聖週間/受難週の食事ー肉料理を控えるフィリピンの聖週間

聖週間/受難週は、どの宗派を問わず、食事を控える、あるいは肉や動物由来の食事を断つ、食事自体を控えるなどの習慣があります。フィリピンでも、灰の水曜日とイエスが十字架にかかったとされる金曜日は、肉料理を食卓に並べないということも行われております。

なぜ食事を控えるあるいは、肉料理を食べないのか

フィリピンでは肉を断つことをことさら言われますが、「断食」という意味合いに近いようです。「断食」も完全に食を断つのではなくて、十分な食事を控えることで、キリストの受難を追体験するという意味があります。

大斎(だいさい)・小斎(しょうさい)

カトリックでは、「大斎・小斎」と言われる、習わしがあります。カトリック中央協議会のウェブサイトの説明によると・・・
大斎とは「1日に1回だけの十分な食事とそのほかに朝ともう1回わずかな食事をとることができ、満18歳以上満60歳未満の信者が守ります」
小斎とは、「肉類を食べないことですが、各自の判断で償いの他の形式、とくに愛徳のわざ、信心業、節制のわざの実行をもって代えることができ、満14歳以上の信者が守ります。
(大斎も小斎も、病気や妊娠などの理由がある人は免除されます)」
大斎と小斎を守る日は灰の水曜日と聖金曜日、小斎を守る日は祭日を除く毎金曜日です。

フィリピンで実際どれぐらいの人が大斎(だいさい)・小斎(しょうさい)を行っているのか?

実数はわかりませんが、カトリック信徒のフィリピン人の家庭では、肉料理を避けて、魚料理となることが多いように思います。教会に通う人の実数が減ったといわれる昨今のフィリピンですが、実際には、まだ多くの家庭では、これらの宗教的習わしが続けられています。

フィリピン料理は肉を使う料理ばかりではありません。野菜料理、魚料理もあります。ただ、豚肉・鶏肉が使われる料理が多く、豚肉・鶏肉がない食事は物足りない!と考える人がフィリピン人の夫を含めて多いことから、肉を断つということへのインパクトは私が思う以上に大きいようです。

フィリピンにはない謝肉祭(カーニバル)

ヨーロッパの国等では、灰の水曜日の前に「カーニバル(謝肉祭)」というお祭りがあります。仮装したパレードが行なわれたり、菓子や花を投げる行事などが行なわれているのは知られています。古代から信者たちはこの期間に肉食を断っていたため、その前にごちそうを食べて、騒いでいたといわれ、それらの風習がお祭りとなりました。

オランダの謝肉祭の様子
オランダ・ナイメーヘンの謝肉祭(カーニバル)の様子

キリスト教が根づく、ヨーロッパの国で、謝肉祭のパレードはよく見られますが、フィリピンでは謝肉祭なるものはありません。謝肉祭自体は、宗教的な意味あいが薄いこと、また、もともと肉が高価であったため、毎日食する食材ではなかったことも理由なのではないかと推測します。

実際何が食卓に並ぶのか?

前述の通り、肉料理のすべてがフィリピン料理ではないことから、食べ物の選択肢が全くなくなるということはありません。夫の実家に生活していた時は、魚のスープ、魚の煮込みなどが食卓に並びます。しかし、食べる量が減ったかというとそんなことはありませんでした。しっかり、1日3回食事を準備していたように思います。

夫と二人のみの生活となった時には、やはり、魚料理、卵料理、あるいは野菜のみの料理。特に、フィリピンでもよく食したモンゴ(緑豆)スープ等は、聖週間の定番です。いろいろとどうしようかなぁと考えるのですが、「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな(マタイ6章25節)」ということで、本来、この聖週間、食べることに思い煩うべきではないのですがね、今週も聖週間のレシピに悩むのでした。

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