[ハーグ観光]ハーグの辿った歴史、ハーグ歴史博物館(Haags Historisch Museum) 貧困との闘い~多文化社会のショーケース

貧困との闘い

2階に上がると、17世紀に徐々に広がりだす貧富の差に展示物はフォーカスします。オランダ、そしてこのハーグはどのように貧困をとらえ、対処し今に至っているのか。個人的にこの博物館で一番興味深い展示だと思いました。

その当時、物乞いは生活環境における危険因子と見られ、監視され、体罰も受けていました。同時に教会や慈善家の庇護の対象ともされていました。

博物館の一室は、半分がお金持ちの人の暮らしに焦点を当て、その残り半分で貧しい人の暮らしと対比させています。どのような家に生活し、何で生計を立て、どのような洋服を着ていたのか。そして、お金持ちと貧しい人の間に接点があったのか。

ハーグ歴史博物館(Haags Historisch Museum)展示物
貧困との闘い
画面右側が貧しい人たちの暮らしを、画面左側が裕福な人の暮らしを展示しています。

ハーグ歴史博物館(Haags Historisch Museum)展示物
オランダ人の衣服

ハーグ歴史博物館(Haags Historisch Museum)展示物
富裕層の衣服


多くのハーグ市民の生活ぶりは悲惨で17平方メートルの家に家族が生活し、衛生状況はよくなく、トイレは各家庭にはないため近所の数家庭で共有していました。働いて得られる収入はわずかなもので、生活に必要なものにも事を欠く状況でした。


当時の宗教的な視点から、貧しくあることは「神の意志」とされていました。しかし、貧困は社会問題であり、これは改善されるべきと考え方も徐々に変化し、道端での物乞い、慈善家や教会に頼るのではなく、貧困者を訓練し自ら生活を支えられるように援助するという方法に変わります。また、オランダ政府は貧困対策として数々の法律の施行し、現代に至るまで対応してきました。

多文化社会のショーケース

最上階は特別展示として、現代のハーグ市にスポットライトが当てられています。
ハーグは、人口比からいっても多文化社会のショーケース。外国人あるいは外国に起源をもつ市民が人口の半分を占めています。彼らはオランダ国籍を有し(2重国籍者も含め)、オランダ語を話し、オランダ国民として生活しており、コスモポリタンな街です。


もちろん、多民族社会であるが故の分断もあります。各国出身者で構成される社会に留まるということもただあります。実際私の近所は、トルコ化あるいはモロッコ化しており、白人系オランダ人の姿をあまり見ることはありません。話される言葉もトルコ語など、基本的に外国語です。

オランダ人は基本的に移民に寛容ですが、増える移民にオランダのアイデンティティの危機を見るという人もいるようです。しかしながら、この社会は現在のところ機能しており、この社会の在り方を見ることで、今後多国籍化していく世界の大都市の趨勢をみるように思います。


最後に

ハーグ歴史博物館は、ハーグを中心とした展示物なので、ハーグ市民が見るとより楽しめます。例えば、地図があれば実際の居住地がかつて海の下にあった、あるいは何年代に居住地域となったのか等々を知ることができ、街の歴史がぐっと身近なものに感じます。

しかし、ハーグ市民でなくともヨーロッパの一つの中心都市がどのような歴史的背景を持ち、発展してきたのかをヨーロッパ史の流れの中で見ると楽しめると思います。

ハーグ歴史博物館
ウェブサイト:https://www.haagshistorischmuseum.nl
所在地:Haags Historisch Museum, Korte Vijverberg 7, 2513 AB Den Haag
開館日:月曜日:休館日
火曜日~金曜日:10:00-17:00
土曜日、日曜日:12:00-17:00
入場料:大人:10,00ユーロ
子ども(6-17歳) 2,75ユーロ
CJP/Cultural Pass 5,00ユーロ
子ども(6歳以下)、Stork Card/Rotterdam Pass, Museum Card/ICOM/Rembrandt Society: 無料
大人(最低人数10名):6,00ユーロ

建物は1636年に市民兵の詰所のある場所に建てられました。18世紀の市民兵の解散に伴い、建物はホテルになり、裁判所になり、最終的に1986年に博物館となりました。博物館は1階から3階建に展示があり、地下に飲食場所があり、大きすぎないサイズでじっくり鑑賞し、おそらく2時間半ぐらいで回れる博物館だと思います。
*ハンドバック以上の大きさのものは地下にあるロッカー(無料です)に預けます。

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