーナ、スコットランドの巨人アンガスのお話。巨人フィン・マクールは、自らの大きさと強さを自負しておりました。ある日、対岸のスコットランドの巨人とどちらが大きく、そして強いのかを言い争うようになり、対峙することになりました。

フィンはアイルランドから、アンガスはスコットランド側から海に石を投げいれながら道をつくり、お互いの距離を縮めていきます。徐々にアンガスの姿が見え始め、フィンはアンガスが大きく、力が強いことに気が付き、家に逃げ帰ります。家に逃げ帰り、妻のウーナに全てを説明します。

フィン・マクールが逃げるときに脱げてしまった靴



そこでウーナはフィンに提案します。フィンに赤ちゃんのふりをしてローブを着せ、ベットに横にさせます。それから間もなくしてアンガスが、フィンの家をノックします。妻のウーナは、アンガスを招き入れます。

アンガスはフィンの扮する赤ちゃんの大きさを見てびっくり。フィンの赤ちゃんがこれほど大きいのであれば、フィンはどれほど大きな巨人であろうか!しかし、アンガスは考え、ウーナに言います。フィンはそれほど強くないのではないか?するとオーナは、アンガスに家を持ち上げて、回転させてほしいとお願いします。これは、フィンがいつもやっていることと、付け加えます。

アンガスはやっとのことで家を回転させますが、もうへとへと。妻ウーナはその労をねぎらうかのように焼き立てのケーキを振る舞いますが、ケーキの中に入っている石がアンガスの歯を砕きました。悲鳴を上げるアンガス。しかし、そのケーキをおいしそうに食べるフィン扮する赤ちゃんに驚きます。もちろん、ウーナは石のある部分を食べさせないように細心の注意を払います。

これを見てアンガスは、フィンとは大きく、強い巨人であるのかを想像し、怖くなりスコットランドに逃げ帰ります。

いろんな話のパターンがあるようですが、これがジャイアンツコーズウェイにまつわる民話の大筋です。
こうした民話の面白いところは、大きくて強いものが必ず勝つわけではないこと、力に対して知恵で抗することが重要であること、同族(同じ巨人)が外の世界からやってくるということなどが盛り込まれています。


Wowなポイント

1) 絶景
ジャイアンツコーズウェイ入り口

インフォメーションセンターから下っていくと、左手に切り立った崖に大海から波が打ちつけられ、白く崖下に広がっている様子が遠目からも見えます。むき出した岩、垂れこめる雲、その合間に見える青空がとてもドラマチックでした。

近くでみると、無造作に作られた階段のよう

上からみると・・・同じ形をしていませんが、6角形のような形が多く、ハチの巣のよう
ジャイアンツコーズウェイ
岩場を昇り降り。波で濡れているところは要注意。


海岸線を見下ろせる丘に登ることができます。

崖を見て、ぞくぞくしてしまいました。火曜サスペンスで、なぜか容疑者が崖で自分の罪を告白したくなる気持ちが少しだけ分かる気がしました。崖を見るとどうしても火曜サスペンスの俳優の船越英一郎さんを思い出してしまう私。



2)音声ガイド機がある
音声ガイド機
ガイドの機械があり、人間のガイドがおらずとも、観光地各所の重要なポイントを教えてくれるありがたいガイド機。これを聞きながら自分のペースで観光を楽しむことができます。そしてこの機械ガイドが各言語に対応しており、日本語も選択できました。ヨーロッパで日本語のガイドが聞けるとは!!

音声ガイド機の使い方はシンプル。敷地内を歩くとその都度、番号が記された柱が立ってます。その柱にある番号に対応する、画面に表示された番号を押すと男性の声で説明が流れます。音声を聞きながら歩くため、著者はまったく一人の世界に没頭してしまいました。
シンプルとは言うものの、使い方に困っている人もいました(汗)。おススメの利用法は、行きにガイドを聴いて、帰りは静かに歩いて帰ること。


3)バスでの移動も可能

公園の敷地内はバス(有料)が通っています。インフォメーションセンターから10分毎にでるバスは、海岸線沿いに走り、5分でコーズウェイのベストポイントに運んでくれます。

ジャイアンツコーズウェイ、公園の海岸線を走るバス

下り坂が続く行きを歩いて、帰りにバスを利用するという人が多いようで、インフォメーションセンターに戻るバスは満員でした。


事故もありましたので注意が必要
過去には負傷あるは死亡する事故がありました。今年に入り、バク宙をした若者が着地時にうちどころが悪く、亡くなりましたが。また数年前、幼い兄弟が波にさらわれ、一人は助け出されたものの、4歳の弟は亡くなりました。奇怪な地形と大きな自然でアクティブな子どもたちははしゃぐこと間違いなし。子連れでの観光では、自然を満喫しながらも、安全面で是非ご注意を。

北アイルランドに来たら絶対行くべき場所。今回は団体のツアーで来たために限られた時間で過ごすことになり、最後は気がつくと走って周っていました。美しく厳しい自然に圧倒され、時間配分のミスしてしまいました(笑)。次回はもっとゆっくり回りたいです。


料金

大人 £10.50
子ども  £5.25
家族 £26.25
グループ(15人以上)
大人 £7.60
子ども £3.80

大人:£9.00
子ども: £4.50
家族: £22.50*

ウェブサイト:http://giantscausewaytickets.com
メール:giantscauseway@nationaltrust.org.uk


アイルランドの競走馬に名馬と謳われたジャイアントコーズウェイという現役を退いた馬がいます。奇しくも、ベルファストに到着した2017年4月8日はグランドナショナルと言われる世界一過酷と言われるレースがあったとき。芝・ダートを問わず活躍し、連戦にも耐え「アイアンホース」との異名を残した名馬であるジャイアント・コーズウェイはこの地名からきたのでしょう。

Irish Times.(2002).
Freak wave sweeps children into sea at Giant's Causeway.
http://www.irishtimes.com/news/freak-wave-sweeps-children-into-sea-at-giant-s-causeway-1.1092253

UNESCO. Giant's Causeway and Causeway Coast
http://whc.unesco.org/en/list/369

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