大学と言う名の小社会に生きて―フィリピンの大学生とのやりとり

3月19日の土曜日、真夏日の中(フィリピンで一番暑い時期は3月~5月で、夏休みもこの時期です。)、大学の卒業式が挙行されました。1,000名ほどの学生が、卒業証書を胸に社会へと飛び立っていきました。

著者もこれでようやく2学期目を終えることができ、一息しているところですが、この2学期は猛烈に忙しく、またいろんなことを観察できたいい機会でした。

アテネオデナガ校の卒業式



フィリピン(の地方)大学のシステム

自転車通勤をしていた著者
大学正面口で撮影
まずは、フィリピンの大学のシステムのおさらい。一教科3時間の授業時間数。それを満たすため、週2~3回の授業。一科目は4ヶ月で終了。日本のように前期と後期でワンセットではありません。

この4カ月の間に試験が4回あります。更にクイズ、提出物、発表など、こちらの学生はものすごく忙しい。個人的に、高等教育の詰め込みの意味が分からないが、学費の納入という観点からすると、効率的なのである。なぜなら、単位を満たせば3月を待たず卒業ができるからです。

それだけ評価すべきことが多いと、教員も大忙しです。教員視点で言うと、教員は最低18時間教壇に立って教える時間を持たないと行けません。これがフルタイムの教員の条件。
これは大学のよって異なり、ある大学では12時間、ある大学では21時間である。ちなみに著者は今学期は27時間、登録学生数370名の学生を受け持つこととなった。まず、この時点でかなりやばいと思ったのですが、後の祭りでした。また、これだけ学生数が多いと大変な学生も含まれています。

学生と成績

とある学部の学生は成績を一定に保たないといけません。もし、保てないようであれば、移籍したりするように指導をうけます。うちの甥っ子、心理学を勉強していましたが、単位を落としまくり、心理学部で勉強を続けることができず、生物学に移動。1学期頑張ったら、心理学部に復帰できるというもの・・・で、一学期なんとか、頑張っていました。特に会計学などにはそのような仕組みがあると聞きます。そのため、それらの学部の学生は必死で勉強します。

モンスターペアレント?/空気が読めない学生?

必死で勉強しますが、それでも単位を落とす学生はいます。
学期末になると、落ちた学生が親を連れて教員に会いに来るという事態が発生します。教員の立場から言うと、迷惑なので辞めてほしいの一言に尽きる。落ちたのは勉強しなかった結果なのだから仕方ない。しかし、それを認められない学生もかなりおり、そして親もしかり。教員としては、記録(出欠席、試験の点数、提出物の採点等)を見せる以外にないのです。

それでも食い下がる学生と親。

試験が終わってから教員はオ二のような試験解答の数に追われます。そのため、学生の面接の時間もとるが、1時間という時間は一人にかける時間にしては長すぎます。しかし、彼らは仕舞には土下座とまではいかないが、懇願し、何時間でも居座るのです。メールも送り、テキストメッセージも送り、ランチタイムにやってきて、人が昼ご飯を食べていようがなにしてようが全く関係ない。

礼節を知らない無礼な学生が多いと、他の教員を怒らせる始末。

権威を傘に着る学生

とある、学生は「私は○○さんとつながりがある。」○○さんとは、大学のとある部署の長である。こういうたぐいのアホな言動が一番著者を頭に来させる。突如政治的になる学生に驚きます。フィリピンだけではないが、「私は○○の息子、娘」と親の威を借る学生もいます。

誰が背後にいようと関係ないのだよ、といってピシャリとはねつけます。のちのち、その○○さんという人から遠回しに圧力をかけられますが、笑顔で正論(学校は勉強する所ですので、勉強しない人が卒業できないのは仕方ないこと)と説明。こういう事態は大学ならではなのか・・・学生たちよ、どうぞこういう行為は慎んでくれ。

苦労話をする学生

「僕の親はシングルマザーだから留年すると迷惑かけるから・・・」と落第点に対して懇願する生徒。そのためつかさず「苦労しているお母さんが一生懸命働いたお金で大学行かせてもらっているのに、感謝が足りないから落第するような点を取るんだよ」とガンつけながら生徒にお説教しないといけないということも。
「うちは貧乏で留年できない」著者の教科で落第点をとっていたために卒業できないことになった生徒が、30分ほども著者の泣き、泣き落とそうとすることもありました。

著者は、親元を離れ、奨学金をもらいつつ働きながら学校に通っていたので、金銭面で苦労している学生たちを助けたいと思いつつも、彼らがあまりに努力せず、教員の温情に頼るところがあることに怒り心頭だったりします。

逆ギレ生徒が学部長を通じて苦情!

落第して卒業できなかった生徒が、彼らの所属する学部の学部長を通して、落第の撤回を訴えられたことがありました。その後、速やかに学部長と対話する場を持ち、訴えた学生たちの成績、出席、提出物の提出回数などを見せました。その学部長は「生徒たちが訴えてきたので、レターを出したのだけど、あなた(著者)の言い分は正しく、教員としてその対処に納得」と言われました。傲慢ながらも、「当たり前だ」と心の中でつぶやいていました。

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