安定か、リスクか?

 こちらに来て学生たちとよく話します。日々の何気ない話がメインですが、時に将来の職業について話が及びます。そこで、彼らが口にするにはやはり「安定した生活」か「リスクはあるけど自分の好きなことをするか」です。

 友人Aちゃん、ポーランド出身で物理学を専攻、このまま行くと修士へ進み、その後は確実に研究職につくようです。理系ということもあり、のちのちは仕事に困らない、そして収入も比較的よい仕事に就けるということです。しかし、彼女の悩みは、「約束された安定」の道では自分自身を見出すことはできないといいます。では、何がしたいのか?ダンスがしたいというのです。ダンスで生計を立てていかれたらどれほど良いだろうかと・・・プロのダンサーになりたいというのではないそうです。恐らく教えながら、自分自身もパフォーマンスしていくというイメージがあるようです。

 どれほど彼女が安定した生活を送ることを重要視しているかはわかりませんが、ポーランドの友人曰く、ヨーロッパ西部と比較すると、経済の成長率は高いものの、専門性を生かした職を探すのは難しいといいます。なので、専門にあった安定した職に就くことができる可能性が極めて高いというのは、「好きなことをして生きる」ということと天秤にかけても重たいそうです。こういう悩みをしばしば聞きます。ありがちですが以下のような考え方になるように思います。

1. 夢は完全に諦める。
 収入のみこめる安定した職に就き、ダンスは趣味活動として、とどめるあるいは未練が残るのでやめてしまう。しかしこれで彼女は満足するのでしょうか。

2. 夢にフォーカス
完全に安定した収入源を確保するというのは難しい訳ではありませんが、ある年月が必要です。冗談で、お金持ちの人と結婚したら好きなことに打ち込めるかも、と言っていましたが、蓄えがありそれを期限を決めて投資できるのであればありなのではないかと思います。

3. 両立する
収入の安定している職をパートタイムとしながら、一日の半分は好きなダンスに当てる。優雅な生活とはならないものの、生活を維持していける収入を得ることができます。そして、好きなことをしていけます。

4. 両立、シフト
安定した職で収入を得ながら、最終的にはダンスで生計を立てる方向にシフトしていく。一番現実的で、夢に妥協せずしかし一方で生活の安定を完全に犠牲にすることはないように思います。勿論、シフトした後に成功するかは未知数ですが。

 悩ましい選択ですが、何か情熱をもって打ち込めることを見つけた彼女は、そうではない場合と比べて恐らく幸せなのかもしれません。私の周りにはこうしたジレンマを抱えた人が多く、そして彼らは決まって難しい道、リスクが高い方を選びます。夢を諦めず、その道へ進み軌道に乗りつつある人、あるいは難しくてかつて大きな企業で年金も社会保障も充実していた状況を捨てたことを惜しく思っている人などにも出会いました。
 70、あるいは80数歳まで生きたとして、人生の最後の日、何に満足し喜ぶか、想像してみたときに、情熱を持って取り組めるものがあるのであれば、そちらに進むべきではないかと、無責任にも思ったりします。夢を追うこと=生活が難しくなる・・・、というわけでもなく、あるいは仕事もやりながら“天職”と見出すかもしれないけど、これまで見てきたケースをいえば、専門性が異なった夢を見出して、その道にシフトしていくときには、彼らは一定期間は恐らく安定した生活をGive UPしていたように思います。。。一生かけてやり遂げたい何か、ありますか?




スポンサーリンク

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿

Subscribe