フィリピンでの驚きの儀式!イエス・キリストの受難を追体験する実際に行われている十字架刑

イエス・キリストが十字架に架けられた週は聖週間あるいは受難週とし多くのキリスト教徒は祈りを捧げ、娯楽を控えるなどして、キリストの受難を想います。フィリピンは国民の80%以上がカトリックという国柄、その傾向が顕著であり、中にはカトリック教会が公式には認めていない「宗教的」な儀式があります。それは、信者によるイエスキリストの「十字架刑」の追体験です。
カトリック教会の内部
カトリック教会の内部


有名なこの儀式は、マニラから北へ約100キロのパンパンガ州で行われています。志願した人の中からふさわしい人物を選び、彼らをイエス・キリストが辿ったように(自ら)鞭打ち、最後には十字架に磔にするという仰天な儀式ですが、すでに同地において数十年の間行われている儀式であり、Youtubeなどで「Crucifixion rites,Philippines」などとすると、いくつかの動画を検索することができます。

誰が志願するのか?

基本的には誰でも志願することは可能らしいものの、信仰的な理由で行われるため、カトリック教徒であり、かつ男性であることが条件。家族の誰かが重篤な病気で、祈った後に奇跡的に助かったという場合等が参加の動機となっています。過去30年にわたり参加している、地元の男性は、過去30年にわたってこの儀式に参加しているのですが、建設現場で働いている際に事故に遭うものの奇跡的に助かった経験があり、その後神様への感謝としてこの儀式に参加するようになったとインタビューで答えています。

時に、興味本位で志願するものの居るらしいのですが、その動機から最終的には儀式に参加出来なかったということが過去に何度かありました。

自ら実際に鞭打ち、十字架に杭打たれる志願者

イエス・キリストはローマ兵によって鞭打たれましたが、この儀式に参加する志願者は自ら鞭打ちます。ローマ兵として鞭打つ役割の志願者を募ったら誰か参加するのか興味深いところですが、鞭打ちは見ているだけでも痛そうで、これは悪意を持ってしかできないのではないかと思うほどです。そのため、鞭打ちは十字架に架けられる志願者自らが行うこととなっています。一方、鞭打ちだけでは血が出ないため、鋭利なもので背中に傷をつけるなどします。そして、実際に十字架に杭打たれます。映画「パッション(メル・ギブソン監督)」を観ると、イメージが湧くのではないかと思います。毎年この儀式は国内外のフィリピンの一般的なニュースメディアでも幾度となく取り上げられ、その手に杭を打ち付ける姿が報道されていますが、痛そうで見ていてつらくなります。

一般の反応、教会の反応

家族の誰かが、病気から奇跡的に回復した、助かった等の経験があり、神様への深い感謝の気持ち、深い信仰の表れとしての参加が動機であるため、公に非難するという者はいませんが、一方で方法を疑問に思う人も居るようです。また、この時期にフィリピンを訪れる人たちの「観光」ともなっています。

カトリック教会はこのような儀式を公式的には認めておりません。狂信的な信仰表現として避けられる傾向があり、またカトリックが国・地域に同化される形であるフォーク・カトリシズムであるとも言います。フォークカトリシズムには、様々な形態があり、時に正統的なカトリックの教義と矛盾するようなものも散見されるもの、矛盾しないものもあります。

しかし、このような事例は世界各国、色々な場所で散見されます。フィリピンでは、例えば、とある村のカトリック教会のチャペルには「腐らない」赤ん坊のご遺体が祭壇に祀られていたりします。防腐処理をしてない遺体が、腐らないというのは「奇跡である!」として、祀っているわけですが、もちろん、その教区を管轄するカトリック教会は、このような信仰を認めていないため、反対。しかし、住民の意思が強く、結局ご遺体は撤去されぬままだったりします。

儀式について思う所

志願者は信仰表現として行われているものの、結局のところ「見世物」となっている感は否めません。もちろん、多くの「信者」に見せることを通じて訴える宗教的なメッセージがあると思いますが、見世物として見に来る観光客に対しては、キリスト教的な意味合いは薄れるのではないかとも思わます。信仰の表現として、否定されるべきではないと思いますが、見るには辛いこの儀式、一体いつまで続くのか、気になるところです。

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