「のりこ」が「ノラ」に?海外における日本人の名前

外国人(中国人などの漢字がわかる人を除いて)は日本人の名前を音やローマ字の綴りで理解するのですが、とある国の国民によっては奇妙に聞こえたり、別の意味を持ったりします。その異なる意味や海外での受け止められ方を知ることは、異なる文化を知る入り口として楽しいものです。
ジョージア語のアルファベット
ジョージア語のアルファベット

外国人にとって別の意味で捉えられる名前

特に英語圏では一例として、あい、ゆう、まい、ゆうだい、まいこ等、海外では別の意味で捉えられやすい名前でしょう。「あい」は「I」、「ゆう」は「You」、「ゆうだい」は「You Die」(!)、「まいこ」は「Michel」の愛称として聞こえます。漢字で綴ると多様な意味合いを持つそれらの名前は、発音だけに限られると少々奇妙なことになります。

私が少々長く滞在していたフィリピンでは、koが所有格である「私の〜」という意味をもつので、日本的な女子の名前○○子という名前は、その○○の部分がフィリピン語として成立する場合、私の○○という意味になります。

そのうちの一つが「たえこ」という名前です。フィリピン語の「たえ」は「う○こ」という意味であるため「たえこ」で「わたしのう○こ」になります。もちろん、発音は「え」を強く発音するので、日本語的に発音する限りにおいては、名前として理解してくれますが、悪ふざけが好きなフィリピン人の友人がいる場合、名前の故にからかわれること必須です。また、日本の名字で多い「いとう」はローマ字でITO、フィリピン語では「This」の意味になります。

アルーバのパピアメント語(スペイン語やポルトガル語の影響が大きい言語)では、「まりこ」がゲイという意味になるようです。ラテン語圏では「O」で終わる「まりこ(MARIKO)」、「たえこ(TAEKO)」などは男性の名前として理解されることが多いです。「A」で終わるような「りか(RIKA)」、「みさ(Misa)」は女性の名前と理解されます。著者の名前は「O」で終わるため、一度も会ったことがない人にメールを出すと、先方は著者を男性と思い「Mr.○○」とメールの見出しに書いて送ってきます。


海外にもあり日本にもある名前

親が子どもを名付ける際、海外でも通用する名前を考えると言われますが、海外と日本で聞かれる名前の一例として、なおみ、さら、けん、はな、まり(あ)、けい、エマ、れな等が挙げられます。それらの名前の発音はもちろん、日本語のものとは異なりますが、ローマ字で綴るとだいたいは同じです。
キリスト教が深く浸透する社会では、それらの名前の多くは聖書に出てくる登場人物の名前に由来しています。例えば「なおみ」は、とても日本的で著者の世代にも多い名前ですが、旧約聖書に出てくる人物の名前です(しかし発音は「ネィオミ」となります(汗))。「はな」は正確には「ハンナ」、「さら」、「まり(あ)」もやはり聖書の登場人物の名前です。

「れな」は「Rena」と綴るひともいれば「Lena」というケースがありますが、各言語で様々な意味があるようです。「エマ」は2017年アメリカとカナダで親が子どもに名付けた名前のトップを飾りました。バービー人形の彼氏の名前も「けん」でした。

ちなみに聖書の登場人物に由来する名前の例としてDAVID(ディヴィット)、天使MICHEL(ミカエルあるいはマイケル)、ELISABETH (エリザベス)、RACHEL(レイチェル/ラケル)、等がよく聞かれます。しかし、聖書の中もひときわ有名な十戒の「モーセ」や「イエス」と名付ける親はあまりいないようで、実際著者の友人の中でもいませんでした。親も自分の子どもをそのように呼ぶのは恐れ多いというブログを読んだことがありますが、納得です。

海外的なニックネームをつける

日本人の名前の中でも上記の理由で、その国の言葉に訳すと何か意味がある、発音しずらい場合などは、ニックネームをつけられたり、また自ら進んで外国名を名乗る場合があります。名前を覚えてもらうというのはコミュニケーションをとるうえで大切なので、特に海外で長期に生活する場合は、ニックネームがあることの利点は大きいと思います。

ニックネームのパターンは名前の一部に由来するケースが多いようです。例えば、「HIROMICHI」が「HIRO」となったり、「JUNICHI」が「JUN」、「MASATAKA」が「MASA」、「SAEKO」が「SALLY」となったりします。時に、好きなように名乗るということもあるのだとか。

実際、私の名前「NORIKO」はたったの3音にもかかわらず、ゆっくり発音しないと大抵の場合「?」という反応です。あるいは、やたら「R」の発音が強くて、極端な場合「のるぃこ」と発音されます。ちょっと恥ずかしいので、NORIKOだけど○○と呼んでくれ!といういうふうに自己紹介することもあります。ただ、呼んでくれ!とお願いしても、それらは大概自分がつけたものではありません。

これまで海外で友人たちによって与えられたニックネーム

過去10年、数カ国で生活をしていますが、各国で様々な名前・ニックネームをつけられ、その国の人が呼びやすいように著者のニックネームが各国仕様となっています。親から頂いた名前、その名前の意味とともに大切にしたいと思いつつ、その国の人が著者の名前を呼びづらいのであれば仕方がない!と各国仕様の名前/ニックネームを利用しています。

フィリピンでは、ラテン語の影響が強く、著者の名前NORIKOでは男性に間違えられるためRICAとなりました。「NORIKO」の「RIKO」を取り、「O」から「A」に変換し、「K」を「C」として「RICA」です。フィリピンでは多くの人が著者をRICAと呼びます。それを知った日本の友人も若干面白がって「りかちゃん」と呼んでくれます。

しかしコスタリカでは、「RICA」は金持ちあるいはセクシーという意味を持つため、一部の地元の友人には「ソフィー」と一時期呼ばれていました。本人としては、誰のこと?って思いましたが・・・名前の漢字の意味を説明し、それが「知性」を連想させる言葉であることからそのような名前を与えられました。また時にNORIKOの綴りを半分にしてNOR(ノア)と呼ばれたりしましたが、この名前は嫌いじゃないのに、あまりにも西洋人ぽかったのか、呼んでくれる人は少なかったです。

現在滞在しているジョージアでは面白いことに「NORIKO」は「NORIKO」のままです。ジョージアでは、名前の最後を「IKO」あるいは名前の最後「KO」に置き換えることで愛称となります。例えば「MARI」は「MARIKO」、「RUSUDAN」が「RUSIKO」となります。なのでNORIKOはすでにIKOが含まれており、本名が愛称ともなっています。

しかし、「NORIKO」は「NORA」という名前の愛称となっているため、日本人の名前に詳しくないジョージア人の友人の一部は著者の本名が「NORA」であると信じています。面倒なので、否定せず「NORA」で過ごすことにした今日この頃ですが日本語でNORAは「野良」を連想させるのでなんとも不思議な感覚がします。

ジョージアのアルファベットで書かれた名前
ジョージアのアルファベットで書かれた名前

ここでは述べませんでしたが各国の名前事情もかなり興味深く、国と文化、そしてその名前をつける親や親族等の社会・文化的なものが反映されていると改めて思うのでした。
日本のキラキラネームの人たちはさて、どうなるのだろうか?と気になります。

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