高すぎる!オランダ物件ー市井の人々はどのように生活しているのか?

ヨーロッパ、生活に関する全ての物価が高いわけではありません。給与に占める家賃が高いため、総じて生活費が高くなります。著者の生活していたオランダなどは、その典型で、家さがしには少々苦労しました。
デルフト、オランダの運河
運河のある風景が美しいデルフト
著者お気に入りの町です

どれぐらい高いのか?

オランダの都市で最も高いと言われるアムステルダムでは、1㎡の単価が21ユーロ(2,500円)と言われています。もちろん、ロンドンの30ユーロ(3,600円)、パリの25ユーロ(3,000円)と比較するとマシに思えるのですが、ローマ、ウィーンの14ユーロ、マドリードやベルリンの11ユーロと比較するとその高さがわかると思います。

借家では60㎡ほどの一軒家で2,000ユーロ(24万円)という物件もアムステルダム等の都市ではあり得ます。学生などは、家一件を何人かの友人とシェアするという場合がありますが、3人で一軒家を借りた場合、一人あたり600ユーロの家賃、光熱費の負担と合わせての月々の生活費はかなりのものです。学生や単身の社会人の場合、部屋のみを借りるという手もありますが、部屋だけでも500ユーロ(6万円)から600ユーロ(7万2千円)はします。

家賃の高さを実感する

著者が生活していたのはアムステルダムではなく、ハーグでしたが、ハーグも人口がアムステルダム、ロッテルダムに次いで多い都市であり、家賃は年々上昇しています。

以前に生活していたアパートは、光熱費込、家具付きで約18㎡で750ユーロでした。このアパートは町の中心から約3キロ離れた、あまり白人系オランダ人が生活しない地域(不動産としての価値が高くない場所)※でしたが、それでもこの値段です。もちろん、ヤングプロフェッショナル用(一人住まい用)の不動産ですが、実は税金が高いオランダで手取りが少ない若い世代にとって、この額はかなり大きな負担となります。



現状はどうなっているの?

家賃として月々支払うよりも、家を持ちたいという人は多いのですが、需要に対しての供給はそれほど多くはなく、かなり難しい状況です。まず不動産サイトを確認して、気に入った物件を有する不動産会社に連絡するものの、すでに売り切れているということもただあります。そのため、どうしても不動産を購入したいという場合は、更に不動産との仲介を担う会社に仲介となってもらい、そこを通じて不動産会社と交渉するのですが、その手数料は10,000ユーロ(120万円)以上です。

また売り手市場となっているオランダの不動産では、単なる家屋の見学を有料にする不動産会社もただあります。また、言い値に対して10,000ユーロ(120万円)以上多く支払うこともただあります。つまり、200万円から300万円は余裕をみて購入しないといけないということになります。経済的には中流以上でなければ、持ち家を(特にアムステルダムのような土地で)持つことは夢のまた夢となります。そのため、家を探して数年という人もいます。

理由は、色々ありますが、EUからの英国離脱の影響で企業がオランダに移動すると同時に、社員寮としてかなりの物件を借り切ってしまうということや、某国の方々が投資用の物件としてオランダで家を購入するなどの理由があります。著者が旦那と家を見学に行った時に、その某国からの移民が家族連れで家を見学していました。不動産の担当者曰く、近年増えたとのこと。また、彼らは値段を高く積んでも家を購入したいという意思があるということでした。どうりで値段が釣り上がるわけです。

手立てはないのか?

ひとまずの借家を探すために、不動産のサイトに登録するという手段もあります。有料ですが、条件にあった物件を紹介してくれます。しかし、それでも高すぎる家賃がネックになって、借りることが出来ないということもただあります。

近年はソーシャルメディアのグループで借家の情報交換も行われています。特に学生たちは、部屋の空き情報をこのように探しています。しかし、ひと部屋レンタルのみでもそれほど安くはありません。

そこで空きビル、空き家などに安く住むという人もいます。オランダでは、空き家や空きビルの不法占拠は違法です。犯罪グループがそのような場所を根城にすることを恐れてのことですが、6か月以上空きがある建物は、オーナーと地元政府でその用途を相談し、利用方法を模索する間、空きビルを利用するテナントを探します。これが「antikraak(反不法占拠)」というもので、建物のテナントは一人あたり100ユーロから300ユーロの家賃で生活することができます。

このような事情がある中で、ソーシャル・ハウジング(低所得者を対象とした、政府や公的機関の住宅制度)率はヨーロッパ一高いと言われ、其の率は30%。知り合いの女性は、年金受給者ですが、持ち家がないため政府からのサポートを得て、アパートを月500ユーロ程を支払い借りていました。アパートは、著者夫婦がその当時生活していたアパートの倍以上の広さはある、シンプルですがきれいな場所で、レンタルでおそらく800ユーロほどの市場価値はありそうです。

ヨーロッパでの暮らし、稼ぎが少ないと、給与の殆どが家賃に消えてしまいます。楽ではありません。残念なことにこの傾向は強まるのではないかと思われます。

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